「会社を動かす、もう一つの推進力へ」地域連携と多様なイベントで築く、住友精密労働組合の孤立させない組織づくり

住友精密労働組合の中村執行委員長(写真右上)と田中書記長(写真左上)、柳執行委員(写真右下)、南執行委員(写真左下)に労働組合の課題解決から、組合活動で注力した取り組みや成果などの組合活動に従事された振り返りを幅広く聞かせていただきました。

目次

組織概要と自己紹介

組織の概要について

中村:1961年、住友金属工業株式会社(現 日本製鉄株式会社)の航空機器事業部門を継承し、会社が発足という大きな変革期を迎えました。新会社となった当社において、労働環境や労働条件、そして生活の安定や安心を守りながら、自らの未来をしっかり築いていこうと、従業員たちが強い意志を持ち、1960年9月23日に組合員243名が独自に集結して労働組合を結成しました。その先代からの切なる思いや願いから生まれた組織なので、誇りを持ち、我々は活動を継続しています。

田中:当社は航空宇宙事業を祖業として、産業機器やICTの分野に事業を拡大していきました。生活に欠かせないインフラから宇宙に飛び立つロケットまで、色々な分野において国内シェアNo.1を誇る製品を作っています。例えば、航空機の着陸時に降りてくる脚、エンジンや空調向けの熱制御用の熱交換器などです。

中村:会社と組合が手を取り合って、様々な困難を65年間共に乗り越えてきました。その結果、2026年の4月時点で、当初の約5倍の1190名の組合員規模まで大きくなリました。これは労使ともに成長してきている証と言っても過言ではないと思っています。この増加によって、労働組合としての発言力の向上にもなりますし、より多くの組合員の声を、強く会社に届けられるようになっています。

執行部のみなさまについて

中村:執行部として多層的な役員体制を構築しています。執行部は会計監査を含め10名います。各種協議や対外的な交渉などで、最前線に立って組合活動の司令塔として役割を担っています。滋賀工場と東京営業所については、特別執行委員が1名ずつ、組合活動のサポートとして担っています。また各職場の部署から選出された中央委員が41名います。具体的な組合員からの意見や要望を吸い上げて、執行部に伝えてもらうなど、重要な橋渡し役に加え、各種の決議を行っていただいています。執行部と組合員のコミュニケーションをより活性化させるために、中央委員の方にはすごく活躍してもらわないといけませんね。その他にも30歳以下の方の青年女性部もあり、各部署の代表である委員19名で、レクリエーションの実施を基本的にやっていただいています。 

この多層的な役員同士が連携しあい、日々の組合活動を支えています。そして組合員のニーズにしっかり応えて、かつ会社の経営課題にも多角的な視点からアプローチできるところが我々の強みではないかと思っています。

田中:中村委員長は労働組合のすべてをまとめ、各種活動の方向性を中心に意思決定いただいています。私、書記長は、色々な意見をまとめ、提案するポジションです。執行委員の方は各自それぞれですが、柳執行委員は福利厚生面や賃金改善など、春闘をメインに担っています。また南執行委員は広報推進部として、今TUNAGで様々なメッセージやニュースを組合員に展開してもらっています。

他組織との連携強化

住友精密労働組合の課題①

田中:我々単組は、組合員の多種多様なご意見を我々独自の知見だけで解決するのは難しいと感じています。様々な業種業態の人たちが「課題をどう解決したのか」「今どんな問題が起きているのか」を我々が知れるチャンスを広げていく必要があります。そういった意味でも地域の活動にも積極的な参加を続けていかなければなというのが課題の一つと思っています。

単組ならではの課題に対する取り組み

田中:当労組では、組合員のメリットを強化するため、食品会社、旅行会社、ゴルフ場や冠婚葬祭の企業との連携を強めています。幅広くパートナーになり、安い料金での組合員さんへの販売やイベントの告知、参加促進をしています。さらにお歳暮やお中元、特別料金での旅行など、暮らしに役立つ情報を組合員に展開しています。こうした他組織との交流は、日々の生活の経済的な負担を軽減できると思っています。そして組合に入るメリットを感じてもらったり「組合って意外と身近で私たちの生活に寄り添ってくれているな」とポジティブなイメージを作れると思っています。

