【カヤバ労働組合】組合員3,850名の製造業における組合活動の見える化。TUNAG導入で情報発信の課題解決と組合員との接点増加を実現

カヤバ労働組合の入谷副執行委員長と日置支部長に、製造業における労働組合の課題と「TUNAG」導入による変化について詳しくお話を伺いました。自動車部品や建設機械部品を製造する同組合では、組合員3,850名を抱える中で組合活動への関心の薄れや情報伝達の困難さという課題に直面していました。TUNAG導入により既読数の可視化が実現し、従来の紙媒体では把握できなかった組合員の実態が明らかになりました。現在は「遊び心」を取り入れた情報発信やコミュニケーション機会の創出に取り組んでいます。
組織概要について
— まず、組織概要についてお聞かせください。
入谷: カヤバ労働組合は、自動車部品や鉄道車両部品、建設機械、ミキサー車などの油圧製品を製造販売している会社の労働組合となっております。組合員数は現在約3,850名となっています。組合活動としては、本部を岐阜県に置き、岐阜県に2支部、三重県の三重支部、神奈川県の相模支部、埼玉県の熊谷支部、東京都の本社支部、長野県の長野支部の計7支部で活動しています。執行部は合計18名で活動している状況でございます。
自己紹介と組合活動への関わりについて
— お二方の自己紹介と組合活動に関わるようになったきっかけを教えてください。
入谷: 入谷と申します。現在執行部の副執行委員長を務めております。2006年に会社に入社し、製造部門に配属されて以来、製造部門で業務を行っております。職場で働く中で組合役員を5年間程度やらせていただき、その中で組合活動に興味が湧いてきました。そこで執行部からお誘いをいただき、正直自分にできるのかという不安はありましたが、チャレンジしてみようということで立候補し、現在執行部6年目となっております。
現在、副執行委員長という立場で、主に関わっている内容としては、家族にも参加していただくようなレクリエーションの企画や、職場環境や総労働時間の削減に向けた活動を会社と連携を取りながら行っています。また、機関紙や組合の情報発信、特に現在はTUNAGを大いに活用してそういった組合の情報発信を主にリーダーとして担当しています。
日置: 日置と申します。現在、組合の役職は岐阜県の2支部のうち、南支部の支部長を務めています。入社は2000年で、その後入谷と同様に、組合の職場委員という役員を2017年、18年と2年間やらせていただき、その後2021年から執行部として活動させていただいています。執行部は2021年からですので現在4年目となります。2年間執行委員を務めた後、支部長を担当しています。入社してからは一貫してこの建設機械の部品加工に従事してきました。
執行部への誘いの前に職場委員をやらないかというお話を前任の方からいただき、やってみようと思い取り組みました。その時に他の職場の委員の方との接点ができ、人付き合いを通して楽しさを感じた2年間でした。終了後は少し物寂しさもありましたが、執行部のお誘いをいただいた時に、再度チャレンジしてみようと決断いたしました。
現在注力されていることについて
— 現在注力されている業務について教えてください。
日置:支部長の立場として、在籍している拠点の問題点や環境改善について、意見の吸い上げを最も重視しています。その中で他の拠点との比較検討を行い、他の支部の支部長とその拠点ごとの課題や違いについて話し合い、その違いをどのように解決していくか、会社にどのように提案していくかというところに注力し、在籍している拠点を良くしていこうということが最も重要な取り組みです。
— どのような方法で意見を集めていらっしゃるのですか?
日置: 基本的には年に1回職場集会を開催し、昼休みに集まっていただいて自由に意見を述べてもらい、そこで意見を吸い上げています。また、職場に直接足を運んで最近の状況を確認したり、困りごとがないかなどの話をしながら意見を収集しています。
現状の課題について
— 現在の組織における課題についてお聞かせください。
入谷: 様々な課題がありますが、組合活動をする中で、組合員の方が組合活動に関心を持たない方が多いということが大きな課題です。もともと全員が関心を持つことは難しいとは理解していましたが、TUNAGの導入により状況は変わりつつあります。
従来は紙で機関紙を配布しており、読まれているかどうか把握できない状況でしたが、TUNAG導入によってデータとして明確になりました。データによって実態が明らかになったため、今後どのようにして皆さんに組合活動により関心を持っていただくかということが重要な課題となっています。
— 具体的にはどのような課題が浮かび上がってきましたか?
入谷:多くの組合員は組合といえば賃上げ、これは皆さんが認識されていることですが、加えてイベント企画という側面もあり、皆さんが求めているところでもあります。しかしその2つがメインで、他に何をやっているかということが理解されていません。私たちは現場に足を運ぶことも重要な仕事の一つであり、組合員の声をもとに活動を進めておりますが、活動結果を満足に発信できていないと感じております。
— 日置さんはいかがですか?
