労働組合の情宣活動(情報宣伝活動)とは?組合の情報を届けるためには

目次

労働組合の情宣活動(情報宣伝活動)とは?

労働組合の情宣活動(情報宣伝活動)とは、組合員との強固な関係を築き、組合の方針や活動内容を伝えるための活動です。

主な発信内容

  • 春闘や交渉実績など、組合の活動内容
  • 組合行事などの報告・案内
  • 組合員の育成を目的とした教育コンテンツ
  • 執行部と組合員、組合員同士のつながりを図ったコラム

労働組合がどれだけ熱心に活動していても、情宣が不十分であったり、組合員と執行部との交流が限られていると、組合の存在意義や存在価値を感じてもらえず、組合員の関心の低下に繋がる可能性があります。

労働組合は組合員からの組合費によって運営されており、組合員は自らが支払った組合費がどのように使われているかを知りたいと考えています。情宣活動を通じて組合費の使途を明らかにすることは、組合の責任であり、透明性を高めることで組合員の信頼を得ることにつながります。

労働組合における情宣の手段

労働組合における情宣活動としては、主に以下のような手段があります。

機関誌

機関誌とは、労働組合の活動報告、重要なお知らせ、組合員の意見や体験談などを掲載する定期刊行物です。伝統的に紙媒体で発行されてきましたが、デジタル化の波に乗り、近年ではオンライン版の機関誌も増えています。

紙の機関誌は、デジタルに慣れていない組合員にも読みやすく、物理的な形で残るため、いつでも容易に読み返すことが可能です。しかし、制作から配布まで時間がかかり、情報が古くなるリスクもあります。

一方、デジタル機関誌は、情報の更新頻度を上げることができ、スマートフォンやタブレット、PCを通じていつでもどこでもアクセス可能で、ペーパーレス化にも寄与します。ただし、新しいツールを導入する際には、そのツール費や組合員への使い方の周知など、総合的な費用対効果を考慮する必要があります。

ホームページ・イントラ

労働組合のホームページやイントラネットは、情報を組織的に整理し、組合員や一般の人々に対してアクセスしやすい形で提供するための基本的なプラットフォームです。

ホームページでは、組合の基本情報、目的、活動報告、ニュースリリース、イベント情報などを公開し、組合の活動を広く社会に伝えることができます。また、イントラネットを利用することで、組合員専用の情報共有スペースを設けることが可能となり、内部のコミュニケーションを促進し、組織の一体感を強化することができます。

多くの組合では、20~30年前に制作したホームページを今も使用していることがありますが、そのデザインの古さやスマートフォン対応の不足などの問題が生じています。

さらに、社内イントラネットを利用した組合員専用ページの場合、社内PCからのみアクセス可能なことが多く、社内PCを使用して情報を得る必要があるため、アクセスのハードルが高いと感じることがあります。

公式LINE

休憩時間や移動中など、日常的にスマートフォンを使用する現代において、組合の情報を伝える手段として公式LINEを採用している組合も存在します。

LINEはプライベートでの使用者も多く、操作方法の周知が不要であるため、普段からLINEをチェックする際に自然と組合の情報も閲覧しやすいです。

しかし、LINEをプライベートで使用している組合員が、組合活動にも同じSNSを使用することになると、仕事とプライベートの区別をつけたい人にとっては抵抗感があるかもしれません。

公式LINEアカウントの作成方法は簡単で、以下の動画で分かりやすく解説されています。

SNS

FacebookやX(旧Twitter)などの各種SNSを通じた情報発信は、リアルタイムで組合員だけでなく広範囲に情報を伝えることが可能です。

画像を含む投稿を行ったり、リアクションを得ることで、魅力的なコンテンツを作成できます。

ただし、フォローされているからといって、必ずしも組合員が投稿を見るとは限りません。SNSのタイムラインには数多くの投稿が流れるため、組合の投稿が他の投稿に埋もれて見落とされることがあります。

また、プライバシーの問題やネガティブな反応への対処など、注意すべき点もあります。

労働組合の情宣活動で発生しがちな問題点

機関誌やホームページ、各種SNSなど、労働組合の情報宣伝活動には様々な媒体がありますが、共通して発生しがちな問題点は主に次の2つです。

情報が見られていない

機関誌などを通じて組合の情報を発信しても、組合員がそれを見てくれないことがあります。

労働条件の改善や賃金の引き上げなど、組合が苦労して勝ち取った成果も、組合員に知られていなければ意味がありません。

組織内で組合の情報を見ない人が増えると、連帯感が薄れ、組合活動への無関心という問題が生じることにも繋がります。

情報が正しく伝わっていない

組合の取り組みについて説明しても、その情報が組合員に正しく理解されず、時には誤解を招くことがあります。

たとえば、組合が既に進めている活動に関して、「組合はなぜ対応してくれないのか」という疑問が、アンケートを通じて組合員から寄せられることがあります。

これは、組合からの情報発信が組合員に適切に届いていない、または誤解を招いていることを示しています。

組合側が明確に説明しているつもりでも、そのメッセージが組合員に正確に伝わっているとは限らないため、この点に注意が必要です。

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労働組会の情報発信が組合員に見られる・伝わるには?

「せっかく機関誌を作成しても読まれない」「どうすれば組合に関心を持ってもらえるか」といった悩みを抱える組合関係者は少なくないでしょう。

紙の機関誌を発行したり、組合員専用のウェブサイトに情報を掲載しても、それが組合員に実際に読まれているとは限りません。

組合員に情報が見られる・伝わるようにするためするためのポイントについて解説します。

情報にアクセスできる「場所」を確保する

多くの労働組合が直面する課題の一つに、情報へのアクセスの難しさがあります。特に、社内のイントラネットを主な情報発信の場としている場合、アクセスのハードルが高くなりがちです。

情報へのアクセスを容易にするためには、組合員が気軽に情報に触れられる「場所」を確保することが重要です。

例えば、ある組合では、組合員専用のホームページを設けて活動情報を発信していましたが、共有のパソコンが限られており、組合員が頻繁に情報をチェックすることが難しい状況でした。さらに、「パソコンをあまり使わない」「パスワードやIDを忘れがち」という問題もありました。また、社内イントラネットのみで情報を共有すると、外回りの営業や海外出張、海外赴任中の組合員が情報にアクセスできないという問題も生じます。

このような課題を解決するために、外部からアクセス可能なウェブサイトやSNSの活用、スマホからの閲覧対応、プッシュ通知機能ど、組合員が情報に用意にアクセスできる「場所」を整えることで、労働組合の活動への関与と理解を深めることができます。

情報にアクセスできる「時間」を確保する

業務内容の複雑化、業務量の増加などによって、日中に組合員が機関紙に目を通すだけの時間的余裕は得づらくなっています。

ホームページやイントラは自分から見に行く必要があるため、よほどその情報を見にいきたいと思うものでない限り、発信を見ようと思う組合員は少ないでしょう。

解決策の一つとしては、みなさん、お昼休憩や仕事が終わった後などのタイミングでスマホを見ますので、その辺りをターゲット時間とすることです。ホームページは自分から見に行くものである反面、アプリは何もしなくても情報を受け取れるというメリットがあるし、みんながスマホで使っているので使いやすさもあるだろうということで、スマホを使って情報を見れるようにすること。

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この記事を書いた人

筑波大学国際総合学類卒業。2023年にスタメンに入社し、人事労務・情報セキュリティに関するデジタルマーケティングを担当。 現在は「for UNION」の立ち上げメンバーとしてメディア企画に従事。

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