労働組合の解散について。強制解散の可否や解散理由、解散させない施策を紹介

デジタル化による業務効率化が進む一方で、組合運営の負担は増加の一途をたどり、解散を検討する声も聞かれます。しかし、従業員の権利を守る「最後の砦」として、その存在意義は依然として高いのです。本記事では解散に関する法的観点から実務的な課題までを詳しく解説します。

目次

労働組合を企業側が解散させることはできる?

近年、コスト削減を理由に企業側から解散を迫られるケースが増加していますが、そもそも企業には解散を強制する権利があるのでしょうか。

以下で、法的背景に基づいた判断基準を詳しく解説します。

企業が強制解散させることは違法

労働組合法第七条は、企業による組合への支配介入を明確に禁止しています。企業側が組合の解散を強要したり、間接的に圧力をかけたりする行為は不当労働行為とされ、法律違反となります。

具体的には、解散を示唆する発言や、組合活動を制限する行為も該当する可能性があります。健全な労使関係を維持するため、企業側には組合の自主性を尊重する姿勢が求められます。

この規定は、労働者の団結権を守り、民主的な職場環境を実現する上で重要な役割を果たしているのです。

出典:労働組合法 | e-Gov 法令検索

解散するにあたっての法的条件

労働組合の解散には、労働組合法第十条に基づく明確な要件が定められています。解散が認められるのは、規約で定められた解散事由が発生した場合か、組合員または構成団体の四分の三以上の多数による総会の決議がなされた場合に限られます。

解散手続きを進める際には、組合規約の内容確認や、総会における適正な議決手続きの実施が不可欠です。これらの要件は、少数意見の保護と組合の民主的運営を担保するために設けられています。

出典:労働組合法 | e-Gov 法令検索

労働組合が解散する要因

労働組合の解散には、様々な社会経済的要因が関係しています。組織の維持が困難になる背景を理解することは、解散を防ぐための対策を考える上で重要な視点となりますので、詳しく知っておきましょう。

組合員の減少

オープンショップ制を採用している企業では、組合加入が任意であるため、組合員数の維持が大きな課題となっています。

特に若手社員の組合離れや、非正規雇用の増加により、組織率の低下が進んでいます。

組合活動の意義が十分に伝わらないことで、新規加入者の獲得が難しくなり、組織の存続自体が危ぶまれる状況に陥ることもあるでしょう。

このような状況を改善するには、組合活動の価値を分かりやすく伝え、参加のメリットを具体的に示していく必要があります。

組合運営の負担

組合役員は本業との両立に大きな課題を抱えています。会議の運営や書類作成、組合員とのコミュニケーション維持など、多くの業務がアナログな形で残されているため、時間と労力が必要となります。

特に重要な交渉の時期には、役員の負担が著しく増加します。このような状況は、役員のなり手不足にもつながり、組織の継続的な運営を困難にする要因となっているのです。

デジタル化による業務効率化が進む中、組合運営の近代化も求められています。

組合活動の有効性に疑問が生じた場合

賃金交渉や労働条件の改善において、組合の影響力が実感できない状況が増えています。経営側との対話が形式的なものとなり、具体的な成果が見えづらい場合、組合員の参加意欲が低下します。

また、個別の労使交渉が一般的になる中、集団的な交渉の意義自体が問われることもあります。このような状況が続くと、組合活動の存在意義が薄れ、解散への流れが強まる可能性があります。

他社との合併や経営環境の変化

企業の経営環境変化は、労働組合の存続に直接的な影響を与えます。企業統合や事業再編により、既存の組合体制の見直しが必要となるケースが増えています。

特に経営悪化時には、将来の賃金抑制や人員削減について労使で合意する必要が生じ、その過程で組合の解散が検討されることがあります。

このような状況では、組合員の権利を守りながら、企業の存続も考慮した判断が求められます。

労働組合をうまく運営するためのポイント

効果的な組合運営には、組合員のニーズを正確に把握し、それに応える活動が不可欠です。デジタル技術も活用しながら、効率的な運営体制を構築することが求められています。

どのようなポイントを押さえておくべきでしょうか。以下に詳しく解説します。

従業員のリアルな声を聞き活動方針を決める

組合活動の基本は、組合員の声に耳を傾けることです。日常的なコミュニケーションを通じて、職場の課題や改善要望を収集し、それらを具体的な活動方針に反映させていく必要があります。

アンケートやヒアリングを定期的に実施し、組合員の意見を体系的に集約することで、より効果的な活動計画を立てましょう。

また、収集した意見をもとに、経営側との建設的な対話を進めることで、実質的な成果につなげることが重要です。

運営にかかる工数を削減する

組合運営の効率化には、デジタルツールの活用が効果的です。情報発信や各種申請手続きをオンライン化し、運営の負担を大幅に軽減することができます。

特に、組合員との双方向コミュニケーションや、活動への参加状況の把握が容易になり、より効果的な運営が可能となります。その結果、役員の負担が減少し、本来の活動に注力できる環境が整います。

そのためのツールとしておすすめなのが「TUNAG for UNION」です。

組合活動におけるDX、情報共有、エンゲージメントの向上、組織力の強化に焦点を当てたプラットフォームで、日々の活動情報発信から、それに紐づく申請・承認、組合員の反応の見える化までをスマホ一つで実現できます。

運営に関する作業をほとんど手作業で行っているという場合、「TUNAG for UNION」を活用することでデジタル化が可能です。組合運営の負荷軽減に役立ててください。

「TUNAG for UNION」についてもっと詳しく知りたい方はこちらから

解散するかどうかは慎重な検討が必要

組合の解散は、労働者の権利保護や労使関係に大きな影響を与える重要な決定です。経営環境の変化や運営上の課題に直面した際も、まずは組織の効率化や活動内容の見直しを検討することが望ましいでしょう。

デジタル化による業務効率の改善や、組合員との対話の強化など、具体的な改善策を実施することで、多くの課題は解決可能です。

解散という選択肢を検討する際は、その影響を慎重に見極め、より良い労使関係の構築に向けた建設的な判断を心がけましょう。

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この記事を書いた人

筑波大学国際総合学類卒業。2023年にスタメンに入社し、人事労務・情報セキュリティに関するデジタルマーケティングを担当。 現在は「for UNION」の立ち上げメンバーとしてメディア企画に従事。

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