新刊『労働組合の未来を、デザインする。』をアスコムより【10月1日】発売

時代の変化の中、労働組合は変化できているのか
AIが仕事を変え、人手不足が働き方を変え、物価高が暮らしを変えています。若い世代を中心に、職場に不満があれば、職場を「変える」よりも会社を「替える」という選択も当たり前になりました。働き方も、働く人の価値観も大きく変化しています。
では、労働組合はどうでしょうか。毎年、同じ会議、同じ行事、同じ議案書。時間をかけて機関紙をつくっても、組合員からの反応は少ない。若手に活動への参加を呼びかけても、なかなか集まらない。何かを変えようとすると、「前例がない」「昔からこうしている」という声が上がる。組合役員や執行委員として活動する中で、「このままでよいのだろうか」と感じたことのある方も多いのではないでしょうか。
一方、組合員からは、「組合費が何に使われているのかわからない」「労働組合が何をしているのか見えない」「困ったとき、誰に相談すればよいかわからない」といった声も聞かれます。毎月組合費を払っていても、自分が組合員であるという実感さえ持てない人もいます。しかし、これは労働組合が不要になったことを意味するものではありません。
働き方が多様化し、個人のキャリアが流動化し、AIやデジタル技術によって仕事そのものが変わろうとしている今だからこそ、働く人の声を束ね、その未来を支える労働組合の役割は、むしろ大きくなっています。必要なのは、昔の労働組合に戻ることではありません。時代に合わせて、労働組合の役割と活動をアップデートすることです。
当社・佐々木隆寛による初の著書『労働組合の未来を、デザインする。』発売
労働組合をとりまく諸課題をテクノロジーで解決・支援してきた株式会社スタメンでは、こうした問題意識の元、労働組合関係者に向けた書籍『労働組合の未来を、デザインする。』(アスコム)を出版することとなりました。現在の組合活動に悩む役員、執行委員、執行部の皆さんに向けて、これからの労働組合のあり方を具体的に提案する一冊です。
著者の佐々木隆寛は、大手企業の労働組合で専従役員として活動し、中央執行書記長も務めました。労使交渉、組織運営、教育研修、広報、レクリエーション、組織化、政策推進など、幅広い組合業務を経験しています。現在は株式会社スタメンで、金融と労働組合双方の実務経験に、IT・デザインの知見を掛け合わせ、350を超える労働組合の支援に携わっています。
本書で描かれているのは、理想論だけの組合改革ではありません。著者自身が組合活動の現場で悩み、前例のない取り組みに挑戦し、周囲の理解を得られず苦労した経験。そして、全国の労働組合を支援する中で見てきた成功事例や失敗事例。それらをもとに、「実際に何から始めればよいのか」が具体的に示されています。
本書がめざすのは、会社に要求するだけの組織でも、会社の言いなりになる組織でもありません。働く人の声を集め、会社と対等に向き合い、組合員一人ひとりのキャリアと生活を支える組織です。言い換えれば、「会社と闘う組織」から、「働く人の未来を支える組織」へ。労働組合を、未来に向けてデザインし直すための実践書です。
これからの労働組合に必要な3つのアップデートとは
本書では、労働組合の存在価値を高めるための柱として、次の3つを提案しています。
◆1 教育 組織・個人の成長の基盤となる要素
これまで労働組合における教育は、組合の歴史や規約、労使関係、役員育成などを学ぶ「組合教育」が中心でした。もちろん、こうした教育は今後も必要です。しかし、変化の激しい時代に組合員の雇用を守るためには、それだけでは十分ではありません。
本書では、労働組合が行う教育を「守りの教育」と「攻めの教育」の二つに整理しています。「守りの教育」とは、給与明細の見方、就業規則、休暇や福利厚生制度、ハラスメントへの対処法、トラブルの際の記録の残し方など、働く人が自分の権利と生活を守るための実践的な教育です。制度を知らなかったために、本来受けられる補助や休暇を利用できなかった。問題が起きても、何を記録すればよいかわからなかった。こうした機会損失や不利益を防ぐことも、労働組合の重要な役割です。
