【茨城県教職員組合】茨城県教職員組合がめざす「組合活動の見える化」と未来への挑戦

茨城県内の小中学校約1万人の教職員で構成される茨城県教職員組合。今回は、組織部長(2024年度)兼書記次長の阿須間様に、組合活動が抱える課題やその改善に向けた取り組み、情報共有ツール「TUNAG」導入への期待、そして教職員組合がめざす未来について詳しくお伺いしました!
茨城県教職員組合の組織概要と執行部の役割
―最初に組織概要について教えていただけますか。
阿須間:茨城県の小中学校の教職員が組合員です。組合員は約1万人です。県内の小中学校全てに分会があり、本部は水戸市に、支部は9つのエリアにあります。各支部には2人の役職員がおり、そのうち1人は教職員が専従者として勤務しています。
―ありがとうございます。次に、自己紹介を簡単にお願いします。
阿須間:専従者というのは役員選挙で承認される形でなりますが、以前に支部の役員を勤めたことがきっかけで、再度誘われたかたちです。非常に迷いましたが、やってみようと思い、現在に至っています。
今のポジションは、組織部長(2024年度)ならびに書記次長という役職です。組織を拡大する役割と、臨時の教職員の担当と学校事務職員部の担当をしています。学校事務職員のみなさんが自ら運営していますが、専従者として担当役員という形で携わっています。
活動停滞の背景にある『組合の役割の見えにくさ』
―茨城県教職員組合として現状の課題感や実態、悩みがあれば教えてください。
阿須間:組合があることで労働環境悪化を防ぐ役割があるのですが、それを理解してもらうのが難しく、組合加入を見合わせる人が増えている点です。オープンショップなので組合に入らない方が合理的と考える人もいますが、それでは組合が弱体化し、労使交渉もできなくなります。
組織率が下がると、職場の課題や改善点について職場の代表であるという捉え方がされにくくなります。現在でも交渉・協議を行うこと自体が大変なのですが、さらに人数が減っていけば、話し合いの場を設けること自体も困難になります。
特に学校現場は状況が複雑で、教職員の「賃金や勤務条件、福利厚生」に関する権限は都道府県教委が持っており、一方で「服務監督、学校施設や環境整備」は市町村教委の管轄です。さらに文部科学省が決定権を持つ事項もあるため、課題解決には県、市町村、国など、複数の機関と交渉・調整する必要があります。
一般的な企業であれば、社長に直接話せば済む話も、教職員の場合は交渉先が多岐にわたり、非常に複雑で労力がかかります。もしさらに組合員が減り、「自分はお金を払いたくない」と言って加入しない人が増えてしまうと、こうした交渉がさらに難しくなり、職場環境や労働条件の維持や改善が非常に困難になります。極端に言えば、話し合いをすることさえできなくなってしまいます。
また、労働組合の活動は、当事者に寄り添い、トラブルを大きくしないよう水面下で解決するケースも多いため、周囲から見えないことが多いです。
組合活動の活動範囲を明確にし、自分たちの活動を
―今後、課題に対して行っている取り組みや考えていることはありますか?
阿須間:組合としての活動の範囲や枠、労働相談なども含め、どこまで対応するかを明確にする必要があります。役員の業務が雪だるま式に増えないよう、組合の守備範囲をしっかり決めて共有し、対応範囲を明確にするのも大事だと考えています。労働運動とは直接は関係のない活動で若手の興味を引く方法については組合内でも賛否があり、労働運動の本質に注力すべきという意見もあります。
教職員組合は特に真面目な活動ばかりしてきたため、関心が持てない人を取り込む工夫が必要です。この点は試行錯誤中です。その関心を持ってもらう手段の一つとして、「TUNAG」を活用して自分たちのやっていることを周知していくことは重要だと考えています。
『組合が大切だ』と思える風土をつくりたい―目指すめざすべき未来
―最後に、3年後、5年後のありたい姿や組織像をお伺いできますか?
阿須間:組合の意義を理解してくれる人が一人でも増えて、その結果加入者が増え、将来的に組織の存続に不安がない状態になることが理想です。具体的な数字目標よりも、組合が大切だという思いが共有され、それが風土として根付いていけばいいなと思っています。
〜阿須間様、ありがとうございました!〜