【セイコーエプソン労働組合】様々な環境で働く仲間がいる多様性を活かし、仲間同士が繋がり、自己実現や価値を高めて成長できるような組織を実現していきたい。

プリンター事業を中心に、プロジェクターや産業用ロボット、腕時計、半導体など、様々な事業を展開しているセイコーエプソンの企業内労働組合であるセイコーエプソン労働組合、副執行委員長の安藤様(写真右)と同じく副執行委員長の山内様(写真左)のお二人に、労働組合の未来についてお話をお伺いしました!(以下、敬称略)

目次

組織概要と自己紹介

組織概要

安藤:我々は、セイコーエプソンの企業内労働組合です。セイコーエプソンは、様々な事業を行っており、一番皆さんがご存知なのはプリンターの事業だと思います。その他にもプロジェクターや産業用ロボット、腕時計、半導体などの事業を展開しています。元々は腕時計の開発製造から始まった会社で、それに必要なものを自分たちで開発し、事業を拡大してきました。

組合員数は大体1万人弱で、ユニオンショップ制をとっています。セイコーエプソン労働組合(以下、エプソン労組)の活動は8つの支部に分かれて進めています。なお、中央執行委員は合計17名で、そのうち専従者は8名です。また、その他に書記専従者が13名います。

組織に関わるきっかけや経緯

安藤:7年くらい前に職場役員を経験したことが、労働組合活動に関わるきっかけですね。組合と関わる中で、執行部をやってみないかと声がかかり、執行部に入りました。支部長として1つの支部をまとめていた時に、当時の中央副執行委員長から一緒に仕事したいと専従に誘われました。中央執行部のメンバーは見識が深く、一緒に仕事をしてみたいと感じていたこともあり、専従者になることを引き受けることにしました。

山内:2000年に入社し、翌年から職場役員を引き受けたことが組合役員としてのスタートです。職場の代表として積極的に活動していたところ、当時の支部長・書記長に勧誘を受け執行委員となり、そこから支部の役員を9年、その後、中央執行委員を専従として9年務めています。専従になる際、職場の一員として働くことと、なり手のいない、特殊な役割を担うことのどちらが会社のためになるかを悩み、専従になることを決めました。

現在注力している業務

安藤:副執行委員長として職場内の関係性を高める取り組みの責任者を行っています。組合員がやりがいを持ち、働く喜びを感じられるといいなと思っています。現在は、職場内の関係性の中でも働いている仲間同士の関係性に焦点を当てています。働く仲間同士が協力しあい、やりがいを感じられる職場を実現できるように、活動の旗振りをしています。

山内:ライフサポートや地域貢献、社会貢献活動の責任者を行っています。各支部の活動の推進サポートが主な業務です。これらの活動は、エプソン労組として長年力を入れてきた活動です。必要な活動は継続するとともに、長期視点から変化させるべき活動や考え方がないか整理・方向付けがポイントとなっています。

一方で本社支部の支部長も兼任しており、支部活動の責任者も務めています。支部活動で注力していることは、先ほど安藤の説明にあった、仲間同士の関係性を向上する活動です。支部として新しい取り組みを始めており、その浸透を図っています。

現状や課題に感じていること

安藤:エプソン労組としての大きなミッションは、組合員の充実した人生を実現させることです。そのために、組合員同士が繋がりを深めながら、変化に適応し、お互いに働きがいを高め合う状態を目指したいと考えています。現代は変化のスピードがとても速く、事業環境をはじめ、働く環境も目まぐるしく変化しています。

このような状況の中、会社が何とかしてくれるといった受け身の姿勢では変化への適応は難しいと考えています。一人ひとりが自分で考え、主体的に行動していくことが重要な時代になっています。我々労働組合としても、組合員が主体性を発揮できる環境を増やし、自身や仲間の働きがいを高めるための行動を支援していくことが重要だと考えています。

