「会社と組合とお客様の全てがより良い方向に」スズキ新潟販売労働組合の非専従ならではの組合活動

スズキ新潟販売労働組合の齋藤執行委員長に労働組合の課題解決から、組合活動で注力した取り組みや成果などの組合活動に従事された振り返りを幅広く聞かせていただきました。
組織概要と自己紹介
組織概要
齋藤:スズキ株式会社の販売代理店で、新潟市に本社を構えています。主に自動車を取り扱っています。自動車販売会社なので、営業、整備、事務、部品など、様々な職種の組合員がいます。組合活動としては、賃金、一時金、労働条件、休日、福利厚生、職場環境など、組合員の皆様が安心して長く働ける環境づくりを会社と協議させていただいています。
上部団体のスズキ関連労働組合連合や他社の労働組合と連携しながら、会社単独では解決しにくい課題についても、情報交換などの活動を行っています。単に会社へ要求するだけではなく、会社と組合の双方にとって、より良い職場を作ることを目的に活動しております。
役員は全員非専従で、約10名です。1名ずつ各拠点に職場委員として組合活動に取り組んでいます。組合員数は約90名です。
自己紹介
齋藤:スズキ新潟販売労働組合で執行委員長をさせていただいています。普段は新発田店の店長として、店舗運営や販売スタッフの育成を中心に携わっております。また、会社の集客を企画する企画部のリーダーもさせていただいています。
元々、組合役員をやりたいというわけではありませんでした。当時は今と変わらず、役員が1拠点1名の体制をとっており、当時の書記長から強い勧誘を受けました。執行委員になったのは、入社して4年目〜5年目です。
そこから徐々に色々な出張や研修に行きながら、役割を任せられるようになっていきました。一般の執行役員として活動していましたが、当時の書記長の退任に伴って、書記長を任されました。書記長を6年、7年ぐらいやり、2025年から執行委員長を拝命して、今に至ります。
組合活動をいかに自分ごとにするか
齋藤:組合活動を組合員さんにどう理解していただくか、どう組合員さんと距離を詰めていくかというところかなと思います。まだ「春闘で賃金や一時金を要求する組織」というイメージがやっぱり強いです。休日や福利厚生などの様々な課題を持ち、会社に伝えていますが、こうした活動がやっぱり組合員さんに十分に伝わっていません。「組合が何をしているかわからない」「組合がブラックボックス化している」と前々から感じています。入社半年で組合員に自動的になるのですが、「組合って何?」という気持ちがやはりありました。
会社と団体交渉をして、会社から一方的に言われて終わってしまっていることが、やっぱり組合活動を一番遠ざけている理由だと思っています。書記長から委員長になる時に、このブラックボックス化が、一番の組合員と執行部の大きな意識の隔たりなのかなと。組合活動を自分事のように感じてもらうことが一番の課題だと思っています。
会社の社長から現場に必要事項が降りてくる構造と、上部団体から委員長、委員長から各執行部員に降りてくる構造は一緒だと思うんです。委員長は降りてくる情報をダイレクトに拾えるところが書記長と大きく違いますね。書記長の時は、必要な情報が足りていなかったとすごく感じますね。書記長の時は、上部団体の会議に行くのは年に2回でした。委員長になってから、最低月に1回は、上部団体や他の労組と関わる機会があります。また、会社の数字も見るようになってきて、業務は変わってきますよね。
生活に、仕事に身近な情報発信
齋藤:TUNAG for UNIONを導入したのが転換点です。例えば委員長のメッセージをタイムラインで発信しています。また、安全衛生研修を行った際に、脚立の使い方や電圧について発信しました。実際その研修の中では、我々もこれからEVを扱うので、「200ボルトの電圧に触れるとどうなるか」を体験したんです。手首と肘に低周波治療器をつけて電気を流すと、手が開かなくなるんです。こうした体験を、実際の我々の現場に落とし込めるように、発信してみたりしています。また、AIを使いながら画像を編集してみたりもしています。上部団体の写真コンテストや安全標語コンテストの投票も行っていますね。定期大会の議案書や委任状、夏冬の一時金の回答書や要求書をバックナンバーで見れるようにしています。とにかく、組合員の皆様の生活や仕事に近い発信をさせてもらっています。しっかり組合員さんが自分事のように、いつでも見返せるようにしています。
非専従ならではの組合活動
齋藤:情報の発信は全拠点に向けて、一気に私が行っています。そうすることで各執行委員の仕事を減らしています。やっぱり楽なんですよね。今までは上部団体からの組合員100名分を各拠点分に振り分けて送って、執行委員から組合員に渡してもらっていました。これは非常に非効率ですし、機関紙だと捨てられてしまう場合もあります。配る手間や「誰に配って、誰に配ってないのか」がわからないなど、仕事の無駄がありました。
その効率化した時間を組合活動に使うか、普段の業務に使うか。組合活動が通常の業務を圧迫してはいけないし、疎かになってはいけないです。出張が続くと本業がおざなりになってしまうこともあるんです。そうなると本末転倒なので、本当は本業にも時間を充てたいんですよね。
執行部向けの情報発信にも
齋藤:TUNAG for UNIONへの登録が進んでる拠点と進んでない拠点があります。発信した情報への既読数を見て、「しっかりと見てもらっているかどうか」を執行委員に話しています。そこの吸い上げをうまくするために、TUNAGは組合員さん向け、それとは別に執行部向けに別媒体も使い分けています。例えば、定期大会のゲストとの懇親会に参加するかどうかのアンケートを執行部に行っています。「出席、宿泊あり、なし、欠席」といったアンケートを出したりとかですね。

会社と組合とお客様を考える
齋藤:対話ですね。現場の声を聞きつつも、「現場が言っていること」を鵜呑みにしないようにしています。会社にも経営上の事情や考えがやっぱりありますし。
2027年度から5日休日が増えるんです。その時に1日の作業を効率よくするための案が会社から示されました。ただ、この会社の案だと組合員が辞めていくことに繋がってしまうと考えました。具体的には、会社の案だと「選択希望休」がなくなってしまうんですよ。会社と「このままだとうまくいかないでしょう」と話をさせていただいて、会社の考えや組合の考えをしっかり協議しました。会社の案だと休みは増えますが、年間の稼働日が少なくなります。組合員さんからの知恵や視点も借りながら、現場の声と会社の声をしっかりまとめます。組合の主張だけを一方的に通そうとするのではなく、会社の考えを理解した上で、双方にとってどうより良くできるのかを考えています。
我々はお客様商売なので、組合員さんと会社だけが良ければいいわけではなく、その先にあるお客様のことも考えなければいけないですよね。会社と組合とお客様、全てが良い方向に動くことをすごく大事にしてますね。
理想の組織像
齋藤:まずは組合員一人一人が「私たちが主役」と言える組織でありたいです。今は、課題や価値観も多様化しているので、労働組合に求められる役割も変わっているのかなと思います。今までのやり方だけではなく、若い世代も含めて、より多くの組合員さんが意見を出し、活動に参加できる組織を目指しています。
会社の考え、組合の考えを組合員さんにもしっかりと伝わるようにしたいです。一部の人だけがわかっていればいいということではないです。しっかりと相互理解を進め、会社と組合が対立するだけでなく、会社の成長と組合員の幸せを両立させる両輪となることがすごく大切かなと。皆さん一人一人が自分の職場を良くするために組合に参加してもらい、次の世代から自然と「執行委員をやりたいな」という声が上がる組織を目指していきたいです。
〜齋藤様、お話しいただきありがとうございました〜