「連帯感」や「つながり」を持ったイベント

住友精密労働組合の課題②と開催イベント

田中:もう一点は「組合員やご家族も含めた連帯感の醸成」も課題です。労働組合は賃金の改善や春闘の交渉による労働条件の改善がメインの活動と思っている方がやっぱり多いです。実際は日々の生活の中で抱える不安の解消や、組合同士の家族を含めた一体感を生むことが、社会生活の活性化につながると思っています。そこに注力していこうというのが我々の課題です。 

2025年度の実績で紹介させていただくと、

① 秋ツアーイベント(ISK大阪舞洲本格サーキット&BBQ):非日常的な体験(組合員によるレース対決・子供だけのレース対決)と多くの仲間でBBQをすることで、家族連れにも人気でした。

② マスターズゴルフ大会(組合以外も含む):趣味を通じた交流を深める場として、組合員だけでなく役員・管理職等の全従業員にも門戸を開いてロングランコンペスタイルで開催しました。

③ 滋賀工場もちつき&BBQ。

④ 尼崎工場もちつき&出店祭り:ご家族も楽しめる伝統的なイベントとして継続実施しています。

⑤ 手作りケーキ&写真コンテスト:コロナ禍でもご家族で楽しんで頂ける企画はないものかと考えてスタートしたイベントです。当初はもちつきイベントの代わりでしたが、人気が高いことで継続しています。

⑥ お年玉抽選会:年末年始の組合員への感謝とささやかな楽しみを提供しています。

⑦ 冬ツアー(いちご狩り・マグカップ絵付け・酒蔵見学ツアー):季節感を楽しみながら、ものづくりや文化に触れる体験型イベントを実施しました。

⑧ ソフトボール大会:スポーツを通じて、部署や世代を超えた交流の場の提供を行っています。

⑨ 東京本社イベント(ランチブッフェ&スカイバス大江戸東京コース巡りツアー):首都圏の組合員向けに、都市型の観光と美食を組み合わせた企画を開催しました。

⑩ 統一メーデーでの組織内行事:労働者の祭典に参加しつつ、組合員同士の結束を強めることを目的に独自活動と合わせて開催しています。

⑪ 春ツアー(潮干狩り&BBQ):自然の中で家族や組合員同士で楽しめる企画を実施しました。

⑫ 船釣り大会:コロナ禍から始まったイベントの1つですが、釣り愛好家にとってはたまらない交流の機会となっており、参加者が年々増加しています。本イベントもコロナ禍の影響が薄れた今も継続的に開催したいと考えています。

⑬ ボウリング大会:新入社員の歓迎行事としてチームで楽しめる定番のイベントです。現在は組合員から選抜した多くの選手で、大々的に開催をしています。

⑭ 夏ツアー(六甲山GREENIA&BBQ):体を動かし、自然を満喫できるアクティブな企画を開催しました。

⑮ サマーフェスティバル:大規模な夏祭りとして、多くの組合員とそのご家族、更には関係する会社や組織からの参加者も加え、会社と協賛して開催しています。

以上のようなイベントを毎年開催しています。これらは、組合員とその家族が「この会社で働く一緒の仲間であるよ」と、部署を超えたつながりを持って仕事に活かすための企画です。この心理的距離を縮める活動をずっと続けていきたいと思っています。何か困った時に「あの人たちだったら相談してもいいかな」とお互いに思ってもらうきっかけにもなると思っています。

中村:尼崎や滋賀の工場では、定期的なイベントがありました。ただ東京本社は人数が少ないので、定期的なイベントはありませんでした。しかし、3年前の研修会や組合の意見を聞く場で、「東京でもイベントしてほしい」という組合員の意見を取り入れて企画しました。参加率もすごく高く、この東京イベントを皮切りにより一層組合にも興味を持ってもらえるようになったと実感しています。

組合員からの組合費についての要望

田中:組合員からは、組合費減額の要望も毎年上がっています。我々も真摯に受け止め、一時金からの徴収をやめる・個人負担いただいている共済を組合費から支払うなど、できる範囲の減額方法を考えています。その分、紙配信をデータ配信に変更し、外注に委託してた冊子を内製化し、記念品を業者に発注するのではなく自分たちの足で買いに行くなど、外注費を削減していきました。ただ、イベントを減らせばすぐに金額は下がります。しかしそれは組合員同士のつながりを弱くすることとなり組合は衰退します。費用を考慮しながら、みんなが参加したいと思えるイベントをこれからも企画していけたらと思っています。

