労働組合にもウェルビーイングの視点を。若手が共感する活動とは?

組合員の参加率低下や若手の無関心に悩む声も多く聞かれます。従来の待遇改善を中心とした組合活動だけでは、現代の働く人々の価値観に響かなくなってきているのが実情です。そこで注目されているのが、ウェルビーイングの視点を取り入れた組合活動への転換です。本記事では、ウェルビーイングを軸とした新しい組合運営のあり方について詳しく解説します。
そもそもウェルビーイングとは何か
まずは、ウェルビーイングという概念について正しく理解していきましょう。
ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良好な状態を意味する概念です。単に病気でないというだけでなく、生きがいや幸福感を得られる状態を指します。世界保健機関(WHO)が提唱した健康の定義にも含まれている重要な考え方です。
職場におけるウェルビーイングは、従業員が心身ともに健康で、仕事に対してやりがいや充実感を感じられる状態を指します。これには、働きやすい環境づくりや人間関係の改善、個人の成長機会の提供などが含まれます。
近年、多くの企業がウェルビーイング向上に取り組んでいるのは、従業員の幸福度が生産性や創造性の向上に直結することが明らかになってきたからです。労働組合においても、この視点を取り入れることで、組合員にとってより価値のある活動を展開できるようになるでしょう。
なぜ今、労働組合にウェルビーイングが必要なのか
労働組合がウェルビーイングに注目すべき理由を、現在の課題と合わせて考えてみましょう。
組合員の参加率低下と無関心が深刻化している
多くの労働組合で、組合員の参加率の低下と活動への無関心が深刻な問題となっています。組合大会の出席率が年々下がり、若手組合員が役員就任を辞退するケースも増えているようです。
この背景には、組合活動の意義や必要性が組合員に十分伝わっていないという問題があります。特に若い世代にとって、従来の労使対立を前提とした活動スタイルは、現実感を持ちにくいものとなっています。
また、働き方や価値観の多様化により、一律的な待遇改善だけでは個々の組合員のニーズに応えきれなくなっているという現実もあります。
若手組合員が求めるのは共感できる活動
若手組合員が組合活動に求めているのは、自分たちの価値観に合致し、共感できる取り組みです。彼らは単に給与アップを求めるだけでなく、働きやすい環境や職場の人間関係、キャリア形成の機会などを重視する傾向があります。
たとえば、メンタルヘルス対策や育児と仕事の両立支援、スキルアップの機会提供などは、若手にとって身近で重要な課題です。こうした現実的なニーズに応える活動こそが、組合への関心と参加意欲を高める鍵となるでしょう。
また、SNS世代の若手は、情報の透明性や双方向的なコミュニケーションを重視します。一方的な情報発信ではなく、意見交換や対話の機会を求めているのです。
要求型の組合活動だけでは時代に合わない
従来の労働組合は、賃金や労働条件の改善を経営側に要求する「要求型」の活動が中心でした。しかし、現代の従業員が期待するのは、より多面的で包括的な職場環境の改善です。
例えば、リモートワークの推進やフレックスタイム制度の活用、職場内コミュニケーションの活性化、ダイバーシティの推進などは、要求するだけでなく、労使が協力して実現していく性質のものです。
ウェルビーイングの視点を取り入れることで、組合活動は「要求する場」から「職場をより良くする共創の場」へと変化していくことができるでしょう。
ウェルビーイング施策の具体例と導入のヒント
ウェルビーイングを重視した組合活動の具体的な取り組み方法を見ていきましょう。
活動内容を周知・共有する
組合員のウェルビーイング向上には、まず組合活動の意義と成果を適切に周知・共有することが重要です。組合がどのような取り組みを行い、どんな成果を上げているかを可視化することで、組合員の理解と共感を得ることができます。
具体的には、職場環境改善の成果事例や、組合員の声を反映した制度改革の実績などを、わかりやすい形で発信しましょう。数値化できる成果は積極的にデータで示し、組合活動の価値を客観的に伝えることが大切です。
また、組合員同士の成功事例や感謝の声を共有することで、職場全体のポジティブな雰囲気づくりにも貢献できます。
コミュニケーションの双方向化が関心を呼ぶ
