労働組合の経営参加とは?基本スタンスや必要な観点、主な取り組み

企業が健全に発展するためには、労働者が納得できる経営を組合が企業に働きかけていく必要があります。経営の考え方や方向性について認識を深めた上で、事業運営をチェックしたり必要な意見を述べたりすることが大切です。労働組合の経営参加について解説します。

目次

労働組合の経営参加とは

体力のない企業に賃上げや労働条件の改善を求めても、実現するのは難しいでしょう。これからの労働組合には、企業に一方的に要求するだけでなく、共に成長する姿勢が求められます。労働組合の経営参加とは何か、基本スタンスや必要な観点を見ていきましょう。

企業体質強化に向けた働きかけ

労働組合の主な目的は、組合員の雇用確保や労働条件の維持向上です。これらを実現につなげるためには、企業の安定的な成長が欠かせません。

そのため、労働組合は積極的な経営参加を行い、企業体質強化に向けて働きかけていく必要があります。経営の考え方や方向性を企業と共有した上で、事業運営をチェックしたり必要な意見を述べたりすることが重要です。

労働組合の経営参加は、企業にとってもメリットがあります。経営の目的や課題を共有することで相互信頼が深まり、労使が一丸となって目標達成に取り組むことができ、事業活動の継続・発展につながりやすくなります。

労働組合の経営参加の基本スタンス

健全な労使関係を構築・維持するためには、相互信頼に基づいた適度な緊張感のある関係を持つのが理想です。労働組合の経営参加でも、このことを意識する必要があります。労働組合の経営対策活動における基本スタンスをまとめました。

  • 労使関係が対等であるという意識を持ち、言うべきことは自信を持って伝える
  • 現場目線で経営をチェックし、企業にとって真に意義のある意見を述べる
  • 批判ばかり述べるのではなく、企業の成長につながる建設的かつ責任のある発言をする
  • お互いの立場を尊重しつつ、経営への過度な介入とならないよう注意する

労働組合の経営参加に必要な観点

労働組合の経営参加で事業運営をチェックしたり意見を述べたりする際は、次のような観点からアプローチする必要があります。

  • 経営者は明確な運営方針を策定しているか
  • 収益基盤が適正に確保されているか
  • 企業活動に違法な部分がないか
  • 企業の施策が組合員の労働条件や職場環境を悪化させていないか
  • 組合員のやりがいにつながる事業運営が行われているか

労働組合の経営参加の取り組み

労働組合として企業経営に参加するためには、具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか。主な取り組みとそれぞれのポイントを解説します。

経営情報の収集と分析

労働組合が経営施策の妥当性や問題点を判断するためには、現状を正確に把握しなければなりません。情報の収集・分析では、以下の点を意識しましょう。

  • 組合員が今後も安心して働けるような長期的な事業計画があるか
  • 経営悪化による倒産などのリスクはないか
  • 生産や受注動向、業績などの見通しに問題はないか
  • 現場の実態や状況が企業側に正しく伝わっているか

会社からの情報だけでなく、現場や組合員を通した情報も参考にすることが重要です。

労使協議制の確立

労使協議とは、労使間の情報共有や認識のすり合わせを目的として実施される話し合いのことです。組合が要求の実現を交渉する団体交渉とは異なり、労使協議ではさまざまなテーマについて意見を交換します。

近年の労使関係は協調路線が基本であり、団体交渉を行う前に労使協議で結論を出すのが一般的です。また、団体交渉のように必ず結論を出す必要もないため、労使間の良好な関係を維持しやすくなります。

労使協議制が確立されていない場合は、企業と話し合って定期的に労使協議を実施しましょう。組合側の経営へのアプローチがよりスムーズになります。

労働協約の整備

労働協約とは、労働組合と企業の間で締結する取り決めのことです。就業規則や個別の労働契約に優先し、法的拘束力を持つ効力の強い取り決めです。企業と労働協約を締結できるのは労働組合のみです。

組合員の権利を守り、適切な賃金や労働条件を維持していくためには、労働協約の整備が欠かせません。特に、以下の内容はできるだけ盛り込むようにしましょう。

  • 労働契約の変更時には労働者の同意を必要とすること
  • 人事や解雇に関する基準
  • 退職金に関する規定
  • 企業の重要な財産の処分・搬出の制限

労使間で労働協約を締結していない場合は、上部団体に相談して早急に整備を進めましょう。また、労働協約を締結済みの場合も、周知徹底されているかのチェックが必要です。

労働組合の経営参加の取り組みを充実させよう

労働組合の本来の目的を達成するためには、企業の持続的な成長が不可欠です。労働組合は積極的に経営に関与し、労働者の視点から事業運営をチェックしたり意見を述べたりする必要があります。

労使協議制の確立や労働協約の整備、経営情報の収集・分析など、労働組合の経営参加の取り組みを充実させていきましょう。

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この記事を書いた人

労働組合にて専従(中央執行書記長)を経て、現職。

<セミナー登壇歴>
◼︎日本経済新聞社
『労組をアップデートせよ 会社と並走し、 組合員に支持される労働組合の作り方』
『労働組合の未来戦略 労組の価値向上につながる 教育施策の打ち方』

<メディア掲載>
◼︎日本経済新聞社
『​​​​団体契約を活用して労組主導で社員の成長を支援 デジタルを駆使して新しい組合像を発信する』

◼︎NIKKEI Financial
『「知らない社員」減らす 労組のSNS術』

◼︎朝日新聞社
『歴史的賃上げ裏腹 悩む労組 アプリ活用』

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