連合とは?日本最大の労働組合の全国中央組織について解説

連合は日本最大規模の労働組合の全国中央組織です。約700万人の組合員が加盟しており、日本の労働組合員の大部分を占めています。活動内容や政治との関わりなど、連合とはどのような組織なのかについて解説します。

目次

連合(日本労働組合総連合会)の基礎知識

労働組合関連の組織の中には「連合」を含んだ組織名が多数見られますが、単に「連合」という場合は日本労働組合総連合会のことを指すのが一般的です。連合とはどのような組織なのか、知っておきたい基礎知識を紹介します。

連合(日本労働組合総連合会)とは?

連合(日本労働組合総連合会)は、日本最大級の労働組合の全国組織です。加盟組合員の総数は約700万人で、構成組織として46の産業別組織と47の地方連合会が活動しています。

連合が結成されたのは1989年です。ITUC(国際労働組合総連合)やITUC-AP(ITUCアジア太平洋地域組織)などに加盟しており、ITUCには結成と同時に加盟しました。

連合は全国の加盟労働組合を取りまとめる重要な存在です。組合員の雇用と暮らしを守るための活動を進めているほか、政治への働きかけや国際的な連携も行っています。

出典:日本労働組合総連合会 連合について

連合の組織構成

日本の労働組合の構造は、一番上に全国中央組織があり、下に産業別組織・企業別組合と続く3層構造です。連合は全国中央組織に該当し、労働運動の一体的な推進を図っているほか、産業別組織や企業別組合では解決が困難な問題にも取り組んでいます。

産業別組織は、同じ産業に属する企業別組合が加盟している構成組織です。連合には46の産業別組織が属しており、産業全体に共通する課題解決に対応しています。

企業ごとに結成される労働組合が、単位組合である企業別組合です。労使間の協議・交渉を通じて賃上げや労働条件の改善を目指すほか、企業の行動をチェックしたり組合員にサービスを提供したりしています。

また、連合は3層構造とは別の組織である地方連合会も取りまとめています。地方連合会は地域レベルでの活動を展開しており、47の地方連合会が連合に加盟中です。

出典:組織図|連合について

連合の主な活動内容

労働組合最大の全国イベントである春闘において、連合は方針の策定や産業別組織間の調整といった重要な役割を担っています。春闘の主役はあくまでも産業別組織や企業別組合ですが、連合は春闘全体の成果を最大化するために活動しているのです。

また、幅広い労働教育の推進や多様性への取り組みなど、連合の活動内容は多岐にわたっています。労働に関するあらゆる問題に、連合が何らかの形で関わっていると考えてよいでしょう。

連合は国際的な活動にも積極的に取り組んでいます。グローバル化が進む現代社会において、国境を越えた連帯と協力はより一層重要になっており、連合は国際社会の一員として世界の労働者がより良い労働条件で働けるように活動しています。

出典:連合|主な活動

連合と政治との関わり

連合は政治にも積極的に働きかけています。賃上げや労働条件の改善を図るためには、労働者に寄り添った国の政策が不可欠であるためです。

かつては総理大臣と連合の会長が会談する「政労会見」が定期的に開催されていました。賃金や労働政策に関する連合の要望を総理大臣に直接伝え、政治的な影響力を示していたのです。

しかし、現在は政府が経済界に直接賃上げを要請する「官製春闘」が定着し、政労会見も開催されなくなっています。

連合以外の労働組合の全国組織

日本の労働組合の全国組織は、「連合(日本労働組合総連合会)」「全労連(全国労働組合総連合)」「全労協(全国労働組合連絡協議会)」の3つに大きく分けられます。連合以外の全国組織の概要を見ていきましょう。

全労連(全国労働組合総連合)

全労連(全国労働組合総連合)は、1989年に結成された、労働者の要求実現と未来を創造することを目的とするナショナルセンターです。18の産業別労働組合と47の地方・地域労働組合を通じて、あらゆる産業・雇用形態の労働者が加盟しています。

非正規労働者や女性労働者、フリーランス労働者など、正社員以外にも幅広い層の組合員が加入している全国組織です。組合員数は全国90万人を超えています。

毎年夏ごろに定期大会を実施しており、2024年には32回大会が開催されました。32回大会は、「大幅賃上げ・底上げの実現、労働基準法の骨抜きを許さない」「公共の再生で持続可能な地域循環型の経済・社会の確立」などを要求の柱としています。

出典:全国労働組合総連合(全労連)

全労協(全国労働組合連絡協議会)とは?

全労協は、1989年に結成された労働組合の連絡協議会組織です。連合や全労連に加盟しない、または加盟できない労働組合が中心となって結成されました。

連合や全労連のようなナショナルセンター(中央組織)ではなく、連絡協議会(共闘組織)という形態をとっています。企業別組合や産業別組織だけでなく、地方組織や争議団などにも参加を認めていることが特徴です。

連合や全労連とは異なる立場から労働運動を展開しており、労働者の権利擁護や生活向上を目指し、労働相談・争議支援・地域活動などを行っています。

出典:大阪全労協 | 大阪全労協

連合は日本最大の労働組合の全国組織

連合は労働組合の全国組織の中でも最大級の規模を誇る組織です。全国の企業別組合や産業別組織に大きな影響を及ぼしており、政治にも積極的に関与しています。

連合の方針や動向は今後の労働組合の方向性を大きく左右するため、連合から発信される情報には常に敏感になっておきましょう。

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この記事を書いた人

労働組合にて専従(中央執行書記長)を経て、現職。

<セミナー登壇歴>
◼︎日本経済新聞社
『労組をアップデートせよ 会社と並走し、 組合員に支持される労働組合の作り方』
『労働組合の未来戦略 労組の価値向上につながる 教育施策の打ち方』

<メディア掲載>
◼︎日本経済新聞社
『​​​​団体契約を活用して労組主導で社員の成長を支援 デジタルを駆使して新しい組合像を発信する』

◼︎NIKKEI Financial
『「知らない社員」減らす 労組のSNS術』

◼︎朝日新聞社
『歴史的賃上げ裏腹 悩む労組 アプリ活用』

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