【全財務労働組合】身近な労働環境の改善を大事に、1人でも多くの組合員に寄り添った組織活動に繋げていきたい。

全国の財務(支)局、財務事務所、出張所で働く、約2,000名の職員で構成されている全財務労働組合の中森委員長(写真左)と福井書記次長(写真右)のお二人にどんな想いを持って組合活動に取り組まれているのか、労働組合の在り方や未来についても交えながら、お話をお伺いしました!(以下、敬称略)

目次

組合に関わるきっかけや現在の業務内容について

福井:私は、平成30年の四国財務局の採用で金融業務や管財業務などを計4年従事した後に、中央本部の専従役員となり、現在2期目になります。専従前は地区本部の一つである四国地区本部で執行委員を3期務めていました。その後、中央本部で非専従の執行委員も1年務めています。

専従役員になったきっかけについては、採用後すぐに地区本部の役員になったことや、当時の上司が地区本部の委員長だったことがきっかけです。最初は、専従役員の業務についてはよくわからなかった部分もありましたが、執行委員を数年経験していたため、組合の必要性については理解しておりましたので、せっかくお声掛けいただけるのであればということで、チャレンジしてみました。

今注力している業務としては、教宣担当になりますので、基本的にはTUNAGを含めた機関誌の発行などの広報部分を担当しています。また、青年活動も担当しています。最近は、青年層から組合が何やっているのか分からない、といった意見をいただきますし、コロナ禍で採用された方々だとより一層、つながりが希薄化している傾向にあるので、本部をはじめとした組合と組合員をつなぐための取り組みに注力しています。

中森:社会人経歴の最初は、不動産関係の仕事をしたかったこともあり、住宅メーカーD社に入社し、営業として業務に取り組んでいました。当時は、住宅メーカー企業には労働組合が組織化されていないところが多かったようで、D社も同様で、職場環境に不満があってもどこに行ったらよいのかわかりませんでした。最初に入った会社ということもあり、よく分からないながらも勤める中で、財務局が国有財産の管理をやっていることを知り、こういう仕事もあるのだなと徐々に興味を持ち始め、中国財務局に入局・転職をしました。

そこからの経歴としては、平成12年(2000年)に採用されましたが、国有財産の管理や処分の仕事を約4年間続けていました。その後、財務本省の理財局という国有財産の業務をやっている局で勤務しました。今は無いのですが、当時、財務本省の組合があり、そこで役員も経験しました。組合役員になった背景についてですが、最初に勤めていたD社には労働組合がなかったこともあり、労働組合の必要性は入局時から感じていました。

当時の財務省内の労働環境も決して良い環境ではなかったこともあったなかで、労働組合が親身になって労働環境の改善を一緒になって助けてくれたこともあり、「恩返しに役員やってもいいか。」ということで役員になったことがきっかけです。労働組合ってどうしても何をやっているのか分からないという厳しい意見もよくありましたが、まさしく助けてもらったという経験から、そこからずっと役員等、何らかの形で労働組合に携わっています。

国家公務員の専従は、職場を休職という形で離れて、給料は国からではなく、労働組合の組合費からいただきながら、最大7年の期間勤められます。私は、3年間書記長として勤め、現在、委員長になって4年目になりますので、次の定期大会で退任し、非専従になります。

注力している業務については、委員長ですので、組合全体の総括的な立場と代表としての立場から、政治対応が主になります。我々の給料は基本的には法律の中で決まるものなので、例えば手当や給与、職場環境の改善など、政治の対応として、国会議員に協力をお願いする関係の仕事を中心に取り組んでいます。

全財務労働組合の過去~現在において大事にしていること

組合活動の中で、印象深かったことや苦労したこと

福井:自分が組合活動をした成果ではないですが、財務局職員は、どうしても県外への転勤を伴う異動がありますが、私が家庭の事情でどうしても転勤ができない時期に、組合に相談に乗ってもらったことがあります。組合員の労働環境の改善だけでなく、組合員に寄り添うことが出来る点が、組合としては大事だなと感じています。目新しい取り組みに力を入れるというよりは、各地区本部の定期大会等に参加させていただいた際に、各地の組合員の意見を聞きながら、組合活動に反映できるかが重要だと考えています。

中森:先程のお話しにも重なりますが、労働組合がちゃんと組合員を助けてくれるという実際の体験があるからこそ、労働組合ってやっぱり必要だよねとなると思います。例えば、個人個人の一人の力だと出来なかったのが組織化されている労働組合だからこそ、そういった職場を良くしたり、身近に感じてもらえたりするので、こういった出来事が自身の経験として実感できたことが、一番印象に残っています。

組合活動で、意識していることや大事にしていること

中森:職場には、色々な立場、状況の組合員がいます。それこそ家庭環境や職場状況、能力やスキルなど異なりますが、「たとえどんな状況であっても組合員である以上は絶対手を差し伸べる」というところだけは意識はしています。

つまり、個々のパーソナリティーのところは分からない部分はありますし、仕事をする中で、どうしても能力の差が出て、いろいろな軋轢も生まれますが、組合に加入している組合員に対しては、どんな形であれ、まずは手を差し伸べるということです。もちろんクリアできない問題も多々ありますけれども、それでも助けることは心掛けています。

