「守る」から「創る」へ。西部ガス・カスタマーサービス労働組合が目指す新しい組合のかたち

西部ガス・カスタマーサービス労働組合の山村中央執行委員長(写真右)と、田口書記次長(写真左)に、労働組合の課題解決から、組合活動で注力した取り組みや成果などの組合活動に従事された振り返りを幅広く聞かせていただきました。
組織概要と自己紹介
— 組織概要
山村:西部ガス・カスタマーサービス労働組合です。こちらは、西部ガスのグループ会社になりますので、西部ガス労働組合様の協力のもと、2024年の11月28日、新しい労働組合として結成させていただいております。西部ガスグループの一員として、お客様の暮らしを支える最前線で働く社員の声を、会社経営、制度改善に反映させることを目的として、今回作らせていただいております。
組合員数としては今が189名です。西部ガス・カスタマーサービス労働組合に関しては、専従はいないですね。非専従だけになります。
— 自己紹介
山村:2022年に、私の方が交通事故で大怪我をして、1年以上の休職をしております。やはり職場に復帰する1年間は、同僚とか上司とか家族等に支えられたという、「人とのつながり」の大切さを実感した1年間でした。その経験から、誰もが安心して働ける環境を守りたいという想いが強くなり、労働組合の立ち上げに携わる決意をいたしました。もともとカスタマーサービスという会社が、ガスの4年に1回の保安点検と、ガス料金の検針のほうになっている会社になりますので、この2つの業務に私は携わっているような形になります。
田口:私は西部ガスグループの西部ガス・カスタマーサービスに入社して24年になります。これまで定期保安点検業務および検針業務に従事し、地域のお客さまの安心・安全を守る仕事に携わってまいりました。日々の業務を通じて、現場で働く仲間のさまざまな声を聞く機会があり、その声をより良い職場環境づくりに活かしていきたいという思いから、このたびグループ会社で立ち上がった労働組合の設立メンバーとして活動することとなりました。現在は書記次長を務め、主に組合活動の内容をTUNAGで情報発信する役割を担当しております。今後も職場の仲間の声を丁寧に集め、会社へしっかりと届ける架け橋となれるよう努めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
現状の課題
山村:まず現状としては、まだ立ち上げて1年も経ってないので、今入ってもらっている組合自体を、会社も含めて認知してもらうことを、どうするのかというのが課題として上がりました。またそれとともに、現場の仕事が多いので、もっとこうした方が良くなるとかいう意見も同時に出ているような状態です。会社側とお話しする際も、そういった声を受け止めて、整理して会社側に伝える。その伝えたことを、また組合員の皆様に伝えるというところが、現状といいますか、今、そういった点を考えながらしていっている次第ですね。
最初は、執行部目線から言うと、「社員を組合に勧誘する」というところの認知がなくて、1から10まで説明して勧誘していかなきゃいけないというのが大変な点でした。また「組合って、実際入ったけど何してるの?」という声が、やっぱり組合員からも聞こえるのではないだろうか、という予想がありました。そういう執行部側と組合員側、両面の認知をする方法は、何かないのかなっていうところが、課題と言いますか、そういった点はありました。
組合活動をする上で、組合費をいただかないと活動ができない。要はお金をいただくので、入ってくれた方に対しては、何かメリットを出さないと「何のためにあるの」ってやっぱり組合員の方は思うと思うんですよね。
そのメリットっていうのは、ベースアップだったり、一時金だったりっていうのもあるとは思うんですけど、その他のイベントだったり、「組合員だからこんなこと知れるんですよ」とか、「こんな会に参加できるんですよ」とかも含めて、何かメリットを、情報発信をしていかないといけないと思っています。
組合員からあまり見てもらえない理由もですね。認知されたいというところに関しては、そもそも、まだ活動を何もできていないというか、立ち上げ時から勧誘だけして、2025年の春に初めて会社と交渉したというところになります。ですので、まず組合に入った人も、何が年間的に行事としてあるのかも分かっていない状態だと思うんですよね。我々もそうでしたし、組合活動って実際どういうことをするのとか、そういったところのお話からなってくると思うので、なので最初は事業所として福岡と北九州に事業所がありまして、それぞれの事業所に出向いて、組合員に認知していただくように、直接取り組み内容とかを説明していったという、足を運んでいくっていう回数を重ねてたっていうところになりますね。
新しく労働組合を立ち上げる上で難しかった部分
山村:まず立ち上げ時のメンバー、今執行役員をやっているメンバーなんですけど、こちらと組合を立ち上げる目的や意識の擦り合わせを取っておかないといけないのが大変なところでした。ここを間違うと、他の組合員とかへの伝わり方とかも、立ち上げた目的とかも含めて伝わり方が変わりますので、まずは立ち上げ時のメンバーでの話し合いというのを、かなり回数を重ねて、意識の擦り合わせをさせていただいていました。
