労働組合の有無を確認するには?具体的な調べ方とポイントを解説

労働組合は労働者の権利を守り、職場環境の改善を図る重要な組織ですが、初めて関わる人にとっては、企業に組合が存在しているか分からないケースもあるでしょう。労働組合の調べ方や組織規模、加入状況の確認方法などを解説します。ぜひ参考にしてみましょう。

目次

労働組合のある企業はどれぐらい?

労働環境の改善や権利保護のために重要な役割を果たすのが労働組合です。まずは、組織率や組織規模・組合員の比率など、基本的な情報を押さえておきましょう。労働組合がどれぐらいの企業に存在し、どのような規模で活動しているのかを理解することで、労働環境の全体像をつかめるようになります。

労働組合の組織率は16.3%程度

日本の労働組合の推定組織率は、2023年の時点で約16.3%です。これは雇用者の中で労働組合に加入している人数の割合を示しており、雇用者の約6人に1人が組合に加入している計算です。

労働組合の組織率は過去数十年で徐々に減少傾向にあり、背景としては非正規雇用の増加や業界の構造的な変化などがあります。連合(日本労働組合総連合会)は近年の組織率の低下に関して、強い危機感を持っており、組合の存在意義を積極的に発信するとしています。

ただし全体の組織率は低下傾向にあるものの、いまだ組織率が高い業種や企業も少なくありません。企業規模や業界特性などによって、労働組合の参加人数には大きな違いがあります。

※出典:労働組合の組織率 16.3% 前年を下回り過去最低に 厚生労働省の調査 | NHK | 厚生労働省

組織規模や組合員の比率

2021年の厚生労働省の資料によれば、産業別の労働組合の人数は製造業が最も多く、全体の約26.7%です。次いで卸売業・小売業が約15.2%で、運輸業・郵便業が約8.4%と続いています。

また、民間企業の事業規模別の状況(労働組合員数)を見ると、1,000 人以上の規模の企業が全体の約66.2%となっており、全体の6割以上を占めています。従業員数が300~999人までの企業は約12.9%で、100~299人規模が約6.5%です。

製造業をはじめ、特定の業界に労働組合が多いのに加えて、事業規模が大きくなるほど、労働組合員数も多くなる傾向があることが分かります。労働組合の有無を調べる際には、業界や事業規模の特徴を考慮するとよいでしょう。

大企業はすぐに労働組合の有無を確認できる可能性が高い一方で、従業員数の少ない中小企業の場合、公開されている情報が少ない場合もあります。

※出典:令和3年労働組合基礎調査の概況|厚生労働省

労働組合の有無の調べ方

労働組合の有無を調べる方法には、以下のようにハローワークの求人票を確認する方法に加えて、有価証券報告書や連合のリストからチェックする方法などがあります。それぞれ詳しくみていきましょう。

ハローワークの求人票で確認する

ハローワークの求人票には、労働組合の有無が記載されている場合があります。労働組合に関する記載欄に情報がある場合は、それを参考にするとよいでしょう。

「労働組合あり」と明記されている場合、当該企業には組合が設置されています。ただし、求人票に情報が載っていないケースもあるので、その場合は他の方法で確認する必要があります。

有価証券報告書で確認する

上場企業であれば、有価証券報告書に、労働組合に関する情報が記載されている場合があります。「労務状況」や「従業員の状況」といった項目に記載されていることが多いので、確認してみるとよいでしょう。組合員数や組織形態など確認できるケースが少なくありません。

一方、労使関係について、特筆すべき項目がない旨を記載している企業もあるので、別の方法で確認する必要があります。たとえ企業が「特筆すべき項目なし」としている場合でも、その時点で労働組合が存在しないとは限らないためです。

連合加盟労働組合リストから確認する

労働組合の全国組織である連合に加盟している場合、連合が公開している組合リストを参照できます。同リストには、各労働組合の名称や所属企業などが記載されており、労働組合の存在を明確に知ることができます。

また、業種や地域ごとに分類されているため、目的に応じて情報を探しやすいのも特徴です。特定の企業や業界における労働組合の活動状況を簡単に把握できるため、初めて調査を行う人にとっても便利なツールといえるでしょう。

対象企業の社員に確認する

対象企業の社員に、労働組合の有無を聞く方法もあります。労働組合が活発に活動している企業であれば、組合の存在を隠す理由がないため、情報を得やすいでしょう。

ただし、労働組合に関する情報をデリケートな話題と考える人もいるため、注意が必要です。相手が友人の場合など、ある程度の信頼関係がある場合は尋ねやすいでしょう。ただし、質問の仕方やタイミングには配慮が求められます。また、情報収集の意図が誤解されないように、きちんと目的を簡潔に伝えることも大事です。

労働組合の加入状況を確認するには?

自社の労働組合の加入状況を知りたい場合は、労働組合加入通知書や労働組合結成通知書などを確認すれば、情報が記載されています。これらの文書は、労働組合の結成や労働者の加入状況を正式に通知するもので、団体交渉の申し入れの際や、労使関係の手続きの中で作成されるのが一般的です。

また、社内の人事部門や労務管理担当者に問い合わせれば、最新の加入状況を把握できる可能性があります。ただし、情報を扱う際には社員のプライバシーや個人情報に配慮し、適切な範囲で利用することが大事です。

労働組合の有無を把握しておこう

これらの情報源を活用することで、企業の労働環境や組合活動の状況を把握する手助けとなるでしょう。また、労働組合に関して情報をオープンにしている企業も多く、公式サイトや採用ページで労働組合に関する記載を発見できる場合もあります。

一方で、情報が限られている場合や非公開のケースもあるため、社員への聞き取りや他の調査手法を補助的に活用するのも効果的です。ただし、相手に直接尋ねる場合には、質問の仕方やタイミングを慎重に選ぶようにしましょう。目的や意図を明確に伝えることが重要です。

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

筑波大学国際総合学類卒業。2023年にスタメンに入社し、人事労務・情報セキュリティに関するデジタルマーケティングを担当。 現在は「for UNION」の立ち上げメンバーとしてメディア企画に従事。

目次