労働組合の意義・役割とは?

改めて考えよう
困った質問
組合役員の皆さんは、加入勧誘する労働者や組合脱退者から、「労働組合に入るメリットが感じられない」という反応があり困ったことはないでしょうか。
これは、多くの労働組合に寄せられる重要な問題です。
組合費は無駄なのか
組合費が高額だと不満を持つ方も少なくありません。チェックオフ協定で給料から天引きされると、サブスクのように知らぬ間に引き落とされる組合費に不満を持ち、組合費負担を理由にした退会希望者の対処は、多くの組合共通の悩みです。単組の活動はもちろん、産別など上部団体の負担金には納得できないという意見も耳にします。
こんな組合員への応答では、潜在的に果たしうるものも含め、労働組合(単組・産別・ナショナルセンターそれぞれ)の意義・役割を改めて見つめ直し、その職場実態に落とし込んだ説明が求められるのでしょう。
法律を超える労働条件の獲得
労働組合は、労働基準法(労基法)など法律を上回る労働条件を獲得する意義・役割があります。
労基法1条2項
労基法は、賃金・労働時間など基本的な労働条件を定める法律です。この労基法1条2項は、「この法律で定める労働条件の基準は最低のもの」であり、「当事者は・・・(中略)・・・その向上を図るように努めなければならない。」と定めています。
要するに、労基法が定めるのは最低基準であって、労使の当事者である労働組合は、最低基準の法律以上の労働条件確保が求められるのです。
たとえば、労基法は週1日休みで、多くの職場が採用する週休2日制は法律を上回る労働条件です。最低賃金の水準を超える賃金も法律を超える労働条件で(春闘の交渉が典型)、法律が定める以上の有給休暇日数の付与も同じです。退職金も賞与も通勤交通費も、労基法で支給は義務づけられていません。
また、勤務時間外のメール等の業務連絡を禁止する繋がらない権利の確立、育児介護休業法で定められる以上の育児休暇期間の付与、子の看護休暇を有休とする(法律では無休)なども、労働組合が職場で獲得してきた、または、将来獲得余地のある労働条件です。
それって当たり前の権利?
しかし、職場に入ったときからそれが当たり前の労働条件になっていて、労使交渉での組合の要求事項も目に入らない人もいます。そうすると、獲得された権利は会社が与えてくれたもので、労働組合は何もしていないと組合員には受け止められがちです。
労働組合が職場の声を吸い上げ、粘り強く要求して勝ち取った先進的な制度が、あたかも経営者のお手柄であるかのように宣伝されてしまうケースは、数多あります。
要するに、「あなたの払う組合費が、現在・将来の職場の労働条件を支えている」という実感を持たせる必要があるのです。
情報発信は怠らない
その意味では、日頃の労働組合の発信は極めて重要です。
労働組合の日頃の組織内での情報発信では、職場の声を代表し使用者に要求している権利を可視化する取り組みが極めて重要です。その際、組合掲示板に張り出している、組合の定期刊行物(紙媒体)で報告しているといった伝統的な方法だけでは、肝心の組合員に届いて居ない可能性もあります。過去のやり方に固執し脱却できないならば(若手の意見が反映しない)、組合の組織運営自体が硬直化している点から、見つめ直さねばならないでしょう。
コンプライアンスの確保
職場で重大なハラスメント(セクハラ被害、過労死等)、悪質なリコール問題が起きて、企業の社会的なイメージ持続的な活動が阻害されるケースがあります。 現在、深刻な人権侵害がおきるような企業を投資対象や取引対象から排除する動き(ビジネスと人権)が浸透しつつあり、今後はより一層対処が必要です。
目先の利潤追求や過去の悪習から逃れられず、職場自体の信用を根底から失墜させるような企業・団体は珍しくありません。しかし、職場の労働組合は、組合員を通じ、迅速に問題点を把握するチャンスがあります。
しかも、労働組合は、様々な形で職場の経営にも関与できます。職場のコンプライアンスの問題に目を光らせることで、職場の決定的な信用の失墜を防ぐ役割を果たす力があり、現にその役割を現に果たしている労働組合もあります。
まとめ
ここまでの説明は、法律に関わる点を中心とする、労働組合の意義・役割のほんの一例です。
他にも、労働条件に影響する法律や運用改正の取り組み、労働者が影響をうける社会保障や年金政策に対する提言、多様化する職場で日頃顔を合わせない社員との社内交流の機会、職場の技能伝承の場(仕事のコツ伝授)、レクレーションや福利厚生の場、産別内や地域の他組合を通じた社外・他業界との交流など、挙げたらきりが無いものです。
身近な組合の仲間が、自分の気がつかない意義・役割を見いだしていることもあります(組合に向けたニーズも多様化)。組合内で、改めて、労働組合の意義・役割を意見交換・交流する機会を持つのも有意義でしょう。