意識の擦り合わせで、ちょっとやっぱり感じたところは、「組合員」という言葉だけ聞くと、「会社と何か交渉して対立」じゃないですけど、そういったイメージ、「交渉してダメならストライキ」とか、「ダメなら否認する」とかいうふうに捉えられているところがありました。ただ、とは言っても私たちの方針としては、対立ではなく対話、会社の経営側と協働して、Win-Winな関係でしていきたいというのがありました。なので会社の話も聞きますし、やはり組合員としての伝えるべきことも伝える。一辺倒だけにならないようにしていきたいという思いがあります。会社とともに成長していきたいというのが、労働環境も含めてありましたので、やっぱりそこの「組合」という言葉だけ聞いたときの認識が、違っていることが結構ありました。そこはもう話し合いというか会議というか、回数を重ねることで一応認識はあってきましたね。
現在取り組まれている施策
田口:現在、組合としての情報発信のあり方を見直し、よりタイムリーで身近な形で組合員の皆さんに届けられるよう取り組んでいます。これまでは紙媒体を中心に、各職場の執行役員から配布する形を取っていました。しかし、作成・確認・印刷・配布といった工程を経る中で、どうしても時間がかかり、情報の鮮度が落ちてしまうという課題がありました。また、人や場所の調整にも一定の負担がかかっていました。そこで現在は、社内プラットフォームであるTUNAGを活用し、発信の強化を進めています。
運用にあたって最初に意識したのは、「難しくしないこと」です。組合というと堅いイメージを持たれがちですが、文字だけが並ぶ投稿ではなかなか見てもらえないのではないかと考えました。まずは“何を伝えるか”よりも、“見てもらう習慣をつくること”を重視しています。現在は、主に4名で運営を担当し、執行役員の皆さんからアイデアを出してもらいながら、内容を精査し、優先順位をつけて小出しに発信しています。一度に多くを出すのではなく、「最初に何を見ると興味を持ってもらえるか」を考えながら投稿しています。
その第一歩として取り組んでいるのが、役員紹介です。組合員の皆さんにとって、「今の執行役員は誰なのか」という基本的な情報をまず知っていただくことが大切だと考えました。人となりが見える発信を通して、少しでも身近に感じてもらえるよう工夫しています。今後も、組合をより身近に感じていただけるよう、分かりやすく、タイムリーな情報発信に取り組んでまいります。
今、一番大事にされていること
山村:私たちが最も大切にしているのは、「人と人とのつながり」です。組合は制度を動かす組織である前に、仲間を支え合う人の輪であると考えています。そこで、組合活動で「組合員一人一人の声を必ず吸い上げる」というところは、大事にしているポイントの一つかなと思います。それを会社の方と、吸い上げた意見を交換できるできないって、やはりありますので、それを会社側とも良い関係性を保ちながら、できるところはできる、できないところはできないというところで、協働していく、一緒に考えていきましょうというところです。
決して会社側と対立するようなことが無いようにしていくというのは、うちの組合は思うようにしてやっています。会社からの意見や要望も、やはり組合として、ちゃんと組合員全員に伝えるというのも、役目だと思っておりますので、そこに関しては、伝え遅れなく、全部しておりますね。TUNAGを活用した情報発信やメッセージのやり取りを通じて、職場を越えた「心のつながり」を築いています。顔が見える関係、想いが届く関係。そうした人と人のつながりを守り育てていくことが、私たちの使命です。
今後の理想の組織像
山村:今で言ったら、労働組合が、「組合員を守る」、「雇用を守る」とか、「今の制度やお給料を守る」というところから、何か意見をいただくにあたって、新しく作っていく組織というか、より良い労働環境を作り上げるような組合に少し変えていきたいなというところがあります。私たちは労働組合を「守る組織」から、「創る組織」というところをしていきたいなというのはあります。現場から生まれる発想や気づきを会社と共有し、新しい働き方や制度を共にデザインしていく。そのような共創のパートナーとしての組合を目指しています。
やはり制度とか、会社側との労使の交渉をしていく中で、今で言えば育児休暇などについては、今カスタマーサービスの平均年齢からすると、「こういったことが起きるであろう」とか、「こういったことが考えられる」といった意見を一応いただいています。そういった中で、そういった労使交渉の場を通じて、新しい働き方を会社側に理解していただく。そういうふうなものを作っていきたいなという思いで、今、交渉はしておりますね。「西部ガス・カスタマーサービスで働いて良かった」そう感じる仲間を一人でも増やすこと。それが、私たちが描く理想の未来です。
〜山村様、田口様ありがとうございました!〜