そこで、エプソン労組としては“組合員の自己実現を支援する活動”を進めています。しかし、執行部や専従者に実現したいことを相談してくれる組合員はまだ少なく、より多くの組合員を支援できるようにしていきたいと感じています。

山内:社会の動きはドラスティックかつ想像以上の速さで変化しています。そのような動きに合わせ、会社制度や働く人の思考・モラル等もどんどん変化している状態です。当然、エプソン労組の組合員も思考を変化させ、時代を捉えた働きかたに適合していくことが必要であり、安藤の言葉にもあるような一人ひとりの主体的な行動の支援だけでなく、組織全体としての下支えも必要な活動であると考えています。

現在の取り組み

安藤:労働組合は、労働者が困っていることを、労働者同士で協力して何とかするというところから始まりました。しかし、現在は執行部が方針を決め、中心となって取り組む活動が多くなっていると感じています。先ほど申し上げたように、組合員の主体性を高め、組合員が主役になるように活動の在り方を変えていきたいと思っています。

例えば、自分達の仕事をもっと地域の人に知ってもらいたい、という声をきっかけに、支部の執行部から声をかけて協力者を集め、小学校や商店街での腕時計組立体験会の実施につながった事例があります。この取り組みが組合員を通じて広がり、地元の小学校のPTAから開催を依頼されるなど広がりを見せています。このような組合員の声をきっかけにした活動を知ってもらうことで、「それならこんなことができるかも!」と思ってくれることを期待しています。

しかし、課題の部分でお話ししたように、中々組合員の声が出てこないのが現状です。原因の一つとして、労働組合に対するイメージもあると思っています。労働組合の活動は、組合員の声を集め、全体最適を取るという取り組みも行ってきました。その中で、個人の要望は通りにくいと感じているのかもしれません。こういったイメージを変えるためにも、組合員起点の活動を知ってもらい、このイメージを変えていきたいと考えています。

山内:かつて労働組合には全体最適や、組織としてのスケールメリットを生かす、という観点から、活動に組合員を動員するという考え方がありました。その後、組合活動のサービス化(組合費の対価としてサービスを受けるという考え方)が課題として認識されたところに、個人主義、多様性といった価値観の変化が加わり、組合活動そのものにも変化と対応が求められていると感じています。

その中で、組合員それぞれがどういう社員になりたいか、どういう人でありたいかを考え、その想いの実現のために、こんなこと・あんなことをやりたい、という意見をあげてもらう事、その声を拾い上げ行動に移すことを大事にしたいと考えています。今までのスケールメリットを生かした活動の中で必要なものは残しつつ、会社や社会の中で、組合員が個々の役割を果たすお手伝いをすることが、ビジョン達成に向けた重要な視点だと思います。

そのためには、支部活動の意識を変えることが必要だと考えています。我々の労働組合の活動の主体は支部であり、中央執行部が示した方針をどのように実現していくかは各支部に任されています。支部長・書記長が率先して意識変革を行い、活動の変化につなげていくことを、副執行委員長として促しつつ、一支部長として率先垂範していきたいと考えています。

労働組合の未来について

安藤:エプソンには様々な事業があり、さらに企画、開発から営業、修理サービスまで一通りのバリューチェーンが揃っています。様々な環境で働く仲間がいる多様性を活かし、様々な組合員と交流して、仲間同士が繋がり、自己実現や価値を高めて成長できるような組織を実現していきたいです。

山内:働くことを楽しめる会社であり、そのサポートをする組合でありたいと思います。働く目的や考え方はそれぞれだと思いますが、エプソンで働くことが楽しい、やりがいがあると組合員が感じる会社となる手助けをしている、と胸の張れる組織でありたいです。

~安藤様、山内様、ありがとうございました!~

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この記事を書いた人

「for UNION」編集長。
2020年にスタメンに新卒入社。
その後、2022年1月に労働組合向けアプリ「TUNAG for UNION」を立ち上げ、現在はマネージャーとして、事業拡大に従事。

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