【ケーズホールディングスユニオン】みんなが同じ熱量で同じベクトルを向いて活動できる組織を目指したい。

親会社のケーズホールディングスに属するケーズホールディングスユニオンの書記長の赤川様(写真左)、副執行委員長の香取様(写真右)に労働組合の未来についてお話をお伺いしました!(以下、敬称略)

目次

組織概要と自己紹介

組織概要

赤川:ケーズホールディングスユニオンは、1997年2月28日にケーズデンキの配送業務を担当するメンバーを中心に結成されました。当初は配送業務のメンバーが大半を占めていましたが、現在では家電販売を担当するメンバーが8割以上を占めるような構成に変わっています。また、株式会社ケーズホールディングスは北海道から沖縄を除く九州まで全国に店舗を構えていますが、親会社のケーズホールディングスに属するケーズホールディングスユニオンは、関東と山梨県の店舗を担当しており、同エリアに所属する組合員で構成されています。

組織の人員構成については課長以上の職位が非組合員、店舗だと店長が非組合員になります。また、週30時間以上勤務のパートタイマーの方が組合員になります。普段の活動については、定期大会で承認された活動方針をもとに、次の4つのチームに分かれて活動しています。

1.労働条件をテーマに活動するチーム。2.職場環境をテーマに活動するチーム。3.組織教育、情報宣伝をテーマに活動するチーム。4.共済関係、レクリエーションをテーマに活動するチーム。これらのチームがそれぞれのテーマに基づいて活動を展開しています。

組合に関わる経緯や現在の業務内容

赤川:当時、執行部メンバーだった方が、たまたま私の配属先の店舗の店長に昇進することが決まったため、組合を外れないといけないことになりました。執行部メンバーが入れ替わりをしないといけないタイミングで、ちょうどその店長になる方に執行部に誘われ加入しました。正直に言うと、最初の約7年間はただ在籍しているだけで、特に楽しさも感じず、役割として仕方なく業務をこなしていました。しかし、2010~2011年頃に転機が訪れ、組合活動に前向きに取り組むきっかけがありました。

その頃、会社の評価制度を見直すために組織内で議論する機会があり、私もそのプロジェクトに参加しました。その際、「これはもっとこうした方がいいんじゃないか」「ここは逆にやめた方がいいんじゃないか」と意見を発信し、積極的に業務に取り組むことで、自分の意見が会社の制度や取り組みに反映され、実現されていく過程を実感しました。そうした経験を通じて、徐々にではありますが、組合活動が楽しく感じられるようになってきました。

2012年に専従となったタイミングで、ちょうど労使協議のプロジェクトがありました。具体的には、プロジェクト会議で賃金制度や身だしなみの基準決めなど、様々な内容を会社と議論する機会があり、専従初期の頃は会社制度についてひたすら考えていました。

2013年から書記長を担うようになり、労働条件の中でも賃金交渉を中心に考える役割として、一番の注力業務となりました。それと同時に、労使プロジェクトでの各制度のカスタマイズやバージョンアップ等の協議検討も年間を通じて活動しています。

香取:私は、元々はケーズホールディングスのフランチャイズの企業に在籍していました。所謂「ケーズデンキ」の看板を掲げる、株式会社ケーズホールディングスとは別会社の家電量販店です。2008年にケーズホールディングスに吸収合併となり、元の会社は解散となるのですが、ケーズホールディングスはその時に勤務していた従業員全員を受け入れてくれました。これにより、私も含めた全員がそのままケーズホールディングスの従業員となりました。

前の会社には労働組合がありませんでしたが、ケーズホールディングスに吸収合併されたことで、労働組合の存在を知り、その後、職場の組合リーダーである代議員を務めることになり、少しずつ組合活動を実感するようになりました。私は何も知らないままケーズホールディングスの社員となってしまったため、会社の評価制度や人事制度などについて全く分からない環境に身を置くことに対して非常に不安を覚えました。しかし、組合活動に参加すれば少しでも会社理解に繋がる近道になるかもしれないと思い、吸収合併した1年後の2009年に執行部を務めさせていただくことになりました。