福井:本部で組合活動を長くやっている人と役員経験のない一般の組合員とのギャップがないように、間に入ってハブとなることは意識しています。組合に詳しい人であれば当たり前だと考えている活動も改めて見直したり、新しい視点も持ちながら組合活動に従事していきたいと思っています。

中森:時代によって組合のあり方が微妙に変わってきています。昔は、まさしく闘争と呼ばれる闘いの歴史の中で組合があったと思います。使われる側と使う側の闘いの中で、労働環境とか労働条件を改善していくというのが、だんだん薄れてきて、労使協調という形で、使用者と使われる側ができる限りのところで調整をできるようになってくると、意識が変わってきたと思っています。

昔の組合だとよくまさしく闘いだと鼓舞するような言葉を使っていました。「〇〇せよ」「〇〇すべし」のようなものだったのが、今だと「〇〇してください」など、言葉が柔らかくなってきています。要するに、そういうのをあまり若い人が求めていなかったり、組合の歴史を知らないからという事情もあり、労働組合のあり方が変化しているのかなと思います。

また、昔はお互いの仲間意識が強かった印象がありますね。ただ、時代も移り変わり、コロナ禍や趣味などの多様化、個人を重視する考え方も増え、仲間意識がどんどん薄れていく中で、今後いかに仲間意識を持ってもらい、組織を固めていくのが重要になりますね。

役員の育成や引き継ぎ

中森:先程、お話をした労使協調というワードがあると思いますが、ここを正しく理解されていない方が増えてきているように感じます。本来、労働組合の活動は、労働者と経営者は対等という立場でやるべきものが、どうも労使協調という言葉が独り歩きし、相手方を過度に慮うあまり、労使対等を理解しきれていない方がいると感じています。

同じ組織の中の人間であっても、一線引くべきところは引かないといけないよねと。もちろん、労働者側にも、管理者目線や当局側の目線は必要だと思いますので、まずはどこに一番軸足を置くべきか、ここを意識できる役員が増えてくるといいなと思っていますし、伝えていかないといけないと感じています。

組合員とのコミュニケーションや関係性

福井:私は、青年部のメンバーと関わることも多いのですが、組合の活動となるとどうしてもよく分からない組織だと感じ、身構えてしまう方もいらっしゃるので、まずは組合や組合活動のことを知ってもらったり、みんなで団結して取り組んでいく組織であるということを分かってもらいたい思っています。

課題解決の前に、まずはみんなで協力して、職場を良くしていこうっていう意識があることを念頭にコミュニケーションを取っていますので、私が伺う時は、比較的柔らかい形で組合について伝えたいなと思っています。

中森:固定観念的なものも含め、一定こうあるべきみたいなことも出来あがっているところもありますが、そうは言っても一番大事なのはコミュニケーションだと思っています。特に役員の立場だと、聞く力は非常に重要ですし、意識しています。こうあるべきという風にしてしまうと、どうしても組合員からの意見を遮断する傾向が出てきます。

我々の国家公務員の労働組合ってオープンショップ制だからこそ、どうしても加入するしないの選択ができるのですけれども、そうは言ってもちゃんと受け止めて納得できるような回答をするためにも、意見を聞く力は大事にしています。難しい部分もありますが、逆に今までになかった目線や感覚を感じられる場面もあるので、そういった新しい取り組みや意見を積極的に取り入れていき、変化していける組織が強いなと思っています。

労働組合の未来について

実現したい組織像や今後の展望

福井:現状の組織率は58%くらいになりますが、みんなで考えて、みんなで発信して、みんなで実行するということが重要ですので、まずは今以上に組織率を上げていきたいです。職場環境の改善活動を推進出来るようにしつつも、何らかの形で未加入者の対策を充実させて、組織力のある状態を作っていきたいです。

中森:基本的には、公務職の労働組合では、民間の賃金交渉のように自分たちでは、賃金が決められません。どんなに頑張っても法律で決まるのが大きな違いです。よって、そういった一番わかりやすい賃上げという面では、公務の労働組合ではどうしても難しいことから、草の根の本当に身近なところの労働環境を改善することを大事にしたいと思っています。

目の届く範囲の一番身近なところが何か改善されれば、理解されやすいかなという風に思っています。大きな制度変更はもちろんですが、可能な限り、1人でも多くの組合員に寄り添った組織活動が出来ればと思っています。

今後取り組んでみたい組合施策・制度

福井:労働組合にいたらなんとかなるんじゃないかという存在でありたいと思っています。組合の情報をどんどん発信して、改善策を回していきながら、労働組合を必要と感じてもらえるような広報も含め、できるだけ一般の組合員にも情報が届くように今後も取り組んでいきたいと思っています。

また、組合活動の取っ掛かりになるのは、青年組合員を主としたイベントなどになってきますので、全国の青年組合員を集めてのイベントや近隣の地区本部同士でちょっとした交流イベントを実施しながら、組合活動に参加するハードルを低くできるようにしていきたいと思っています。最後に、TUNAGとはどんな存在ですか?

〜中森様、福井様、ありがとうございました!〜

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この記事を書いた人

「for UNION」編集長。
2020年にスタメンに新卒入社。
その後、2022年1月に労働組合向けアプリ「TUNAG for UNION」を立ち上げ、現在はマネージャーとして、事業拡大に従事。

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