【豊田市職員労働組合連合会】豊田市職員労働組合連合会が描く未来と組織強化への取り組み

豊田市職員労働組合連合会は、豊田市職員約2,300人が加入する労働組合です。今回は、書記長を務める宇野氏に、組合活動の現状や課題への取り組み、そして今後の展望について詳しく伺いました。
豊田市職員労働組合連合会の概要と活動内容
まず組織の概要について教えていただけますか。
私たちは「豊田市職員労働組合連合会」といいます。歴史を辿ると、昭和21年12月に豊田市となる前の挙母町で職員組合が設立されました。その後、市町村合併などを経て「豊田市職員労働組合」となり、2015年には交渉力の向上を目的に上下水道局の職員組合を新たに立ち上げ、2つの組合の連合体として「豊田市職員労働組合連合会」を結成しました。
組合の体制としては、執行部が約30人で、技能労務職が集まる「現業評議会」、保育師や教育関係職員が集まる「保育部」、30歳までの男性職員と全年齢層の女性職員が参加する「青年女性部」など、分会制を設けています。組合員数は約2,300人で、加入率は約98%と高い水準を維持しています。
98%という加入率は、他の組合と比較しても高いですね。
そうですね。ただ、加入率が同じでも母体の人数が多いので大変な面もあります。例えば、他の組合だと新入職員が10人くらいいたとして、そのうち9人が入れば90%ですが、豊田の場合は今年4月に入ってくる人が130人くらいいるので、その人数で95%以上の加入率を維持するのは大変です。先輩方のこれまでの地道な取り組みや、人事課への交渉で組合説明の時間を内定者説明会の合間に設けてもらうなどの努力があってこその数字だと思います。
次に、宇野様の経歴や現在の役割について教えてください。
私は行政職として入庁して10年目です。最初に配属された部署で青年部の役員を務め、その後青年女性部の部長を経験しました。その後、書記次長を経て現在は書記長を務めています。現在は専従職員として組合活動をメインで担当しており、令和7年3月をもって専従としての3年間を終えます。役員自体は引き続き引き受けていくことになるとは思いますが。
専従の主な業務としては、組合員からの個別相談対応や人事課との交渉、執行委員会や分会役員会、定期大会の準備・運営、機関誌作成、などがあります。また、関連団体との連携や各種議員との調整なども担っています。組合活動の中心的な業務を行う一方で、組合事務員や他の役員たちに業務を分散しながら進めています。
組合の活動に対して当事者意識を広めていきたい
次に、現在の課題や改善したい取り組みについて教えていただけますか?
個人的に一番大きいと思っている課題は、「組合が何をやっているのかの周知が十分でない」ということです。組合費は毎月払っているのに何をやっているかわからず、金銭的な明確なメリットも見えにくいと感じている組合員が多いようです。そうなると「負担しているだけで何もない」という意識になってしまうのがもったいないと思っています。
原因としては、組合員は「執行部が交渉してくれている」「任せておけばいい」という感覚で、執行役員も「専従が色々やってくれる」と思っているところがあるように感じます。頼られていると言えば聞こえはいいですが、人任せになっていて当事者意識が希薄になっている状況があります。
そのため、できるだけ多くの組合員に「組合員として積極的に参加しよう」「手伝おう」という気持ちになってほしいというのが課題だと考えています。この課題を解決するために始めたのが機関紙の内容の改革です。これまでの担当者が作ってきたベースはあり、毎号組合員に知ってほしい大切な内容が掲載されていますが、よくよく聞いてみたら配られた機関紙をそもそも読んでいないという組合員が思いのほか多くいたので、読んでもらうための工夫を始めました。一例ですが、組合と関係ないような私の好きなことを書くブログのようなコーナー「うのっちの小話」を作って、読者を増やそうという取り組みを始めました。
もう一つの課題は、豊田市は面積が広く、市内でも45kmくらい離れた場所があり、移動に往復3時間くらいかかるところもあるため、機関紙や情報を届けるのに時間がかかることです。特に若手職員から「電子化してほしい」「オンラインでできないか」という要望があり、組合のアプリのようなものができないかと考えていました。そのタイミングで「TUNAG」の話も上がってきました。
内容を工夫することで、読まれる割合は増えていますか?
青年女性部の定期大会の参加者に「機関紙を読んでいますか」と聞いたところ、以前は10人も手が上がりませんでした。1年間そのコーナーを続けた後、翌年の同じタイミングで同じ質問をしたら、約85%の人が手を挙げてくれました。参加者は入庁5年目くらいまでの若手職員ばかりなので、これは成果だと思います。
また、庁舎内を歩いていると、すれ違う職員から「今月の記事面白かった」「また変なこと書いてたね(笑)」など、声をかけられることが増えました。そういう点では浸透してきているのかなと感じています。
時代に合わせた工夫で組合を盛り上げてほしい
組合の今後の展望や、次の専従者への期待などをお聞かせください。
組織としては、誰が役員を務めても基本的な方針がブレず、かつ時代に柔軟に対応できる体制を目指したいと思っています。個人的には、それぞれの役員が自分らしさを出して活動できるよう、前任者のやり方に縛られすぎないようにしてほしいと考えています。次の専従者には、私自身がエンターテインメント性を強く打ち出したように、自由に工夫してもらいたいです。歴代の専従職員はそれぞれ特色が違うので、自分の色をうまく出してもらえればと思います。
何が正解ということでもありませんし、最初は不安かもしれませんが、必ずしも前任者と同じ事をする必要はないと思っています。前任者のやり方に縛られて自分らしさが出せないとその人の良さが出てこなくてもったいないので、その辺は気にせずやってほしいですね。
各フェーズや時代に合わせて、その人自身の良さが組織と掛け合わさると良さそうですね。
そうですね。以前からやっていることが「守るべき伝統」なのか、それとも繰り返してはいけない「悪しき習慣」なのか、その見極めをしながら活動していくことが必要だと思います。
〜宇野様、ありがとうございました!〜