ただ、初めての組織や仕組みで何も分からない環境だったため、最初の印象は「他の執行部メンバーの皆さんがすごいことをしているな」というものでした。逆に、こんなすごい環境に来てしまって、自分に何ができるのだろうと不安に感じていましたが、そのような中でも少しずつ役割を与えられたり、発言する場が出てきたりして、徐々に業務に慣れていきました。

ある時、執行部の前任者退任により、専従者に相当な負担がかかってしまい、組織として何とかしなければいけないと感じていました。その当時は、私も中堅メンバーとして、組織全体の課題や実態も理解できるようになっていたので、「専従者を置かなきゃいけないな」とは思っていました。そんな中で現委員長から、「今後、専従が出来るかどうかを含めて活動をする方向で検討してほしい」と共有を受け、それであれば、「その勉強も専従でやらせてください」ということで、私が飛び込んできて、現在専従として活動しています。

今まで非専従として、店舗で仕事をしながら、休みの日を使って組合活動に取り組んでいたため、やはり想像していたものとは全然違くて、専従になって最初のうちは、自分の腹にも落としにくい部分が多く、現在5年が過ぎましたが、ようやく専従という職務をこなせるようになってきたかなというレベルです。

私の役割としては、非専従の組合員と専従の執行部とのバランサーとなり、みんなが企画したことを実現するためにお手伝いする、そういったことを心がけています。どうしても専従者の意見に引っ張られることが多くなってしまうので、なるべく皆さんの困っていることに対して、サポートできればいいなと思い、日々活動しています。

ケーズホールディングスユニオンの現状や課題について

赤川:やはり、組合に関与される方や組合活動に積極的に関わる方が減少している点が大きな課題として感じています。組合員全体から考えると、組合に積極的に関わっている方はほんの一握りだろうなっていうのが正直なところです。実際に、TUNAGの初期導入時のログイン率や定量データを分析すると全てが見える化されているので、組織の状態や組合への関心度合いもよく分かります。組合費は払ってるんだけど、なんで払っているのか理解されてない人っていうのはまだまだ多いのが実態です。

実際に、組合がなかったら賃金交渉するのは従業員本人が対応することになるので、組合の存在意義を理解いただきながら、積極的に関与する人をどれだけ増やせるかが課題だと感じています。むしろそれに尽きるかなと思っていますし、どれだけ組織として1枚岩になれるかが重要だと思うので、上記の課題解決に向けて、思考錯誤を繰り返している状態です。

香取:私からは、執行部内のもう少し狭い範囲でお話させていただけたらと思います。冒頭の組織概要でも触れましたが、それぞれ執行部メンバーのみんなは、各チームや個人ごとに役割を持って日々活動をしていますが、何か一つやるべき施策や取り組みを決めて、いざ実行するとなっても、みんなが同じ熱量で同じベクトルを向いて活動が出来ているかと言われるとどうしても温度差が出てきてしまうことが課題です。

組織として、どれぐらいのパワーを使い、どの方向に向かっていくのか、この辺りが各個人ごとにミッションや課題もある中で、組織としての統制やバランス感覚をどう保っていけばいいのかが難しいと感じているところですね。

課題に対しての現在取り組んでいる事、打ち手など

赤川:TUNAGの宣伝みたいになってしまいますが(笑)、正直、今お話しした課題解決の救世主は、TUNAGなんですよね。実際に、TUNAGを大きな軸として組合運営をしています。具体的には、各種申請書類関係が今までだと紙やFAX、文書などのやりとりが横行していましたが、今ではペーパーレス化を実現し、半強制的にTUNAG経由じゃないと、申請対応出来ない導線設計にし、登録促進を図りました。

