【ルネサスグループ労働組合連合会】登録率100%へ──「届かない」を終わらせる。6,000人・8地区支部の一体運営で実現した、TUNAGによる広報改革

紙・掲示板・イントラ・メール…。作っても“届かない”。ルネサスグループ労働組合連合会(以下、ルネサスグループ連合)は、「全員にプッシュで届く」状態を最優先に、広報手段の棚卸しと集約に踏み切りました。方針は明快──ホームページ運営をやめ、TUNAGに一本化。導入から5か月で登録率95%を達成し、新しい広報運営の基盤を作り上げました。

「届く仕組み」をつくったその裏側には、現場と一体で進めた“広報改革”のプロセスがあり、今回は、池田中央執行委員(写真中央)、千坂中央執行委員(写真右)、細川事務局長(写真左)にお話を伺いました。

目次

組織概要と自己紹介

— まず組織の概要について教えていただけますか。

池田:ルネサスグループ連合は、半導体サプライヤーであるルネサスエレクトロニクスの労働組合で、2006年に活動を開始しました。ルネサスグループはグローバル企業で、社員の約半数が日本にいます。グローバルでは22,000人、日本で9,000人おりまして、そのうち6,000人が組合員になっています。2003年に日立製作所・三菱電機の半導体部門が一つになり、また2010年にNECエレクトロニクスが加わり、それぞれの労組が活動してきた土台の上に現在は8つの拠点の地区支部で構成をしています。グループ連合としては今年で20周年ですが、元々の組織としては、それぞれ長い歴史があります。

 — 組織に関わるきっかけや経緯について教えていただけますか。

池田:2007年に入社して、マイコンの設計開発部門に配属されました。そこは2,000人を超える組合員がいる事業所でしたね。仕事以外の、サッカー部や事業所の消防隊などのコミュニティにも積極的に関わってきました。人づてにつながりが広がり、サッカー部の先輩から、労働組合のイベントを企画する「イベントプラン委員会」に勧誘されました。特に負担も感じなかったので「やるなら楽しくやらせてください」と参加しました。当時、機関紙をもらう側で、労働組合が何をしているのかはわからず参加しました。2年後には労働組合の役員をやることになりました。

— イベントプラン委員会で感じられていたことを教えてください。

入社3、4年ごろ、イベントに参加するのは、組合活動を知っている人や、労働組合の情報をたくさん取り入れる人が参加するものだと思っていました。一般の人が気軽に参加するものじゃないと思っていました。組合員はみんな参加資格があるのに、「選ばれし者」だけが参加するような勝手なイメージがありましたね。私は大きな勘違いをしていました。ですので、その勘違いを取り払えるよう、労働組合をあまり知らない人も大歓迎なイベントを企画しようとしていたんです。

— イベントを企画する際に、意識していたことを教えてください。

池田:組合員が2,000人いる拠点で、仮に参加者が20人のイベントをすると、つまり1%の参加率です。1%を10回実施しても、同じ人ばかりの参加では組合参加率は1%で変わりはありません。ですのでとにかく「いろんな人に来てもらう」ことを意識していました。家族向けイベント、単身者向けイベント、女性向けイベント、男性向けイベントなど、狭いニーズにも刺さるイベントを企画していました。女性向けイベントだと、ワイン飲み比べやお取り寄せスイーツ食べ比べをしたり、男性向けでは婚活パーティをやりましたね。結婚相談所と提携して、3回やりました。一人結婚できたのはうれしかったですね。かなりターゲットを狭めると、労働組合に詳しいかどうか関係なく、「私、参加していいんだな」と思ってくれるんじゃないかなと。組合員に「どんな人がいるか」という視点を持って企画していましたね。