日置:昔と比べて人が集まらず、組合への関心が薄れているような印象はあります。TUNAGの導入後は一定の成果を上げているのですが、定着率に関してはまだまだ伸ばす余地があり、どのように伸ばしていくべきかを検討している段階です。
組合活動における変化の要因について
— 以前と比べて組合への関心が薄れている原因について、どのようにお考えでしょうか。
日置: 現在、健康経営を推進する中で、工場敷地内も禁煙となりました。以前は喫煙所があれば自然にそこに人が集まり、皆でコミュニケーションを取る場がありましたが、現在は喫煙ができなくなり、そこに集まることもなくなりました。集まってくださいと声をかけてもなかなか集まらないという状況があります。
これは一例ですが、おそらくどの拠点でも人が集まる場が減少していることがまず一つの要因です。また、コロナ禍の影響も非常に大きく、Webやメール、チャットを使って意見収集を行ってはどうかなど意見を頂いており、コミュニケーションの取り方が変化してきたということを感じています。
私たちとしては直接お話をすることを重視しており、感情が伝わらなかったり、どういう気持ちで話しているのかということは、面と向かって顔を見て行うのが最も良いと考えているため、それを減らしたいとは考えていません。バランスを取りながら新しいコミュニケーションの取り方を取り入れていければと考えています。
現在の課題に対する取り組みについて
— 現在の課題に対してどのような取り組みをされていますか。
入谷副執行委員長: 関心の薄さやコミュニケーションの減少という課題に対して、まず組合活動が何を行っているのかということを発信していく必要があると考えています。現在はデジタル社会となっており、私たちもTUNAG導入により発信しやすくなり、幅広くタイムリーに皆に発信できるようになりました。堅苦しい「会社と協議しました」というような文章ばかりの発信では皆が読まないため、最近のSNSが主流となっている世の中で、遊び心を取り入れながら、興味深いと思ってもらえるような内容を、TUNAGを通して発信していこうと考えています。
私たちは対面コミュニケーションを重視しており、これをなくすべきではないと考えていますが、現在のデジタル社会において、TUNAGをきっかけとしてもよいと考えています。TUNAGをきっかけにコミュニケーションが取れればと思っています。また、現在TUNAGは執行部からの一方向の発信のみですが、将来的には組合員も発信できるような仕組み体制を構築できればと考えています。
日置: TUNAGの定着率向上について、現在のTUNAGの使い方では向上が困難だと感じているため、入谷が述べたように遊び心というアプローチで、見せ方を工夫する必要があると考えています。現代はSNSや新聞のWeb版などでも見出しが印象的で興味を引くように工夫されているため、イベントについても、ポップやチラシの作成方法や見せ方を工夫し、いかに興味を持ってもらえるかということに取り組む必要があると感じています。
TUNAGの導入によって春闘中などは見る機会が増えた一方、機関紙を見る機会が減ったため、労働組合について知る機会が減ったという意見もあります。TUNAGの普及率をどのように上げていくかが課題です。
今後の展望について
— 今後取り組んでいきたいことや目指していることを教えてください。
入谷: 大きく言うと、最終的な目標は会社の成長だと考えています。そのためには会社だけでは実現できず、現場で働いている組合員、その代表である私たち執行部、その組合活動が非常に重要になってくると考えているため、そこをより充実させていきたいと思っています。今後は働く皆が会社に誇りを持ち、より楽しく働けるような職場環境を作っていくことが重要だと考えています。そのために、コロナ禍でコミュニケーションの場が減少しているため、新たな形でのコミュニケーションの場やスペースを作っていきたいと考えています。
日置: 現場を回って声を聞く中で、仕事に対する不満やストレスについての意見が非常に多く、それを改善していくことも重要ですが、会社に来ることが楽しいと思えることや、例えば自然に休み時間になると皆が集まってくるような場が必要であると考え、取り組んでいきたいと考えています。そうしなければ離職なども増加してしまいます。一日の仕事時間は長いため、有意義で楽しく働けるかということが非常に重要だと考えているため、明るい会社、職場環境になることを理想としています。
具体的な取り組みアイデアについて
— 今後やってみたい具体的な取り組みはありますか。
日置: 厚生イベントには多くの人が参加しますが、毎年同様の内容を継続しており、リピーターが多い状況です。新規の人が参加するためには、新しいイベントや企画を検討することも必要だと考えています。結果はわかりませんが、新しいことへのチャレンジは会社も組合も重要だと思います。皆が新しいことに取り組まなければ変化は生まれないと考えています。
入谷: 本社は比較的新しいビルにあり、フリースペースが設置されています。スタッフの方とコミュニケーションを取れる場所や、休憩時間に自由に使用でき、コーヒーマシンなども設置されているようなスペースが本社にはありますが、工場にはありません。各工場にもそのようなスペースを作りたいと考えており、そのような環境があれば皆が利用し、自然と集まって他の方とコミュニケーションも取れると思います。
ちょっとしたグループ会議などもそのような場所で行えればと考えているため、そのようなスペースを作りたいと思っています。
— 入谷様、日置様、ありがとうございました!