さらには、組合行事やイベント等の活動報告も可能な限りリアルタイムで情報発信するように心がけていますね。上述の課題にもある通り、組合に関与する方を一人でも多く増やしていきたいと思っているので、タイムリーに更新し、組合員に組合の様子を届けて、知ってもらえるように、意識的に活用していきたいと思っています。

また、組合員が3,500名いるので、一人一人に直接声がけするのも物理的に難しいので、こういった便利なツールやアプリを一緒に有効活用していきながら、組合活動への関心や関与度を高めていきたいと考えています。今までの取り組みの結果、アプリの定着率も徐々にではありますが増加していますので、活動内容の周知や認知度も上がってきているのかなと思います。

香取:イベントやレクリエーションの参加申し込みも今までFAXで実施していましたが、現在はTUNAG1本にしているので、集計やとりまとめも以前と比較すると工数の軽減に繋がっています。組合員とのやりとりも以前より対話しやすくなりました。今までだと、電話かけなきゃいけなかったですし、電話してもお休みだと繋がらなくて、何度も連絡してしまうことも無くなりましたので、結果的に本来やるべき業務や組合員との対話にも繋がっています。

組合運営で大事にしていること

香取:「組合が何やっているのか分からない」というようなお話もありますが、それはそれで良いんじゃないかなと思っている節も実はありまして。もちろん、組合員にタイムリーに情報発信していくことも今以上に改善していくことは大前提としてありますが、逆に組合が目立つようになったら、それはそれで危ない時だとも思っています。

逆に目立ってくると会社が危ない状況なんじゃないかと思われてしまうケースもあると思うので、この辺りは、正しく適切に情報発信はしていきながらも、塩梅を大事に、状況を見ながら、周知していくことは気をつけていますね。

赤川:私もなんだかんだ20年以上携わっているなかで、2年に1回は役員改選期で新しく執行部に加入するメンバーが出てきますが、新メンバーの考えていることや思いが分からない時も実はあります。理解するのも大変ですし、世代的なギャップも開いてくるので、そういった新しいメンバー達の目線に立てなくなっているなとひしひしと感じています。

新しいメンバーも経験が浅いのはしょうがないことなので、むしろ初めて入った人も正しく理解できるように丁寧に報告することも大事だなと痛感していますし、自分自身も伝えることを諦めずに、「多分伝わっていないんだろうな」とあえて常に意識し、取り組むようにしています。

未来への想いや実現したい事、ありたい姿について

赤川:現在の各店舗内の組織構成が、店長は非組合員で、店長以外は組合員という状況になっているので、店舗によっては、店長がぽつんと浮いちゃってたりすることもあるんですね。仮にその店舗で何か課題があった時に、例えばその店長が、「組合員だったら相談できるけど、私は組合費払ってないから相談したらダメなんじゃないか。」と思ってしまい、会社にも言えず、組合にも言えず、一人で問題を抱えてしまっているケースも実際にありました。

今は、会社側とも協議しながら、中長期の目標として、組合員の範囲を可能な限り広げていきたいと掲げていますので、範囲を広げて、より幅広い意見を集約していくことで、より良い制度改定へ繋げていきたいと、近い将来の理想像として考えていますし、実現したいと思っています。

香取:今は、何か取り組みをしようとすると、執行部でアイデアを練って、専従がそのアイデアを形にしていく流れになっていますが、ここを組合員の意識を変えていきながら、組合員のみんなが作ったものを執行部全体で形にしていく体制が理想かなと思っています。我々が企画して、それを組合員に展開しても、それだけでは、本当に組合員が求めているものにならないんじゃないかと思っています。

だからこそ、組合員が企画をして形にすることで、自発的に意見やアイデアが生まれ、執行部が支援するみたいな状態を作っていきたいと思います。

~赤川様、香取様、ありがとうございました!~

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この記事を書いた人

「for UNION」編集長。
2020年にスタメンに新卒入社。
その後、2022年1月に労働組合向けアプリ「TUNAG for UNION」を立ち上げ、現在はマネージャーとして、事業拡大に従事。

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