作れても、届かない。

— ルネサスグループ連合として当時の実態や課題感、悩みがあれば教えてください。

池田:支部役員時代(2012年頃)は広報を担当しました。支部の機関紙を月に2回、A3版を2ヶ月に1回、評議員会の度にニュースも発行していました。それらをWordやPowerPointで作ったり、業者にデザインしてもらったりして、紙で配っていました。昔からの流れでやっていましたね。紙を2,000部ぐらい仕分けして、30〜40人の評議員さんに、各40〜50部、手で数えて渡していました。評議員に手渡しして、少し会話して、を繰り返します。支部だけでなく本部からの機関紙もあるので、結局月4、5回ぐらい発行していましたね。紙の発注からやっていたので、大変でした。1日の半分ぐらい費やしたこともありました。渡すときには、「文字が小さいよ、多いよ」とか「内容が難しくてわからない」とか手厳しいことも言われました。私も評議員も、配る手間が大変でしたね。結局組合員が読んでくれていたかはわかりませんが、手元には渡っている自負はあったので、「やるべきことはやった」と、役員の自己満足的な広報でもあったのかなと思いますね。それとは別にHPで機関紙を見れるようにしたり紙からHPへ移行する期間だったので、HP運営も両方やっていました。

非専従役員としての経験を経て、2018年に本部の専従役員(中央執行委員)となり本部でも広報を担当しました。支部の広報の悩みは痛いほどわかるので、なるべく紙に頼らないように、HPを充実させようと努めました。スマホでの閲覧を前提としてインターネット上にも機関紙を掲載し、手渡し配布の削減を進め、手渡しの支部をほとんど無くすことができました。ですので「みんなデータで読んでくれていたのかな」と思っていました。

しかし、2022年の意識調査では、「職場の集会や機関紙、メールニュース、掲示板で活動を把握している」に対し、「はい」52%「いいえ」48%という結果でした。この結果をどう評価するかはいろいろあっていいのかと思いますが、担当の私としては70%ぐらい、いってたら良いなと思っていたんです。52%という想定より低い結果から、その原因が“広報の仕組み”だと考えました。今の仕組みでは情報が確実に手元に届くとは言えないので、52%から上げるのは無理だなと思いました。

TUNAGの導入

— 課題に対して行っている取り組みや考えていることはありますか?

池田:組合の機関紙を自分で見に行かない人が悪いのではなく、「届く設計や仕組み」に問題があると思い、「プッシュ通知の機能」を持ったTUNAGが必要だなと考えました。

広報は工数もかかりますが、紙印刷時代の工数が100とすれば、今TUNAGは10ぐらいの感覚ですね。印刷ミスや中身の訂正があればもう一回刷り直して配布していましたから。TUNAGであれば再編集するだけですので、かなり工数は減りましたね。

最初はLINEでなんとか実現できないかと思っていました。ただLINEだと費用面の課題や管理者としての運用に課題もあり、また6,000人のアカウント管理は難しいんだなとわかってきました。その悩んでいるタイミングでTUNAGを知り、飛びつきましたね。

— TUNAGの導入までに、大変だったことはありますか?

池田:導入の前に大変だったのは、広報の手段やHP編集スキルのレベル感が各支部でバラバラだったことです。HP運営が得意な支部もあれば、難しくてできない支部もあります。役員数や専従数のばらつきがあり役員も2年1期で交代していく中で「常に高いレベルでやろう」というのは現実的ではないと。いくらHP環境を整備して研修をしたとしても、おそらく広報のレベルの差は残ってしまうんだなと思いました。

また、働いている人たちのワークスタイルが違うんです。製造職場などは会社貸与のパソコンがないため私がいた設計開発職場のように、パソコンを一人一台持っている事業所の視点だけじゃダメなんだなと。パソコンを持たない組合員にも、情報に差を生まない方法を考えました。その視点を持つことが、TUNAG導入に賛成を得るために必要だと思いました。

「アプリって難しいんでしょ」というような、やる前から苦手意識をもつ組合役員はいると思うんです。「わかりやすい、使いやすい」といった易しいスキルで、運営ができることを重視して周知しましたね。導入に向けたTUNAGの説明はスタメンの営業の方にも協力をいただき、広報担当向け、支部長向けなど、たくさんの機会で実施していただきました。

当時の事務局長に「次の運動方針を決める大会の議案書にTUNAGの導入を載せないの?」と聞かれたんですよ。まだ支部の役員まで十分に口説けていなかったので、議案書に載せるまで1年待ってもらいました。私の計画では、時間をかけてでも役員全体の理解を進めることを意識して、TOPダウンな進め方にならないように心がけていました。本部だけがTUNAGを運営して支部がついてこれないとなると、結局やりたいことが実現しないんだろうと思いました。支部に「TUNAGでこんなことやりたいな」と想像してもらって、やる気を掻き立てる時間を作ろうとしましたね。