一方的な情報発信から双方向的なコミュニケーションへの転換は、組合員の関心を高める重要な要素です。組合員の意見や要望を積極的に収集し、それに対する組合の対応を明確に示すことで、参加意識を向上させることができます。
デジタルツールを活用したアンケート機能や意見投稿システムの導入により、従来よりも気軽に組合員の声を集めることができるでしょう。また、寄せられた意見に対する回答や対応状況を透明性を持って共有することも重要です。
さらに、組合員同士の交流を促進する仕組みづくりも効果的です。部署を超えたコミュニケーションの機会を創出することで、職場全体の一体感向上にもつながります。
組合活動に共感と実感を取り戻すために
ウェルビーイングを重視した組合運営を実現するための具体的な手法について詳しく見ていきましょう。特にデジタル化に向けた「TUNAG for UNION」の活用はおすすめです。
TUNAG for UNIONでコミュニケーションを活性化
組合員とのコミュニケーション活性化には、適切なプラットフォームの活用が欠かせません。TUNAG for UNIONは、労働組合専用に設計されたコミュニケーションツールとして、組合員同士のつながりを深める様々な機能を提供しています。
例えば、組合からのお知らせや活動報告を効率的に配信できる機能や、組合員の意見を収集するアンケート機能、イベントの参加申し込み管理機能などが搭載されています。これらの機能により、従来は手間のかかっていた運営業務を大幅に効率化できます。
また、組合員同士で感謝や称賛を伝え合う機能を活用することで、職場のポジティブな雰囲気づくりにも貢献できるでしょう。
労働組合向けアプリ – TUNAG for UNION|情報共有、申請手続きをペーパーレス化
TUNAGを活用した組合向けウェルビーイング実践例
以下は、実際にTUNAGを活用してウェルビーイングが普及した事例を紹介します。
株式会社ジェーシービー従業員組合
株式会社ジェーシービーの従業員組合では、2018年からTUNAG導入により組合員の学習機会とコミュニケーションが大幅に改善されました。
職業能力開発や資格取得補助制度を充実させ、年間700-800件の申請を受け付けています。また「以前よりも意見や相談事などにおいて声をあげやすくなった」ことで組合員の参加意識が向上。
産休育休者も情報にアクセスでき、「気軽に投稿できることから、話しかけてくれる人が増えて会話をするきっかけが生まれる」など、組合員同士のつながり創出にも成功しています。
TUNAG for UNION 第1号ユーザーの活用事例公開!〜TUNAGと共に歩んだ6年間の軌跡に迫る
伊藤忠商事労働組合
伊藤忠商事労働組合では、TUNAG導入により組合員同士のつながりと心理的な支えを強化しています。社内マッチング企画でランチ代を補助し若手・中堅の交流機会を創出、サンクスカードで感謝の気持ちを伝える文化を醸成。
「悩んだときには相談できる」身近な存在を目指し、組合カフェのオンライン版としてTUNAGを活用。一方通行から対話へとコミュニケーションを変化させることで、組合員が「楽しさ」や安心感を得られる環境づくりに成功しています。
TUNAG登録者数は組合員全体の80%超。「発信」から「対話」へコミュニケーションをシフトする、伊藤忠商事労働組合のTUNAG活用法
ウェルビーイングの充実で若い世代の参加を促す
ウェルビーイングを起点とした組合活動への転換は、単なるトレンドではなく、組合の持続可能性を高める重要な取り組みです。若い世代が共感し、主体的に参加したくなる組合活動を実現することで、組織全体の活性化につながるでしょう。
重要なのは、従来の要求型活動を完全に否定するのではなく、ウェルビーイングの視点を加えることでバランスの取れた活動を展開することです。賃金や労働条件の改善も重要ですが、それと同時に組合員一人ひとりの幸福度向上にも目を向けることが求められます。
また、デジタルツールの活用により、組合運営の効率化と組合員とのコミュニケーション改善を同時に実現することも可能です。
TUNAG(ツナグ)のようなプラットフォームを活用することで、ウェルビーイングを重視した新しい組合活動のスタイルを構築できるでしょう。
変化を恐れず、組合員の声に耳を傾けながら、ウェルビーイングを重視した組合活動に取り組んでいきましょう。きっと、組合員にとってより価値のある活動を実現できるはずです。