【大阪府関係職員労働組合】組合員同士のコミュニケーションを重視した定期大会への取り組みと理想の組織像

大阪府関係職員労働組合の小松執行委員長に、労働組合の課題解決から、組合活動で注力した取り組みや成果などの組合活動に従事された振り返りを幅広く聞かせていただきました。
組織概要と自己紹介
— 組織概要
小松: 大阪府職労は1946年にできた労働組合で、大阪府の職員を対象とした労働組合です。私が大阪府に入庁したのが1989年なのですが、それまでは組合は1つしかありませんでした。当時は組織率が9割以上ある組合で、力も大きかったです。
1989年に労働組合の再編があり、残念ながら労働組合が2つに分かれてしまいました。そうした経過もあって、今は大阪府の中に組合が2つある状況です。その結果、組合に入らない人が年々増え、労働組合に入っていない人になっています。
私たちの名前が「大阪府関係職員労働組合」となっているのも理由があります。もともとは「大阪府職員労働組合」でした。それがなぜ「関係職員」になったかというと、「公務の民間開放」という大きな流れの中で、府立の病院や研究所が次々に独立行政法人化されたからでした。今、大阪府では5つの府立病院と3つの府立研究所が独立行政法人になっています。そうなると、法律上、一つの労働組合にはなれないのです。公務員である府職員と、公務員ではない独立行政法人の職員が混在した労働組合は作れません。公務員は労働組合法ではなく地方公務員法が適用されるため、扱いが違うのです。
そのため、別の組合にする必要があり、「大阪府職員労働組合」と「府立病院機構労働組合」、そして研究所ごとの組合が存在しています。ただ、活動は今まで通り一緒にやっていこうということで、「大阪府関係職員労働組合」という連合体を作って活動しています。略称は昔から変わらず「大阪府職労」です。大阪府の職員と、府立医療センターの職員と、府立研究所の職員で作っている労働組合になります。
現在、専従の役員は委員長と書記長の2人です。私は「離籍専従」と言いまして、すでに大阪府を退職しています。これも地方公務員法の規定で、「休職専従」が7年までしかできないので、私は退職して専従役員をしています。
もう一人の書記長は休職で専従をしています。それに加えて正規の書記が2人、あとはOBである非常勤の書記が2人います。なので組合事務所には日によって変わりますが、4人から6人がいる状態です。
支部は、先ほどお話しした府立の医療センター(府立病院機構労働組合)に5つの病院があるので、病院ごとに支部があります。1つの病院に1つの支部という形です。大阪府職員のところでは、8つの支部があります。だいたい職能ごとに分かれている感じですね。
— 自己紹介
小松: 私は1971年生まれで、今年54歳になります。府立高校を卒業して、1989年に大阪府の職員になりました。労働組合のことは何も知らないで入庁しましたが、先ほども言ったように9割以上が組合に入っている時代だったので、すぐに加入しました。私が入庁したのが1989年の4月で、その年の夏に組合が2つに分かれました。
その後、何がきっかけかは、はっきり覚えていませんが、今から思うと、職場で皆が働きやすいようにと活動されている方々の姿にすごく共感したのだと思います。少しずつお手伝いをするようになり、青年部のイベントに参加しているうちに、自分の仕事や職場以外の色々な人とつながって話が聞けることにすごく魅力を感じ、青年部で活動をするようになりました。
ちなみに、私が最初に配属されたのは府税事務所という税金を扱う部署で、以来、退職までずっと税の滞納整理の仕事をしていました。今の大阪府では効率化が優先され、「滞納整理に時間をかけるな」という風潮があるように感じています。私が入庁した当時は18歳で、自分の親より年上の人に「税金払ってください」と言うのはものすごくしんどくて、嫌な仕事だなってずっと思っていました。
その時に組合の先輩たちから、「税金を払ってもらうことだけが仕事じゃないよ」と言われたんです。なぜその人たちが払えない環境にあるのか、その背景に何があるのか、その人に寄り添って話をすることが大事なんだと。その言葉にすごく共感して、仕事に対する気持ちが楽になりましたし、やりがいも感じました。