一方、「攻めの教育」は、組合員一人ひとりの能力や市場価値を高めるための教育です。AI活用、マーケティング、財務、マネジメント、コミュニケーションなど、会社の外でも通用するポータブルスキルを学べる機会をつくる。会社の人事部には相談しづらい、異動、転職、独立などのキャリアの悩みに、中立的な立場から寄り添う。終身雇用が揺らぎ、仕事の内容が急速に変化する中で、組合員が自ら働き続ける力を身につけられるよう支援することは、新しい時代の「雇用を守る活動」です。
組合員の成長は、企業の生産性を高め、結果として労働組合の交渉力も強くします。教育は組合員のためであると同時に、組織と会社の未来への投資でもあります。
◆2 広報 組合員に知ってもらい、理解と共感を生み出す要素
「労働組合が何をしているのかわからない」この言葉は、活動していないという意味ではありません。役員や執行部が懸命に活動していても、その過程や成果が組合員に伝わっていないことはよくあります。どれほどよい活動をしていても、伝わらなければ、組合員にとっては存在しないのと同じです。
本書では、労働組合の広報を、組織をよく見せるための飾りではなく、情報の透明性を高め、組合員との信頼関係を築くためのインフラとして捉え直します。例えば、労使交渉の結果だけでなく、どのような意見を集め、会社と何を話し、どのような判断をしたのかを伝える。組合費の使い道を、難しい会計書類だけでなく、円グラフなどでわかりやすく示す。役員がどのような課題に向き合い、何に挑戦しているのかを、継続的に発信する。また、数カ月に一度、完成度の高い機関紙を発行するだけではなく、短い情報を高い頻度で届けることも重要です。
「丁寧に、少なく」ではなく、「速報を、たくさん」。週に一度でも、数百文字の短い情報をスマートフォンに届けることで、組合員と労働組合との接点は増えていきます。さらに広報は、一方的に情報を送るだけではありません。組合員が意見や疑問を伝えられる仕組みを整え、その声にきちんと応えることも広報の一部です。
組合活動の透明性を高めることは、「何をしているかわからない」という不信感を減らすだけでなく、役員のなり手不足を解決する第一歩にもなります。活動が見え、そこで得られる経験ややりがいが伝われば、「自分も関わってみたい」と思う人は必ず現れます。
◆3 デジタルシフト 組合員と接点を増やし、組織の成長を促進させる要素
労働組合のデジタル化というと、紙をなくすことや、会議をオンラインにすることだと思われがちです。しかし、本書が提案するデジタルシフトの目的は、単なる効率化ではありません。時間や場所に縛られず、誰もが組合活動に参加できる状態をつくることです。
スマートフォンから情報を受け取る。アンケートに回答する。意見を伝える。投票する。学びのコンテンツを見る。役員に相談する。こうした環境を整えることで、育児や介護をしている人、交代勤務の人、遠隔地で働く人、集会や飲み会に参加しづらい人も、労働組合との接点を持てるようになります。
また、アンケートの集計、出欠確認、資料の印刷、会議の準備などに費やしていた時間をデジタルで減らすことができれば、役員は組合員の話を聞き、職場を回り、会社への提案を考えるという、本来取り組むべき活動に時間を使えます。デジタルは、人と人とのつながりを減らすためのものではありません。事務作業を減らし、組合員と向き合う時間を増やすためのものです。
本書の5つの魅力 組合役員経験者だから語れる実践的な内容
◆魅力1 現場で感じている違和感を、言葉にしている
「毎年同じことの繰り返しになっている」「若手が参加してくれない」「何かを変えたいが、どこから手をつければよいかわからない」。本書は、多くの役員が抱えながらも、うまく言葉にできなかった悩みを整理します。課題の正体が見えることで、「自分だけが悩んでいるのではない」「変えられない問題ではない」と気づくことができます。
◆魅力2 これからの労働組合の役割が見えてくる
本書は、これまでの労働組合の功績を否定するものではありません。賃金、雇用、労働条件を守ってきた歴史を受け継ぎながら、組合員のキャリア形成、学び、ウェルビーイングを支えるという、新しい役割を提案します。過去を守るだけでなく、未来を創る組織へ。その転換の方向性が明確になります。