デジタルな情報発信の中のフェイス to フェイス

住友精密労働組合の課題③とTUNAG導入

柳:情報伝達の効率化は、組合の活動の透明性を高めたり、組合員全員に公平な情報を提供するために不可欠な要素だと考えています。我々の組織でも数年前から一部デジタルツールを導入していました。ただそれはあくまで補助的な要素が強かったです。結果として、紙での情報伝達が中心となっていたのはかなり課題だったと考えています。最大の問題は、情報が全組合員に伝わるまでに時間がかかる点で、提携先の限定的なキャンペーンの情報や参加締切が近いイベントのお知らせなどの組合員にとってお得な情報の伝達が遅れていました。実際に組合員が参加できなかったケースもあると思います。これでは情報を受け取る側の不公平感を生み、組合の提供価値を十分に伝えきれません。 

この状況を劇的に改善したのが、TUNAGの導入です。誰もが同じ情報をほぼリアルタイムで受信できる環境を構築でき、情報の格差が大きく改善・解消されました。また、各自のスマホやPCから、知りたい情報にすぐにアクセスできるようになり、組合への関心度や参加意欲の向上にもつながっているのではないかと思っています。

情報の受け手、組合員からの目線

南:私は2025年9月から執行部に入りました。それ以前は中央委員を4年間やっていました。情報を受け取る側から見て、タイムラグはありました。今はTUNAGを通して自分のタイミングで見れる点がメリットですね。中央委員の時は紙の情報を回覧する際、確認したことをチェックしてもらう手間もあったので、その点は払拭されたと思っています。

田中:5年前、コロナ禍直前で、中央委員からの「ニュースのデジタル化」の要望が強くなってきました。当時は、紙を渡すだけの業務になっていたので。直接組合員からの要望はあまりなかったです。ただ、お得なイベントや慶弔金の申請をTUNAGでできるようになったことは賞賛してもらっていますね。

フェイス to フェイスのコミュニケーションで実現したいこと

柳:ただ、全てのデジタル化が常に最適ではないことも認識しています。 特に職場役員が各組合員に手渡しで配布する活動は、単なる情報伝達以上の価値を持っていると考えています。やっぱり組合はフェイス to フェイスで、皆さん顔を合わせることでいろんな情報を得られます。TUNAGへの移行を進めつつ、顔と顔を合わせるアナログな情報伝達の要素も一部残すことによって、現場の空気感をちゃんと把握していこうと考えています。 

もっと、老後の生活に向けた勉強会や若い方には金融リテラシーの勉強会をしたいです。ただ休み時間中の開催は嫌がられるんですね。それに対して、お弁当を出すアプローチもしています。とはいえ、女性特有の悩みなどまで踏み込みきれていないので、我々も今後いろいろ考えていかなければなりません。 

地域社会とのつながりをもっと

南:組合活動において大切にしていることは「地域社会とのつながりと組合員の安心」です。当社の事業内容は専門性が結構高く、多岐にわたる分野に取り組んでいるため、同業者との付き合いが少ないです。そうした中で、組合員の声をより広く活動に反映させ、活動の幅を広げていくために、地域の労働組合や団体、行政機関との連携を深めていきたいと考えています。企業内だけでは得られない情報や地域単位での労働問題、地域経済の動向など、単独では把握しきれない情報を得られると考えています。現状、地域のメーデーや各種行事への積極的な参加に注力しています。そうすることで、他企業の労働組合役員や地域社会のリーダーと、直接交流して情報交換や連携ができる機会だと思っています。

会社にとって必要不可欠な存在に

南:住友精密労働組合が目指す未来は「会社との両輪で、企業の持続的な発展に必要不可欠な存在」であることです。 労働組合は単に労働者の権利を守るだけの組織ではなく、会社という大きい船を、安全かつ迅速に進めるための大きな推進力であると捉えています。会社の発展と組合員の幸福は決して相反するものではなく、むしろ互いに高め合う関係にあると確信してます。 製造業では怪我や事故はつきものなので、安全安心な職場環境の確立や維持と、更には従業員のエンゲージメントの向上も大切にしていきたいです。

〜中村様、田中様、柳様、南様、お話いただきありがとうございました〜

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この記事を書いた人

「for UNION」編集長。
2020年にスタメンに新卒入社。
その後、2022年1月に労働組合向けアプリ「TUNAG for UNION」を立ち上げ、現在はマネージャーとして、事業拡大に従事。

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