【ツルヤユニオン】TSURUYAイズムをオートマチック・システマチックに継承していきたい。

現在、長野県と群馬県を中心に41店舗のスーパーマーケットTSURUYAを展開しているツルヤユニオンの執行委員の竹内様に、労働組合の未来についてお話をお伺いしました!(以下、敬称略)

目次

組織概要と自己紹介

組織概要

竹内:弊組は、スーパーマーケットTSURUYAの労働組合です。スーパーマーケットTSURUYAは、長野県メインと群馬県にも出店を進めており、現在41店舗を展開しています。会社全体の従業員は、5,000人以上でそのうち正社員と8時間フルタイムのパートさんで構成されている組合員は、約1,900人、すぐに2,000人に到達しそうな状況です。

基本的には、3役と呼ばれる委員長・副委員長・書記長、そして副書記長・執行委員という形で構成されています。また、各店舗には分会と呼ばれる組織があり、分会長・副分会長がいます。分会長は、俗に言う職場長です。そして弊組では、正社員はA組合員・フルタイムのパートさんはB組合員と呼んでおり、分会長・副分会長・B組代表・B組副代表で構成しています。更に、分会長と兼任する形で支部を統括する支部長がいます。執行部と分会は、イコールの組織にはなっていませんが、店舗によっては分会長と執行委員を兼任している方もいます。

また、弊組の特徴として特別執行委員というものがいます。この特別執行委員は、2年に一回の定期大会で選挙を通じて立候補していただく執行委員とは違い、お試しのようにとりあえず執行委員の活動を少し一緒にやってみようという形で1年ぐらいやってもらっています。その後、一緒にやっていける人材であれば、改選の際に執行委員になってもらいます。

会社としては、年に1店舗は新たに出店していく計画で動いているため、今後も労働組合の規模は大きくなっていくと思います。

自己紹介

竹内:私は、専従者ではなく非専従者として活動を行っています。現在は、半専従という会社の仕事半分と組合の活動半分という形でやっています。私が委員長になる以前は、前任の委員長が非専従という形で私と同じ副店長をやっていたため、会議など色々な場面で会う機会がありました。当時私は、組合アンチだったので、組合って何やってるのとか組合自体の存在意義って何なんですかというように前任の委員長に結構かみついてたんですよね(笑)

そうした中で、当時の委員長から「そうお前が思うんだったらまずは中に入ってみろ。自分の力で変えていった方がいいよ」「ガヤじゃなくてちゃんと組合員のステージに立って活動するべきだ」と言われました。これをきっかけに組合活動に参加していきました。

注力している業務

竹内:今までの組合は、執行部だけの活動が多かったのですが、組合員さんの旅行企画や新入社員のディズニーアカデミー(ディズニーの接客セミナー)、国会での組織内議員との懇談など、組合が何のために活動しているのかということを若い世代や既存の組合員さんに色んな形で知ってもらう活動を続けていました。そして、ディズニーアカデミーなど、会社にとっても組合にとってもプラスになるような企画や取り組みを行い、ユニオンとしての意識やイメージを変えるということにずっと取り組んできました。

さらに、機関誌のコパンという組合独自の全組合員宅に郵送する機関誌なども定期発行したり、分会新聞と言われているものを全分会に配布したりというような活動もしながら常に組合活動の見える化を行ってきました。最終的には委員長まで拝命させていただきましたが、そういった中、会社の方で人事の仕事をリーダーとしてやってもらえないかと依頼があり、組合からは外れることになったんです。

そこから、人事で採用をメインに行い、2年前からは動画マニュアル作成などの教育担当を担っています。そこで、再び組合員に戻りました。コロナの影響で、他の組合もそうでしたが、活動の停滞にともない、若い執行委員の加入が進まず、組合活動の再構築が必要となったため、教宣委員長という形で研修や宣伝広報、教育に加えTUNAGの運用にも注力しています。

ツルヤユニオン様の課題やお取り組み

現状の課題について

竹内:まず、スーパーマーケットは各エリアに店舗がある関係で、従業員同士の繋がりやコミュニケーション、情報伝達、意思決定などは難しいと感じます。更にそれが他県になってくると余計レスポンスが悪くなってきています。また流通小売業は、どちらかというと組合員よりもアルバイトさんが多いため、組織力というところについてはずっと問題を抱えています。更に、組合活動に対して非協力的というか理解が希薄になってしまっている組合員がいるというのも課題だと思います。

例えば、会社の慶弔見舞とユニオンの慶弔見舞の2つがあった時にごちゃ混ぜできていたりと、何が組合で何が会社なのかということが分かっていないことがあります。このように、組合組織の土台がしっかり固まらないうちに会社もユニオンも大きくなっていき、今の実態と自分達の気持ちが追いつかないというところがあります。特にコロナでそれが加速してしまった感じもありますね。