◆魅力3 実際に改革した労働組合の事例から学べる
本書には、教育、広報、デジタルシフトに取り組んだ労働組合の具体的な事例が収録されています。外部の学習サービスを活用した教育、組合員の行動につながる広報、スマートフォンを活用した情報発信や意見収集など、すでに動き始めている組合の実践内容を知ることができます。「うちの組合とは規模や業種が違う」と切り離すのではなく、自分たちに取り入れられる工夫を探すためのヒントが詰まっています。
◆魅力4 役員としての経験を、自分の成長につなげられる
組合役員は、決して「面倒な役割」だけではありません。経営陣との対話、予算管理、組織運営、企画、広報、交渉、合意形成など、通常の業務では得にくい経験を積める場でもあります。本書を読むことで、組合活動を「任期が終わるまでこなす仕事」ではなく、自分の視野やスキル、人脈を広げる「成長の機会」として捉え直すことができます。
◆魅力5 明日から始められる小さな一歩がわかる
組合を変えるために、最初から大規模な改革を行う必要はありません。
・会議の時間を短くする。
・紙の資料を一つ減らす。
・組合員向けのお知らせを短く、わかりやすくする。
・組合費の使い道を見える化する。
・会社の決算や業界動向を役員同士で学ぶ。
・若手が参加しやすい時間帯に企画を変える。
本書には、このようなスモールステップが数多く紹介されています。
「これなら、自分たちにもできそうだ」と思える一歩が、きっと見つかります。
労働組合の未来を変えるのは、現場にいる一人ひとり
労働組合を変えるのは、特別な知識や権限を持つ誰かではありません。現場で活動しながら、「このままでよいのだろうか」と違和感を持ち、「少し変えてみよう」と考える一人ひとりです。
前例を変えようとすれば、反対意見も出ます。新しい取り組みが、すぐに成果につながらないこともあります。それでも、変えようとする人がいなければ、組織は変わりません。組織が変わらなければ、働く人の未来も変わりません。
本書のテーマは、労働組合を過去に戻すことではありません。働く人が自分のキャリアを前向きに考えられるように。会社と従業員が、対立ではなく対話を通じて成長できるように。変化の激しい時代でも、一人ひとりが安心して挑戦できる職場をつくれるように。労働組合を、未来に向けてデザインし直すことです。
現在、組合活動に悩んでいる方。新しいことを始めたいけれど、一歩を踏み出せずにいる方。役員としての任期を、より意味のあるものにしたい方。ぜひ本書を手に取り、自分たちの組合の未来を考えてみてください。
読み終えたとき、きっとこう感じていただけるはずです。
「うちの組合も、まだ変えられる」
「役員を引き受けた経験は、自分の力にできる」
「この時代だからこそ、労働組合には果たせる役割がある」
労働組合の未来は、誰かが用意してくれるものではありません。その最初の一歩を、皆さんのいる場所から始めてみてください。
著者プロフィール

佐々木隆寛(ささき・たかひろ)
大手企業の金融事業にて銀行業務に従事。住宅ローンおよび資産運用業務(投資信託・NISA・外貨預金等)を担当する。その後、労働組合にて専従役員(中央執行書記長)を務め、労使交渉、組織運営、教育研修、広報、レクリエーション企画、組織化、政策推進など幅広い業務に携わる。あわせて上部団体(労連)との兼任も経験。
現在は、SaaS企業である株式会社スタメンのカスタマーサクセス部長を経て専門役員。金融・労働組合双方での実務経験と、同社のIT・デザインの強みを掛け合わせ、350を超える労働組合の支援に従事している。全国での講演・セミナー活動のほか、note等での情報発信も行う。
note
https://note.com/sasaki_takahiro
書籍概要
書名:『労働組合の未来を、デザインする。』
著者:佐々木隆寛
発売日:2026年10月1日
定価:本体2,000円+税
仕様四六判:310ページ
ISBN:978-4-7762-1488-5
発行:株式会社アスコム
販売:全国の主要書店およびオンライン書店
Amazon:https://amzn.asia/d/0dBvEDec




