組合活動におけるスマホ活用のススメ

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組合活動でスマホを活用するメリット

組合活動において、従来のアナログな運用からスマートフォン(スマホ)の活用へとシフトすることは、今の時代に合っており、より効率的で環境に優しい運営を実現するために重要です。ここでは、その理由とメリットを具体的に掘り下げてみましょう。

ペーパーレス化を促進

組合活動におけるスマホの活用は、ペーパーレス化を促進することにつながります。ペーパーレス化は、印刷コストや発行・配布の労力の削減だけでなく、環境保護にも貢献します。

福利厚生の申請などの業務も、紙から電子化することで、組合員が紙の書類を作成し、それを担当者に提出するという手間がなくなります。申請・承認作業もスムーズになり、効率的な業務遂行が可能となります。

タイムリーに情報を届けられる

スマホの活用により、情報発信の速度が向上し、組合員への情報提供が迅速に行われます。従来の紙の機関紙では、情報の更新が遅れがちでしたが、スマホなら即座に情報を更新し、重要なお知らせや変更事項を迅速に伝えることが可能です。

組合員はいつでもどこでも情報にアクセスできる

現代の生活スタイルの変化により、組合員が機関紙やウェブサイトに目を通す時間的余裕が減少しています。しかし、スマホならば休憩時間や移動中など、さまざまなシーンで簡単に情報をチェックすることができます。

プッシュ通知による即時の更新通知

プッシュ通知は、組合員がアプリを開かなくても、重要な情報や緊急のお知らせをスマホの画面に即座に表示する機能です。例えば、組合からの重要なお知らせや急な変更事項があった際に、組合員にすぐに通知することができます。この機能により、メールやウェブサイトを定期的にチェックする手間を省き、組合員は常に最新の情報を受け取ることができます。

カラーの動画や画像を載せられる

スマホを活用することで、カラーの画像や動画を活用した情報発信が容易になります。これまでインク代などの制約で難しかったカラーの表現も、スマホなら容易に実現できます。カラーの画像や動画は、情報をより視覚的に分かりやすく、興味を引きつけるのに効果的です。これにより、組合員の関心を高め、情報の理解度を向上させることができます。

労働組合のスマホ・デジタルツール活用について分かるレポート

座談会『労働組合の現在と未来を語る』|日本労働研究雑誌 2023年9月号」では、労働組合の現代的な課題と取り組みに関する広範な議論が含まれています。これらの議論から、スマートフォンやデジタルツールが労働組合の活動にどのように役立つ可能性があるかについて、いくつかの洞察を得ることができます。

例えば、非正規労働者の組織化や組合活動のあり方に関する議論では、スマートフォンを活用して情報共有やコミュニケーションを強化することが、組織率の向上や組合員間の連携強化に寄与する可能性が示唆されています。また、組合員が直面する多様な課題に対応するために、スマートフォンアプリやオンラインプラットフォームを通じてリソースを提供し、支援を行うことも考えられます。

労働組合がスマートフォンを活用することで、組合員との直接的なコミュニケーションを促進し、組合活動への参加を容易にすることができます。例えば、組合員向けのアプリを開発して、組合のニュース、イベント情報、教育資料などを提供することが可能です。また、スマートフォンを利用してオンラインでの会議や研修を実施することで、地理的な制約を超えて組合員を結びつけることができます。

このように、スマートフォンやデジタルツールの活用は、労働組合が直面する現代的な課題に対応し、組合活動を強化するための有効な手段となり得ます。労働組合は、これらのツールを活用して組織率の向上、組合員間のコミュニケーションの強化、そして社会的な影響力の拡大を目指すことができるでしょう。

従来のイントラネットの限界点

紙の機関紙と一緒に、組合のイントラネットのホームページでも情報を発信しているところは多いと思います。

スマホとイントラネットを比べると、スマホは情報にアクセスしやすいという利点があります。

イントラネットでは、基本的に社内ネットワークを通じてしかアクセスできません。これはセキュリティを強化する手段ですが、結果としてアクセスできる場所が制限されてしまいます。この制限は、外回りの営業や海外出張・赴任中の人々にとって、重要な情報や利点へのアクセスを妨げるものです。

また、忙しい勤務時間中には情報を確認する余裕がない人々もいます。仕事が終わった後や休日に情報を見たいときでも、イントラネットを使うのは難しいので、情報を得るのが困難になります。

イントラネットのアクセス制限は、組合員の間で情報にアクセスする機会に不平等をもたらします。特典の情報や施設の利用に関する情報など、本来は誰もが得られるべき利点が、アクセスの制限で得られない場合があります。これによって、組合員の間で不公平感が生まれ、組織内の士気や団結力が損なわれる可能性があります。

また、20~30年前に作成されたホームページを今も使っているイントラネットもありますが、そのデザインの古さや使い勝手の悪さに問題があります。現代ではスマホなどの最新のデジタル技術が普及している中で、組合のホームページが古いままだと、使いにくさを感じる人が増えるでしょう。

イントラネットへのアクセスが難しく、サイトも古くて使いにくいとなると、アクセスする組合員は限られるでしょう。

スマートフォンを労働組合で活用した事例

スマートフォンを活用した労働組合の取り組みについて、連合総研レポートNo.389「労働組合はデジタルを武器にできるのか?」からの事例を紹介します。

特に注目すべきは、茅ヶ崎市職員労働組合が行った取り組みです。彼らは組合員向けアプリの導入を通じて、組合活動の「見える化」を図り、情報発信力の強化を目指しました。このアプリは、組合員がいつでもどこでもアクセスできるように設計されており、組合員の間でのコミュニケーションの活性化や業務効率の向上に貢献しています。

このアプリの導入に至るまでの経緯として、組合活動の見える化が長年の組織課題とされていましたが、具体的な解決策には至っていませんでした。紙媒体の機関紙が主な情報発信ツールであったものの、組合員が機関紙を読む時間的余裕がなくなってきている現状がありました。そこで、通勤中や自宅でのスキマ時間にスマートフォンを通じて組合員に情報を届けることができないかという発想から、組合員専用アプリの開発に至りました。

この事例からわかるように、スマートフォンを活用することで、労働組合は組合員とのコミュニケーションを強化し、情報の迅速な共有、組合活動の効率化を実現しています。デジタル化は、労働組合が直面する課題に対処し、より効果的な活動を展開するための重要な手段となっています。

まとめ

この記事では、組合活動におけるスマートフォン活用の重要性について解説しました。

従来、直接の対面コミュニケーションを重視してきた労働組合も、現代では社会や職場でのデジタル変革(DX)が進み、人々がITツールを活用することを歓迎する傾向にあります。このような状況下で、組合もデジタル化に対応する必要があります。

一方で、「若者の組合離れ」という現象も起きており、組合活動の活発さに課題があることは否めません。組合執行部は、機関誌などで情報発信を行っているものの、その情報が組合員に適切に届いているかどうかに不安を感じています。組合の役割や目的が十分に伝わっていない状況が加速しています。

この問題解決のために、スマートフォンの活用が有効な解決策の一つとして挙げられます。組合員に直接情報を提供し、コミュニケーションを強化することで、組合活動の透明性や参加意欲を高めることが期待されます。

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この記事を書いた人

筑波大学国際総合学類卒業。2023年にスタメンに入社し、人事労務・情報セキュリティに関するデジタルマーケティングを担当。 現在は「for UNION」の立ち上げメンバーとしてメディア企画に従事。

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