労働組合の職場委員とは?意味や役割、似た言葉との違いを解説

労働組合の職場委員は、組合において最前線で活動する人たちです。組合員と本部の橋渡し的な役割を担っており、組合活動の重要な存在だといえるでしょう。職場委員の役割や労働組合の内部機構、職場委員と似た言葉との違いについて解説します。
労働組合の職場委員とは
職場委員はどのような目的を持って活動しているのでしょうか。まずは、労働組合の職場委員の意味や役割を見ていきましょう。
職場委員の意味
職場委員とは、職場で組合活動や意見集約などを行う人のことを指します。組合員と組合の結び付きをつくるために、組合員の最も身近にいる存在です。
日本の労働組合の基本的な単位は企業別組合であるため、広い意味においては組合員全員が職場委員に該当するといえます。ただし実際には、組合員から複数の職場委員が選ばれ、職場で組合活動や意見集約を行うのが一般的です。
職場委員で構成される組織を職場委員会と呼びます。また、労働組合によっては、職場委員会を支部や分会と呼ぶケースもあります。
職場委員の役割
職場委員で構成される職場委員会は、単位組合の実質的な執行機関です。職場内の問題を話し合ったり、意見を出し合って交渉の方針をまとめたりしています。
セミナーやレクリエーションなど独自の活動を実施し、組合員同士の交流の活性化を図るのも、職場委員の役割です。このように、職場委員は組合員と本部との間で橋渡し的な役割を担っています。
職場委員が十分に機能していない労働組合は、活動が一部の幹部だけのものになりかねません。最前線の活動単位である職場委員は、労働組合の基礎といえるのです。
労働組合の内部機構
労働組合には職場委員以外に、議決機関と執行機関という重要な機関があります。それぞれの役割や重要性を理解しておきましょう。
議決機関
労働組合の議決機関は、組合の方針や重要事項を決める機関です。大会・代議員会・中央委員会などが該当します。
大会は組合の最高議決機関です。基本方針・活動計画・予算案・規約改正・役員選出に関する議論や決定がなされます。毎年1回の定期大会開催が一般的です。
大規模な組合や複数の職場にまたがる組合では、代議員会が実施されます。大会とは別に必要に応じて開催され、職場委員から選ばれた代表者が各種意思決定を行う機関です。
中央委員会は、大規模な組合や組織構造が複雑な組合に置かれる機関です。全体的な戦略立案や重要な政策決定を行います。
執行機関
議決機関で決定された事項を具体的な行動に移すのが執行機関です。執行委員会・書記局・専門部などがあります。
三役(委員長・副委員長・書記長)とその他の執行委員で構成される機関が執行委員会です。方針決定や計画の実施、外部との交渉など、さまざまな活動を行っています。
執行委員会の下で事務業務を行う機関が書記局です。書類の管理や会議の準備、問い合わせ対応など、労働組合の下支え的な役割を担っています。
特定の領域で活動する専門部は、組合の目的達成に向けた具体的な取り組みを行う機関です。労働条件の改善や福利厚生の充実を目指す活動などが挙げられます。
職場委員と似た言葉との違い
職場委員と間違えやすい労働組合関係の言葉に、組合専従者や職場代表委員があります。それぞれの意味を押さえておきましょう。
組合専従者
組合専従者とは、組合活動に専念する人のことです。通常の組合員は会社で働きながら組合活動も行っていますが、組合専従者は会社の仕事をしません。組合の仕事が本業になり、給料も組合から支給されます。
組合の中枢で活動に専念できることが、組合専従者になるメリットです。労働組合の活動に強い興味を持つ人は、組合専従者に向いているでしょう。
ただし、組合専従者になるためには、より専門性の高いスキルが必要です。また、本業を辞めて身分を移すのが一般的であるため、今までより給料が少なくなることもあります。
職場代表委員
職場代表委員とは、職場代表委員会を構成する人のことを指します。従業員の交流活性化や共済活動を目的として結成されるのが職場代表委員会です。従業員組合と呼ばれることもあります。
職場の人間が集まって構成されるという意味では、職場代表委員会も労働組合も同じです。ただし、労働組合が一定の条件を満たせば法的な保護を受けられるのに対し、従業員組合は労働組合に適用されるような法的保護がありません。
労働組合が法的な存在として認められるためには、さまざまな条件をクリアする必要があります。一方、従業員組合はそのような縛りがないため、ある意味自由度の高い組織です。
労働組合の職場委員について理解を深めよう
労働組合の職場委員は、職場で組合員の声を聞いたり実際に活動を行ったりする人です。本部と組合員の橋渡し的な存在であり、実質的な執行機関でもあります。
職場委員が機能しない組合は、役員だけで決定や活動が行われる独善的な組織になりかねません。職場委員の存在意義や役割をしっかりと理解し、職場委員が十分に機能する組織を目指すことが大切です。