青年部の活動に参加すると、保健所で働く保健師さんや、病院で働く看護師さん、土木の事務所で働く技術職の人など、様々な人と知り合えます。そこで自分の視野もぐっと広がり、「大阪府の職員ってすごい大事な仕事をしてるんだな」と誇りも湧いてきました。そんな中で活動を続けてきた感じです。
委員長になられるまでの過程
小松:自分の仕事に誇りを持っていたし、青年部で様々な職種の人と話す中で、大阪府の仕事はすごく大事だと感じていました。その大事な仕事をしていることが周りにも伝わってほしいし、それにふさわしい労働条件を確立させたいという思いが根底にあったと思います。
特に大阪は、橋下徹さんが知事になったあたりから、公務員に対する風当たりがものすごく強くなり、バッシングもひどかった。そんな状況では誰も得をしません。逆に職員側も住民に対して敵対心を持ってしまい、お互い何のプラスにもならない。そういう状況を変えたいという思いで活動を続けてきました。
また、私が入った頃は組合に入るのが当たり前でしたが、今は入らないのが当たり前なくらい、採用された人は労働組合に入りません。そのこともあり、この30数年間で職場は確実に働きづらくなっていると思います。退職していく人も後を絶たないし、泣き寝入り状態というか。組合員さんの相談もたくさん受けますが、「もっと早く相談してくれたらよかったのに」というケースがいっぱいあるんです。職場に労働組合が「ある」と「ない」とで、こうも違うのかと身をもって経験しているので、安心して働ける環境を作るには労働組合は絶対必要だという思いが強くありました。そういう活動を続けていきたいと思ううちに、気づいたら委員長になっていましたね。
現状の課題
小松: 現状の課題としては、組合員が減れば財政も厳しくなり、専従役員の人数も減らさざるを得ません。そうなると活動の幅も小さくせざるを得ない。組合員もそうですが、役員をする人も減っています。昔は団塊の世代の人たちがたくさんいて活動回していましたが、その次の世代が育っていない。役員の数は減っているのに、求められる活動量は減っていないんです。どちらかというと課題は増えているぐらいです。課題は増えるのに、人は減る。そうなると1人当たりの負担が大きくなり、みんな疲弊していくわけです。
それをなんとかしたいという思いが強くあります。そして長年の活動の中で、知らず知らずのうちに僕たちの中に「組合員はお客さん」みたいな意識が生まれていました。同じ働く仲間なのに、組合役員はサービスを提供する側で、組合員は提供される側、みたいな。その構造にずっと疑問を持っていて、そこも解決したい。組合員一人ひとりが力を出すのが組合の一番大事なところだと思うんです。
以前、職場で役員をしていた時に年配の組合員さんに「こまっちゃん、組合役員なんやから何とかしてや」と言われたことがありました。「あなたも組合員で同じ立場じゃないか、一緒にやろうよ」って思うんですけどね。役員だけが頑張るのではなく、みんなが少しずつでもできることをやる、そういう組合に変えていきたいというのが今の課題意識です。
現在取り組まれている施策
小松: もう自分自身もいっぱいいっぱいだったんです。かなり無理して頑張ってきたと思います。ある会議で、書記長だった私が「今、こういう情勢で、こういう攻撃がかかっている。だから労働組合は頑張らなくちゃいけないんだ」という話を、力を込めて30分ぐらい喋ったんですね。みんなに奮起してもらわないといけないから。すると、参加していたある女性の役員が「はぁ、聞いてるだけで疲れるわ」と言ったんです。その時はものすごく腹が立ちました。でも冷静にその場にいたみんなの表情を見ると、声には出していないけど、みんなその人と同じ気持ちだったんだろうなって思いました。
こんなことをやっていては後に続く人はいないし、みんな会議に来なくなるだろうなと思い、そのあたりから労働組合の活動のあり方を根本から変える必要があるなと考え始めました。コミュニティ・オーガナイジングを学ぶワークショップに参加するなど、自分なりに勉強してたどり着いたのが、「今までやってきたから」という理由で毎年当たり前に続けることはやめよう、一旦リセットして考えようということでした。