課題に対してのお取り組み

竹内:まずは、組合活動に関して分会長に積極的に理解していただき、参加してもらうことが一番重要だと思っているため、周りとコミュニケーションを図りながら組合活動の理解を深めることができる研修合宿などを企画しています。

直近ですと明日から2日間、分会長と執行部の約50人で東京での研修合宿を行います。その中で、国会で参議院議員に直接会ってお話ししたりとか、加盟しているUAゼンセンの本部の見学をして、そこの会議室で各支部の取り組みや分会の取り組みを発表してもらったり、支部でコミュニケーションを取れるような自由行動の時間を作ったりと色々な活動を企画した研修を行います。

先程、役員の若返りができていないという話がありましたが、この課題に対しては、オルグに行っている時にまずはいい子を探して特別執行委員という形でお誘いをしたり、新入社員研修の時にもいいなと思った子を誘って色んな話をしたりなど引き上げていっています。とにかく、来てさえもらえれば積極的に関わって責任持ってサポートしています。

組合活動の中で大事にされていること

竹内:知行合一のように考えと行動を一緒にしていくことは大事にしています。組合活動を行うきっかけになった前任委員長との話と同じになりますが、やはり「会社を良くしたい」「自分達の生活を良くしたい」と思う気持ちは誰しも持っていると思っていて、労働組合というのはそれが合法的に守られて活動できる組織です。従業員として会社に、こうしてくれあーしてくれと言っても通じないことが、組合という組織を使って活動することによって変えていくことができるということを自分達でも実際に体験してきました。なので、考えたり思ったりするだけではなく、行動にうつすということは意識していますね。

また、組合員の声や若い方々の意見をしっかりと聞いて伝える場を設けることも大事にしています。その中で、労使協議会は貴重な場だと思っています。20代の若い特別執行委員で、今まで社長の話を一方的に聞くことはあっても言葉のキャッチボールをしたことがないという子が増えています。そこで、社長の直接的な想いだったり役員の考え方だったりを聞く機会があれば、会社に対する変な抵抗意識や苦手意識が和らぐし、組合に参加していることでこういった活動ができるんだというところにも繋がります。

「組合が現場の生の声を伝えてほしい」と社長が日頃からおっしゃっていて、現場の声を伝える場というのを社長も大事に受け止めてくださっています。やはり、店長を通して聞く言葉は、ある程度忖度され、フィルターにかかった言葉しかトップに届かなくなってきてしまいます。そういった中での労使協議会は非常に重要な役割で大切だと思っています。

ツルヤユニオン様の未来

竹内:従業員が年々増えてきている中で、TSURUYAイズムというか、ツルヤの考えや想い、技術を職人気質で教えていくのではなく、ある程度オートマチック・システマチックにやっていくというのがこれからの鍵になると思っています。現在私が会社の方で取り組んでいる教育の動画マニュアル作成やそれによっていかに学んでいってもらえるかというシステム構築のようなところもここに繋がると思います。そして、組合もこれから人が増えていく中で、組合に対する理解だったり、活動の意義を伝えていったりというところは会社が持っている課題と同じだと感じています。また、ここからはTUNAGの話になってしまいますが、コミュニケーション活性化や事務業務のデジタル化という点においては、TUNAGは今後私たち組合にとって必須のツールになると思っています。

今まで、日報やレポートを上げるなどの業務的なツールとして色々と触ってきましたが、今後人がさらに増えていく中でのコミュニケーション活性のためには「グループチャット機能」が大切だと思い、現在活用を始めたところです。グループチャットまで絡めないとTUNAGの本当の利用価値が高められないとも思っています。直近、6月に新入社員の入組式をやったのですが、その場で全員TUNAGに登録してもらい、実際にグループチャットの使い方をその場でレクチャーしたり、ユニオン管理者・分会役員・支部・新入社員それぞれのグループチャットを作り、ある程度情報のやり取りができるような体制を整えたりと、少しずつみなさんに活用してもらえてきています。

今後も大きな枠でのやり取りではなく、できるだけミニマムの中で活発にコミュニケーションが図れるように取り組みを行っていきたいです。また、弊組は事務局員2人体制で進めているため、業務が手一杯になってきているというのが現状です。これから組合活動を拡大していく中でもある程度TUNAGによってデジタル化を進めていき、事務負担を減らしていきたいですね。

そこで、毎年紙媒体で行っていた組合活動強化に繋がっている賃金調査というものを今年は初めてTUNAGでやってみました。問題も色々ありましたが、データ集計は一発でうまくいきましたね。今は色々と模索段階ではありますが、より効率的な方法を見つけていきたいです。今後、TUNAGを軸にして活動を進められるかが課題であり鍵になると思います。

〜竹内様、ありがとうございました!〜

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この記事を書いた人

「for UNION」編集長。
2020年にスタメンに新卒入社。
その後、2022年1月に労働組合向けアプリ「TUNAG for UNION」を立ち上げ、現在はマネージャーとして、事業拡大に従事。

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