【全北海道庁労働組合】「広大な北海道で組合はいかにつながるか」 8,000人規模の全北海道庁労働組合における組織改革

全北海道庁労働組合の齊藤書記と鈴木書記長に、労働組合の課題解決から、組合活動で注力した取り組みや成果などの組合活動に従事された振り返りを幅広く聞かせていただきました。
組織概要と自己紹介
— 組織概要
齊藤:私たちの労働組合の正式名称は自治労全北海道庁労働組合連合会となっております。この連合会は、全北海道庁労働組合、全北海道庁関連労働組合、札幌医科大学労働組合、北海道立総合研究機構労働組合、北海道立病院労働組合、北海道公立学校職員組合で組織されていて、組合員は約8,000人で構成されております。
少し組織のことを深掘りさせていただきますと、元々、全北海道庁労働組合連合会は、北海道庁に勤務する職員と労組の役員で構成された全北海道庁労働組合と、道に関連する職場などで働く職員で構成する全北海道庁関連労働組合の2つで構成されていましたが、この間様々な職場の合理化や独立行政法人化があり、現在の形になっています。そして皆さんもよくご存知かと思うんですけど、北海道は他の都府県とは比べものにならないほど土地が広大です。
北海道の行政の中でも、本庁以外に「振興局」という、いわゆる本庁の出先の窓口というものがありまして、それが道内の14地域に展開されております。労働組合も同じように、本部だけで道内の全ての職場を網羅することは、なかなか難しいので、14振興局内に「総支部」という形で本部の出先を置いております。総支部は、その振興局所管の職場、労働組合でいうと支部だとか分会、班というような呼び方をするんですが、その支部・分会・班で、構成されています。
本部は、専従者と離籍役員、書記、事務職員で構成されております。専従はご存知かと思うんですけども、「離籍」というのは、道職員だった人が完全に退職をして、労働組合の職員として働くというものです。一般的に労働組合の「書記」というと事務的な役割や窓口を担うことが多いですが、全道庁労連は少し違います。長年の歴史のなかで信頼関係を築いて「書記は運動のパートナー」として位置づけられており、専従者や離籍役員とともに労働運動に携わっています。
鈴木:本部には、三役のほか専従者が5人、書記が4人、事務職員が5人常勤しています。総支部ごとには、大体1人ずつの専従役員で、組合員の多い総支部には、複数の専従役員や書記を配置しています。ただ、最近なかなか組合員離れが進んでいまして、専従者を配置できていない総支部が3分の1ぐらいになってしまっています。そういった総支部では、書記や事務職員の方が、役員の代わりに日々の運動を担っていただいている感じですね。
— 自己紹介
齊藤:私はこの自治労全道庁労連に直接雇用されている、書記の齊藤圭祐と申します。2013年の5月1日にこの組織に採用となりました。初任地は帯広市にある十勝総支部に3年弱配属となりました。その後全道庁労連の本部に異動となりました。最初は、職場の人員配置や長時間労働課題を担当している合理化対策部の副部長を担当いたしました。その後、2020年から今の全道庁労連本部の組織部に配属となっています。
鈴木:本部で書記長の任に就いている鈴木と申します。齋藤書記とは違い、元々は北海道職員として組合員生活をスタートしております。平成4年4月、18歳の時に高校を卒業してすぐ、道職員として入庁しました。初任地は、釧路市にある釧路土木現業所という出先機関でした。土木や河川の維持管理、あとは公共事業の入札、契約や支払いをする部署で、事務系の行政職として配属になっていました。
お二人が役員になられるまでの過程
齊藤: 書記になる前、私は民間企業に勤めていました。その会社には労働組合は組織されていなくて、職場環境や労働条件は決して良いものではなかったです。そんな私が全道庁労連の書記として採用され、働いていく中で労働組合の役割や、公務職場の本当に劣悪な実態を初めて知ることができました。同時に、労働組合の重要性や「労働組合が組織されていることがどれだけありがたいことなのか」というのを非常に痛感できました。一方で、全国的にも昨今では「組合離れ」が非常に進んでおります。これは労働組合の組織率が全盛期であった頃と比べて、職場環境や労働条件が改善され加入の意義を感じられないと個人的には思っております。ただ、そうやって思える労働環境や職場環境、労働条件に改善してきたというのも、「労働組合があったからこそ」ということでもあると思います。どの時代も、課題が必ず存在していると思います。そこでTUNAGを活用し、労働組合の素晴らしさを伝えられるようなことを、定年退職まで頑張れたらいいなと思っております。
鈴木:もう30年以上前ですので、それほど組合に対する拒否感も強くなく、「誘われたら入るもの」っていう空気がまだあった時代でした。私の親も公務員なんですけど、長いこと小さい支部の役員をやっていたことを子供の頃から知っていました。親の姿も見てきていたので、普通に初日から組合には加入はしました。ただ、これといって役員や青年部運動に関わるわけでもなかったんです。30代後半、札幌に転勤し、そこで、支部活動組合を一生懸命やっている同世代の職員から、いろいろな取り組みに誘われて参加するようになり、組合の楽しさや面白さにちょっとずつ気づいていきました。