今、本当に組合員がやりたいことは何なのか、求めていることは何なのかという原点に立ち返って、組合員の関心に基づいて活動していくことを何よりも大事にしようと思ったんです。そこから会議や定期大会のやり方を変えるなど、いろんなチャレンジをしてきました。
私が抱えていた課題意識は、みんなも同じだったと思います。例えば定期大会のやり方にグループ討論を入れたり、今ではテーマも自分たちで決めて話し合ってもらう形にしています。過去のやり方に慣れ親しんでいる人からすれば「大会というのはこんなもんじゃないだろう」という意見も一部にはありましたし、学習会を座学からワークショップ形式に変えた時も、最初は抵抗感を示した人もいました。私が進行役で「さあ皆さん、一旦立ち上がってペアになって話してみましょう」と言っても、後ろのほうの席で腕を組んで絶対に立たない人もいました。
でも、そういうことも含め、繰り返しやっていくうちに、その人たちも今では率先して楽しんで参加してもらっています。初めてのことに抵抗感があったり、躊躇するのは当たり前だと思うんです。そこで大事にしているのが「振り返り」です。何かをすれば必ず最後に20~30分、振り返りの時間を取って、「今日良かったこと」「学びや気づきになったこと」「改善すべき点」などを出し合います。そうすると、みんなから「良かった」という声も出てくる。そうする中で、かたくなに拒んでいた人たちもだんだん受け入れるようになってきました。それによって若い人や女性の参加が増え、良い意味での反対できない空気になっています。
— 意識したコミュニケーション
小松: 特に、その時は無理強いしないようにしようと思いました。「じゃあ見ておいてもらったらいいですよ」という感じ覚です。帰りたくなったら帰ってもらってもいいし、無理に参加させようとはしませんでした。ただ、終わった後の振り返りの声だとか、感想で寄せられた若い人たちの意見は、極力みんなに伝えるようにしました。
定期大会への取り組み
小松:今まではもう流れが大体決まっていて、何十年もそれでやってきたわけです。それを初めて変えようと思った時にやったのが、定期大会について話し合う会議のときに、まず3~4人のグループに分かれて話し合ってもらうことでした。みんなに「意見ありませんか?」と聞いても出ないけど、3~4人だとめちゃくちゃ喋るんですよ。
大会を変えた時にやったのは、まず「皆さん、理想の定期大会ってどんな大会ですか?」と話し合ってもらうことです。そうすると「みんなが生き生き参加してる」「笑ってる」「誰も寝てない」「全員が喋れる」「時間があっという間に過ぎる」「難しい話を聞かなくていい」とか、いっぱい理想が出てくるんです。
次に「じゃあ、最悪な定期大会は?」と聞くと、「来賓挨拶が長い」「提案が長い」「時間がなかなか過ぎない」「みんな寝てる」とかが出てくる。その上で、「じゃあ、最悪を回避して理想に近づけるために、今の定期大会をどうしたらいいですか?」と話し合ってもらいました。そしたら、もうほぼ全会一致で「来賓挨拶をなくそう」となったり、「少人数で話し合うほうがいい」となったり。
だんだん「みんなで話す時間がもっと長い方がいい」という意見も出てきて、ついに昨年末の大会では、話し合うテーマも自分たちで決めてもらうようにしました。オープンスペーステクノロジーという手法なんですが、その進め方を説明した上で「話したいテーマがある人」と聞いたら、13個のテーマが出てきました。そして「じゃあ、皆さん自分の話したいテーマのテーブルに行って、今から90分間自由に喋ってください」と。これがめちゃくちゃ好評でした。「自分が喋りたいことで喋ってすっきりした」「モヤモヤしていたことを話せてよかった」といった感想がありましたね。
— 組合員様同士のコミュニケーション
小松: 定期大会は100人近く集まるんですが、それだけ集まれるのはその時だけなんです。なのに喋る人は10人ぐらいで、後の80~90人はずっと黙って下を向いてる。昔のように支部組織が事前に職場で討議した意見を持ち寄るなら代表者の発言でもいいかもしれませんが、お恥ずかしいことに、今はそんな実態ではありません。代議員を集めるのに必死で、今まで組合活動に参加したことない人も来る。そんな人たちが100人も集まってるって、チャンスじゃないですか。その人たちにどう関心を持ってもらうか。だから初めて来た人から「組合ってこんな楽しい感じだったんですね」「これならもっと早く来ていればよかった」という感想が出ます。「組合の大会だからすごい構えてきたけど、こんな自由な場だとは思いませんでした」みたいな声も。だから去年からは大会にサブタイトルをつけるようにしています。
