【後楽園労働組合】目の前のお客さんを喜ばせるために全力になる姿勢を守り、世界一のエンターテイメントカンパニーへ。

株式会社東京ドーム、東京ドームホテル、ATAMI BAY RESORT KORAKUENを運営している東京ドーム・リゾートオペレーションズの3社からなっている後楽園労働組合の中央執行委員長 大野様、前中央書記長 大沼様のお二人に現状から未来について、さまざまお話をお伺いしました!
組織概要と自己紹介
組織概要
弊組は、株式会社東京ドーム、東京ドームホテル、ATAMI BAY RESORT KORAKUENを運営している東京ドーム・リゾートオペレーションズの3社からなっている組織です。事業のメインとしては、東京ドームがある水道橋一帯の地域運営や東京ドームホテルの運営、熱海のホテルの運営を行っており、50年を超えている歴史ある組織です。
3社それぞれで支部体制をとっており、3支部合わせて20名強の役員がいます。専従は3名で、組合全体でいうと現在900人が加入しています。組合員に関しては、全員正社員で非正規の方は入っていません。
自己紹介
大沼:私は中央書記長という役職で、大野の右腕、あるいは右足として組合業務に携わっています。現在は専従として組合業務を行っていますが、7〜8年前の若手の頃は流通事業部に所属していました。当時、労働組合の中央執行委員長が課長的なポジションで会社に戻ってきて、私の上司になりました。2〜3年一緒に働いていたのですが、その上司は非常に尊敬できる方で、仕事においてもプライベートにおいても大変お世話になりました。
その中で、組合という存在や組合の中でどんなことができるのかを知ることができ、普段話すことができないような経営トップと会社の未来や従業員の悩み事に関して膝を突き合わせて話し、それを実際に変えていくことができ、その結果会社が良くなって一緒に働く仲間たちの笑顔が見れるというところに大きな魅力を感じ、組合に関わるきっかけになりました。そこから気づけば外堀が埋まっていて、大野が中央執行委員長になるタイミングで、私は支部の書記長から専従の中央書記長になり、まもなく3年になるところです。
大野:私は、中央執行委員長という立場で組織の長を務めています。入社して13年になりますが、新入社員の頃に社内の各部署の説明会があり、労働組合のパートで「労働組合ではこんなことができますよ」という説明を受けました。そこで、漫画が借りられるという話を聞いたんです。当組合には図書館があり、漫画やビジネス本などが借りられるようになっています。私は漫画が大好きで、早速ドカベンを借りたのを覚えています(笑)それからずっと漫画を借りたり、レクリエーションにちょこちょこ参加したりはしていましたが、執行部の活動にはそれほど携わっていませんでした。
ひょんなことから専従となり、気づけば委員長になっていたという流れです。
現在注力されている業務
大沼:現在、注力している業務は大きく2つあります。一つは、労働組合という組織としての収支構造を見直し、より効果的な活動にリソースを投下することです。もう一つは、東京ドーム支部の人事制度改定です。一年前から人事制度を変えようという動きがあり、その最前線の実務を中心的に担当させてもらっています。
大野:私も同様に、東京ドーム支部の人事制度改定に注力しつつ、組織の長として東京ドームホテルと熱海のホテルの執行部や組合活動全てに関わり、それぞれの活動がうまくいくように努めています。また、当社グループは2021年から三井不動産グループの傘下となり、会社の置かれた状況が変わりましたので、その中で変えていかなければならないところと変えずにそのまま生かした方がいいところのバランスを考えています。
会社自体、コロナ禍で打撃を受けており、社内外の大きな変化を受けたことで以前よりも労働負荷が高まっている状況ですが、どのように東京ドームグループを前に進めていけるか、その中で組合員がいきいきと働けるかを会社と話し合い、組合員にも声をかけながら模索しています。そして、その活動の責任を取りつつ、みんなをサポートしていくのが自分の仕事だと思っています。
後楽園労働組合の今について
現状の課題やお悩みに抱えられていること
大野:先ほどの話と少し重なりますが、会社の形が根本から変わり、上場企業として自主独立していたところに完全な親会社ができ、さまざまなものが変わっていく最中です。具体的には、当社がレジャーを生業とする会社なのに対して、親会社は不動産業が本業ですので、考え方や感度の違いを感じる場面がありました。うまくいっている部分ももちろんありますし、良くなったこともたくさんありますが、一方で各所でハレーションが生じているのも事実です。先ほども申し上げた労働負荷の高まりや、仕事に求められる質の変化への戸惑いなどが挙げられます。
また、当社には本当にさまざまな良いところがあります。例えば、小さい会社ではあるため、皆が顔見知りで、家族的な温かさや目の前のお客様を喜ばせるために全力になるところなど、これまで培ってきた当社グループの強みだと思っています。それをしっかりと生かしたいという思いはあるのですが、その辺りも変化の中で若干弱くなってきているなと肌で感じています。そこも含めて、すべてが良い方向に向かうように何とかしていきたいですね。