変化に対応する。変化に強い組織に。

— 組合活動において大切にしていることを教えてください。

池田:「変わること」です。時代や環境が変わるとともに、自分たちも変わることが必要だと思います。半導体業界は変化が激しいです。旧3社が一緒になったこと、経営が厳しい時代の構造改革や海外企業をM&Aしたりと会社の動きにあわせて組合も変わってきました。広報などの活動も5年先、10年先にどう変化をすべきなのか常に考えておく必要があると思います。私たちの組合は変化への対応に強い組織だと思いますね。

会社の幹部が外国の方が増えたんです。労働組合の一時金の交渉も、機関紙の発行も英語で対応しました。他の経営に関する機関紙も英語に対応しました。こういった点は、組合が変化に対応できているなと思っているところです。

千坂:コロナ禍以降、大きく労働運動の環境は変わりました。ですので、みんなでアイデアを絞って工夫してきたのは確かです。一番の変化はTUNAGですが、そこに至るまでには、例えばカンパ活動があります。カンパ箱を持って食堂や玄関に立っていましたが、なかなか人が来なかったんです。Webでアンケートを取って、賛同してくださる方に100円、300円、500円など設定しお願いしました。するとカンパ箱で回るよりも倍以上の寄付金が寄せられたんです。お金は給与からの天引きに、アンケート内容をシンプルになど、みんなでアイデアを出しました。前例の踏襲だけでなく「何かできないかな」と考えるような体質の組織になっていますね。「同じことを繰り返すのはやめよう」と本部では考えています。それがTUNAGにつながっています。

ちなみに池田さんの前任の広報が私でした。私は、製造現場の人がパソコンを持っていないことで生じる情報量の差に危機感を持ち、スマホから組合のHPに入れるように立ち上げたんですけど、難しかったですね。なかなか見に来てくれませんでした。その後、TUNAGを導入して、失敗を次につなげていくような活動ができているかなと思います。

会社の社長が、進んで変化していくリーダーなんです。以前は、社長と労働組合の役員で経営に関する意見交換の会議をして、機関紙の媒体でその内容を展開していました。去年から、組合としても検討中であったLIVE配信に社長からも提案があり、これまで3度実施できています。社長と労働組合の会長の対談や、社長と組合役員数名とのディスカッションの様子を配信して、多くの組合員と管理職にも視聴いただいています。映像はテロップを追加した上でTUNAGにも載せています。良い意味での変化に対応できるように、「無理です」は無しにしていますね。我々、組合も変化していくことを心がけています。

細川:一時期私は、2018年〜2022年にルネサスグループ連合を離れて、上部団体の電機連合に出向していました。コロナ過以降の2022年に組合に戻ってきた際、労使交渉のプロセスや職場環境(リモートワークなど)がものすごく変わっていました。そして、戻ってから現在までの4年間も常に変わり続けています。会社はグローバルな半導体業界で生き残るために様々な方針を変えています。なので、会社が変化するスピード感に順応して組合活動をしています。組合員の考え方も、時代に応じて変わってきているので、うまく役員で受け止めながら活動していますね。TUNAGは取り扱いも簡単でアクセスも容易、閲覧数等で反応も直ぐに見れるので、現状の活動に合ったツールだと思っています。労働組合の活動は人と人の接点を大事に、face to faceの活動が基本ですが、TUNAGの活用によりそれらも進化・深化させていけるものとしてこれからもしっかり活用していきます。

自ら進んで変化する組織

— 最後に、今後のありたい姿や組織像をお伺いできますか?

池田:「変化」は今後もずっと続けていかなければなりません。それを言われるからではなく、自ら進んで良い方向へと変わっていく労働組合、自立した組織になりたいなと思っています。今はまだ「あれもこれも変わらなきゃいけないのか」と思っている組合員もいると思います。受け身じゃなくて、自分から動く組織でありたいと思います。

〜池田様、千坂様、細川様ありがとうございました!〜

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この記事を書いた人

「for UNION」編集長。
2020年にスタメンに新卒入社。
その後、2022年1月に労働組合向けアプリ「TUNAG for UNION」を立ち上げ、現在はマネージャーとして、事業拡大に従事。

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