その後、役員経験が豊富な先輩に打診され、平成25年11月に初めて在籍専従という、職員のまま仕事を休職して組合のことをやる役職に就きました。札幌総支部で2年、その後、本部の合理化対策部長という職場の人員確保や組織機構、長時間労働是正などを担当する役職に任務替えになりました。そこで2年間勤めましたが、最後の半年間だけ、齊藤副部長と当時一緒にお仕事もしておりました。その後、また札幌総支部に戻り、書記長を3年間勤めさせていただきました。
公務員は地方公務員法で、専従休職の期間が7年までしかできないんです。当時ほぼ7年、6年11ヶ月を一気に専従期間として使ってしまったんですが、よく先輩方には「7年も続けて使ったのは、お前を含め2人しかいないんだぞ」みたいなことも言われたりしました。自分自身もやっぱり労働組合の必要性や楽しさがこの7年間で体に染み付いてしまったので、そのまま関わり続けていたいとは思いつつも、やっぱり7年しかできないので、職場に戻りました。
3年ほど職場で、普通の組合員として、係長として仕事をしていたのですが当時の離籍役員の方が、定年の前にどうしても退職せざるを得なくなり、当時の委員長と書記長から「道職員を辞めてくれないか」というお誘いをいただき、令和5年4月30日に道職員を退職し、本部の離籍役員として、最初は副委員長、今年の10月から書記長の任についています。
現状の課題
鈴木:組織率に尽きます。組合員数が毎月まとまった数が減っていき、組織率が急激に下がり続けているというのが一番の問題です。労働組合は「数=チカラ」ですし、収入源が組合費しかないので、組合員の数が減ると、そのまま組織の力量や財政に直接影響が出てしまいます。それしか課題が無いって言い切っても良いぐらいですかね。
齊藤:うちの労働組合だけではなくて、全国的に労働組合の必要性を感じ取れない人が増えているので、労働組合自体を立ち上げている組織の数自体も年々減ってきていると聞いております。残っている組合自体も加入人数が少なくなって、どんどん弱体化をしていく中で、全道庁労連も「組合は何やってるか分からない、よく見えない」「組合費が高い」との理由で脱退していく方が多いです。あくまで僕の体感かもしれませんが、「組合費が高い」って言っている方は、その文字通り組合費が高いと感じているのではなくて、「この金額に対して見えてくるものが少ないから」だと思うんです。いくら高額でもそれを超えるメリットを感じられるものであれば、皆さんその加入の意義を感じて入っていただける。サブスクとかも同じだと思います。そこはやっぱり見え方だと思っていて、そこをどうやっていくのかが一番肝だと思っています。
現在取り組まれている施策
齊藤:今、力を入れているのはTUNAGの投稿です。まず、とにかく情報を早く送って、皆さんに知らせたいです。今まで紙媒体でやっていると、本部からまず各総支部にメールを送り、それを各総支部が印刷をして、職場に配付をする。北海道は島にも職場があるので、配送しても届くまで3日4日かかってしまいます。情報がフレッシュなものではなくなってしまうことが多いです。さらに職場の人員も昔と比べてどんどん減らされて、まったく余裕がありません。その中で、組合の回覧物が流れてきても、見られることなくそのまま横流しにされています。そこで解決できるのがTUNAGだと思っています。例えば、お昼休みや出勤時間、退社時間など、スマホを見ることが多い時間に出せば、ポンと皆さんの手元に情報が届くので、「組合が何をやっているか」を周知できるんじゃないかなと思っています。
最近、YouTubeのチャンネルを開設いたしました。ただ紙を配るんじゃなく、「今回の交渉はこういう結果になりましたよ」ということを動画で楽しく、わかりやすく紹介ができれば、もっと興味を持ってもらえるんじゃないかなと。様々な考えから新しいことにもチャレンジしたいと考えています。
今、一番大事にされていること
鈴木:お金はかかっちゃうし体力も使うんですけど、「できるだけ現地の職場で働いている組合員の人と直接会って喋る機会をちょっとでも多くすること」は自分の中では一番大事にしているところではあります。ただ、書記長という立場なのであまり出歩けないです。なのでいろいろ総支部や支部から呼んでいただけると、「よっしゃ」って感じで堂々と会いに行けるって思います。
齊藤:私たち労働組合で一番大事なのは、何でもかんでもデジタル化することではなくて「人と人とのつながり」やお互いを助け合う相互扶助の観点を持ちながら、膝と膝を付け合わせて話をしながら関係性を作ることだと思っています。同じ職場の人や他の組合員が困っていることを、他人事じゃなくて自分事としてちゃんと捉えて助け合う。その気持ちは他の人にも伝染されていくんじゃないかなと、信じてやってますね。
鈴木:具体的な日々の取り組みでどうやるかっていうと、なかなか難しいところがあります。
今後の理想の組織像
齊藤・鈴木:もちろん組織化率100%
鈴木:目標は大きく持たなければなりませんので!
齊藤:組合員の組織率を向上させるというのが、組織部の一番大きな任務だと思っております。組合に入っていない人にいかに組合に入ってもらうのか。4月に入る新規採用職員に、組合に入ってもらうようにするにはどのような取り組みが必要なのかを一番に考えているところです。それとは別に、組織の強化も組織部の重要な役割です。組合員に、どういった取り組みを展開していけば、どういった関係性を持っていけば、よりつながりや結束力が強くなるのかを考え、企画、運営していくのが組織部と言えると思います
〜齊藤様、鈴木様ありがとうございました!〜