去年は参加者どうしが話す時間を長くするために、提案は事前に動画で配信したんです。「動画見てきてね」とお願いして。見てない人には休憩時間に流したりして、大会での方針提案の時間は大幅に削りました。その大会でテーマ別に話し合った13個のうち2つのテーマは、今もその時のメンバーを中心に話し合いが続いていて、キャンペーンを始めたりしています。
今、一番大事にされていること
小松: やはり組合員に主体性を発揮してもらうことを何よりも大事にしています。その意味で、今、職場でのランチタイムミーティングをすごく大切にしています。「TUNAG」も活用させてもらっていますが、去年の4月から今年の8月までで232回やっています。導入前の同じ期間では192件だったので、増えています。このミーティングで、できるだけ組合員から声を出してもらおうと。
特に本庁では、昔は支部単位でやっていた昼休み集会が、役員不足などで全くできていませんでした。それを一昨年ぐらいから、支部に関係なく本庁で働く組合員全員を対象に毎月1回やろうと決めました。ただ、特定の日では集まらないので、今は「1週間ぶっ通し」でやって、「来れる日に来てね」という形にしています。Googleフォームで予約してもらい、お弁当もから選べるようにしています。
とはいえ、お昼休みは45分しかなく、組合事務所に滞在できるのは20分くらいです。その20分で、こちらが一方的に喋ってももったいないので、自己紹介をしてもらったり、毎回「ひとことカード」を書いてもらったりしています。カードには「今日のお弁当の感想」「次回のリクエスト」そして「職場で困っていることはありませんか?」という項目などを入れました。
これを1年ぐらい続けていると、みんな色々なことを書いてくれるようになりました。そこで気づいたのが、去年の夏ぐらいから、みんなが「残業中の冷房」について書くようになったことです。当時、大阪府は18時になると冷房を切っていたので、暑くてたまらないと。
あとは、圧倒的に「和式トイレ」が多くて困る、という声です。特に女性は、生理の時や妊娠中は和式が使いづらい、服が汚れる可能性がある、と。今までそんな声をあまり聞けいていませんでした。そこで気づいたのは、例えば「残業なくせ!」と闘っている組合に「残業中、暑いんですけど…」とは言いにくい。「府政を変えよう」と言っている組合に「和式トイレなんとかなりませんか?」とは言いにくい。そういうことだったんだな、と。大きなスローガンばかり掲げていては、組合員は声を出してくれないんだなと、気づきましたね。
今後の理想の組織像
小松: 今の話の補足ですが、冷房の件は結果的に、組合員さんに室温を測ってもらいました。これまでの活動だと、すぐ「じゃあ交渉しなきゃ」と思いがちですが、まずは「組合員に何をやってもらえるかな?」と考えたんです。残業中や早朝出勤時の室温を測って、写真を撮って送ってもらい、それを府職労のX(旧Twitter)アカウントを使ってでポストする、というのをやりました。そしたら、なんと今年の4月から冷房が朝8時から夜9時までつくようになったんです。これは職員からもものすごく喜ばれています。「じゃあ、みんな組合入ってよ」って僕は思っていますけど(笑)。トイレも一気には無理ですが、今、順番に洋式に改修していっています。
もっともっと組合員に声を出してもらって、それを一緒に解決するというのをやりたい。そういう組合が僕にとっての理想です。
それが理想像ですし、根本だと思います。あともう一つ加えると、ハラスメントなどの相談が結構増えています。職場で違和感を感じたり、困ったときにすぐに相談できる労働組合でもありたい。相談を聞く中で思うのは、早く聞いた案件ほど早く解決できるということです。一人で抱える時間が長くなるほど、解決しづらくなる。相談することもなく、組合に入ることもない人もいっぱいいると思うんです。そういう人を一人でもなくしたい。いち早く相談できる組合になりたいですね。
〜小松様、ありがとうございました!〜




