非正規労働者は労働組合に加入できる?分かりやすく簡潔に解説します

非正規雇用で働く人が増える中、労働条件や待遇改善のために労働組合への関心が高まっています。「非正規労働者は労働組合に加入できるのか」「加入するとどんなメリットがあるのか」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、非正規労働者の労働組合加入について、メリットや課題、加入手順などを分かりやすく解説します。非正規雇用で働く方が、労働組合について正しく理解し、自身の権利を守り、より働きやすい環境を実現するための一助となれば幸いです。

目次

非正規労働者とは?

まずは、非正規労働者の定義や種類について確認しましょう。

非正規労働者の定義

非正規労働者とは、一般的に、正社員以外の雇用形態で働く人のことを指します。厚生労働省では、期間を定めて雇用される労働者、労働時間や日数が短い労働者、雇用主に直接雇用されていない労働者などを非正規労働者と定義しています。

具体的には、パートタイム労働者、アルバイト労働者、契約社員、派遣社員などが非正規労働者に該当します。近年、企業の経営効率化や雇用調整の容易さから、非正規雇用の労働者が増加傾向にあります。

非正規労働者の種類

非正規労働者には、以下のような種類があります。

パートタイム労働者

パートタイム労働者は、1日の所定労働時間が正社員よりも短い労働者のことを指します。短時間労働者と呼ばれることもあります。一般的には、家事や育児、学業などと両立しながら働く人が多く、労働時間や日数が限られているため、賃金や福利厚生面で正社員との差がある場合も見られます。
例えば、1日6時間勤務で週4日勤務、といったように、企業や仕事内容によって労働時間や日数はさまざまです。

アルバイト労働者

アルバイト労働者は、パートタイム労働者と同様に、短時間労働者として雇用される労働者のことを指します。一般的には、学生や主婦など、副業として働く人が多いという特徴があります。
アルバイトも、仕事内容や企業によって、労働時間や日数は異なります。

契約社員

契約社員は、企業と期間を定めた雇用契約を結んで働く労働者のことを指します。契約期間は数ヶ月から数年と、企業や仕事内容によってさまざまです。一般的には、正社員と同様の業務を任されることもありますが、賃金や福利厚生面で正社員との差がある場合も少なくありません。
近年では、正社員登用制度を設けている企業も増えています。

派遣社員

派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で働く労働者のことを指します。雇用主は派遣会社となり、賃金の支払いなども派遣会社が行います。派遣社員は、派遣先企業の指示に従って業務を行います。
派遣労働は、労働者派遣法によって規定されており、派遣期間や派遣可能な業務などが定められています。

労働組合とは?

労働組合とは、労働者が主体となって組織する団体であり、労働条件の維持・改善や労働者の社会的地位の向上などを目的としています。労働組合は、使用者と労働協約を締結することで、労働時間や賃金、休暇などの労働条件を決定する役割を担います。

労働組合は、労働基準法(昭和22年法律第48号)など、労働関係法令に基づいて活動しており、労働者の権利を守るために重要な役割を担っています。

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非正規労働者の労働組合加入

それでは、非正規労働者は労働組合に加入できるのでしょうか。
答えは「YES」です。

労働組合法(昭和24年法律第174号)では、労働者は「職業の種類を問わず」労働組合を結成し、またはこれに加入することができるとされています(労働組合法第3条)。つまり、正社員だけでなく、パートタイム労働者、アルバイト労働者、契約社員、派遣社員など、すべての労働者に労働組合に加入する権利が認められています。

非正規労働者が労働組合に加入するメリット

非正規労働者が労働組合に加入することで、労働条件の改善交渉、不当な扱いからの保護、情報共有や交流の機会、組合員向けのサービス利用といったメリットが期待できます。

労働組合は、使用者と労働条件について団体交渉を行う権利を持っており、非正規労働者は、労働組合を通じて使用者に要求を伝えることで、賃金や労働時間の改善、有給休暇の取得促進などを実現できる可能性があります。

また、解雇や配置転換、ハラスメントなど、不当な扱いを受けた場合、労働組合に相談し、サポートを受けることができます。労働組合は、使用者に対して団体交渉を行い、問題解決に向けて動くことができます。

さらに、労働組合に加入することで、同じ職場の労働者と情報交換や交流を行うことができます。労働問題に関する知識や経験を共有することで、自身の権利や労働条件についてより深く理解することができます。

労働組合によっては、組合員向けに、共済制度や割引サービス、法律相談などのサービスを提供している場合もあり、経済的な負担を軽減したり、安心して働くことができるようになります。

非正規労働者が直面する労働組合加入の課題

非正規労働者が労働組合に加入する際には、いくつかの課題も存在します。

加入資格の問題

企業によっては、労働組合への加入資格を正社員に限定している場合があります。労働組合法では、労働者の組合加入を理由とする不利益な取り扱いを禁止していますが(労働組合法第7条)、実際には、非正規労働者の加入を制限するケースも見られます。

このような場合には、労働組合に相談したり、労働基準監督署に相談したりするなどの方法があります。

加入手続きの問題

労働組合への加入手続きが複雑で、非正規労働者にとって分かりにくい場合があります。また、職場での労働組合の活動が活発ではなく、誰に相談すれば良いか分からないというケースも考えられます。

労働組合に加入したい場合は、まずは、職場の同僚に労働組合について聞いてみたり、インターネットで情報を収集したりしてみましょう。

労働組合加入の手順と注意点

労働組合への加入を検討する際には、労働組合を探し、労働組合に問い合わせ、加入申込書を提出、組合費を納入するという手順を踏む必要があります。

加入前に、労働組合の選び方や加入後の活動参加について確認しておきましょう。労働組合によって、活動方針や組合費、サービス内容などが異なるため、自分のニーズに合った労働組合を選ぶことが大切です。

また、労働組合は、組合員の意見や要望を反映して活動しています。加入後は、積極的に組合活動に参加し、意見交換や情報収集を行うようにしましょう。

まとめ

非正規労働者も、労働組合法に基づき、労働組合に加入することができます。労働組合に加入することで、労働条件の改善や不当な扱いからの保護、情報共有や交流の機会、組合員向けのサービス利用などのメリットが期待できます。

非正規雇用が拡大する中、非正規労働者の権利を守り、労働条件を向上させるためには、労働組合への加入がますます重要になっています。労働組合は、個々の労働者では解決が難しい問題に対しても、団体交渉を通じて使用者と交渉することができます。非正規労働者が労働組合に加入することで、自分たちの意見を反映させ、より働きやすい環境を実現していくことができるでしょう。

労働組合への加入を検討する際には、加入資格や手続き、組合費、活動内容などを事前に確認することが大切です。また、加入後は積極的に組合活動に参加し、自身の権利や労働条件について理解を深めることが重要です。

労働組合への加入は、非正規労働者にとって、より良い労働環境を実現するための有効な手段の一つと言えるでしょう。

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この記事を書いた人

筑波大学国際総合学類卒業。2023年にスタメンに入社し、人事労務・情報セキュリティに関するデジタルマーケティングを担当。 現在は「for UNION」の立ち上げメンバーとしてメディア企画に従事。

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