大沼:会社としての課題は、今まさに大野が話したとおりです。その中で組合としての課題は、組合員が色々ともやもやしていることに対して、組合としては会社を動かして問題解決につなげていきたいと思っているのですが、なかなか会社を動かせないケースがまだまだあるということです。背景としては、まずは私たちの力不足があると思っています。会社を説得するための論理をそもそも上手く組めなかったり、説得するためのエビデンスを上手く提示できなかったり、直接的な対話の場面で言葉が上手く出てこなかったりというような問題があります。
また一方で、現在会社側も手一杯で、組合とよく関わりがある人事部も手一杯だということが、声にはならない声として伝わってきます。そういった中で、会社側も大小さまざまな問題の全てに手が回っていない実態もあるように感じています。さらには、歴史がある会社ゆえにさまざまなルールや慣習のようなものがどうしても足かせになってくるケースもあります。
このような状況では、組合員からするとどうしても「組合って何をやっているのか、何のためにあるのか」というように存在意義を感じづらい組織になってしまうのではないかと危惧しています。そうならないように、私たちはTUNAGを導入して活動の見える化を図っているのですが、もっともっと組合員から頼られて、何か結果を残せる組合でありたいと思っています。
組合活動の中で大切にされていること
大野:日々さまざまなことが起きていますが、文化の違いや感覚の違いなど、ある種感覚的なことを言語化するのはなかなか難しいと思っています。しかし、そこをしっかりと経営層に伝えることを意識しています。
例えば、不動産会社とレジャー会社ではリスクの考え方に違いがありました。これまでの感覚で言うと「なんでこんな面倒なことをするんですか」と言いたくなるようなことが結構起きてくるのですが、そのままの言葉でただ伝えるだけでは、なかなか理解を得られにくい部分があると思います。
そうなった時に、執行部が現場と経営層を繋ぐ通訳のような立場になることは、大事な役割だと思っています。通訳をするために現場の方の話を聞き、執行部で「こうやったら伝わるんじゃないか」とか「こうやってロジックを組めば相手を動かすことができるんじゃないか」ということを丁寧にやっていくことが大切だと思います。そして、通訳という意味では、経営層の考えを組合員にわかりやすく伝えることもしっかりやらなければいけないと思っています。単純に現場サイドの言葉だけを伝えても会社としてはいい方向にいかないので、経営側の話を聞いてより分かりやすい形で発信すること、調整弁的な部分を担い、会社全体が同じ方向を向いて動けるようにサポートができる組織でありたいと思っています。
大沼:個人的なマインドの部分で言うと、専従の我々が汗をかいて手や足を動かすということをより意識するようになりました。ここ1〜2年で、会社側が多忙な状況がひしひしと伝わってくる中で、組合が待ちの姿勢という状況はあまり健全ではないですし、組合員から頼られる存在にはなり得ないという思いがありました。
例えば、人事担当者と密にコミュニケーションを取る中で、人事の業務が滞っているところがあれば、組合としてそこを巻き取り、業務を円滑に進めるサポートをするくらいの気持ちで、専従としての仕事に取り組んでいます。できているかは分かりませんが、そのような心構えを大切にしています。
後楽園労働組合様の未来
大野:当社は中長期的なありたい姿として「世界一のエンターテイメントカンパニーになる」という構想を掲げています。これまでは、どちらかというと水道橋に来るお客様を楽しませるということが中心でしたが、今後は世界に打って出られるような組織を目指しています。私自身、その構想にワクワクしているので、その目標達成に貢献できる会社でありたいと思っています。
やはり、私としては、これまでの会社の良さである「温かみのある社風」や「目の前のお客様を喜ばせるために全力になる姿勢」を守りながら、仲間と一緒に会社を動かせるように頑張れる組織でありたいです。
大沼:私は今の会社が好きで入社し、就職活動の時には「第一志望は東京ドームです」としか言わないという、今思うと大変なリスクを背負った就職活動をしていました(笑)。
こういった経緯もあり、大野と同じくこの会社や働く仲間のことがとても好きなんです。ただ、この会社がずっと発展していくためには、やはり変わっていかないといけないタイミングだと思いますし、その中で「会社を動かせる存在でありたい」というのは、大野が言ったとおりだと思います。また、私個人としては、会社を変えるための学びを得られる大学のゼミのような存在として、組合がありたいと思っています。仲間たちがそこに集まって、最前線として変える取り組みができ、それを経験したOBやOGがまた会社のポジションに戻って、その場所で活躍することで、組合活動や組合を経験した人に共感する次の世代が組合に戻ってきて、活動して、結果を残して、学んで……というようなサイクルが回っていくと、最終的に良い会社につながっていくのかなと思っています。
〜大野様、大沼様、ありがとうございました!〜