「現場の声から組織を変える」福太郎ユニオンが実践するボトムアップ型の組合運営

福太郎ユニオンの野口中央執行委員長(写真右)と福田中央執行委員(写真左)に、労働組合の課題解決から、組合活動で注力した取り組みや成果などの組合活動に従事された振り返りを幅広く聞かせていただきました。
組織概要と自己紹介
— まず組織の概要について教えていただけますか。
野口:組合員数は、現状1,997名でございます。執行部はそのうち25名で、専従は私のみで運営をしている状況でございます。組織率自体は50%は超えているものの、組合活動の周知と組織を拡大するという課題解決のきっかけとしてTUNAGを導入しました。
東京、千葉を中心に、薬品販売や調剤業務を行っている企業で、埼玉、茨城の方にも店舗はありますが、90%以上が千葉、東京に展開をしております。ツルハホールディングスの子会社です。
— 組織に関わるきっかけや経緯について教えていただけますか。
野口:当時は1店舗の店長をしておりました。本来組合というのは立候補制ではあるものの、誰かから誘われたという流れで入る方がおそらくほとんどなのかなと思います。私も同じ流れで、中途入社で新人として勤務していた時の店長がちょうど労働組合をやられている方で、その後、私が店長になって会社にようやく名前が知れ渡った頃に、以前お世話になった店長から、「労働組合をやってみないか」という形でお誘いをいただきました。その頃、自分も店長として勤務している中で、会社に対して色々な疑問を持っていた時期だったので、そういう世界にも勉強として入ってもいいかなと思い、加わりました。
まず中央執行委員として入りました。次に中央会計、お金の流れの責任者をやらせていただきました。その後、中央執行書記長をやりまして、現在中央執行委員長として業務を行っております。
— 主な業務内容について教えていただけますか。
野口:一番は現場の声を聞くということが一番重要かと思いますので、時間があるときはなるべくお店を訪問して、現場の状況の確認をしています。ドラッグ業界は全国にありますので、そのドラッグ業界の労働組合の方々と連携を取りながらいろんな情報交換を行って、自分の会社に足りない部分を情報として仕入れています。あとは、日頃のお付き合いも含めて会社との交渉もやっているような形になるかと思います。
現状の課題
野口:どちらかというと業界の中では、労働環境や労働条件はいい状況です。なので、大きな課題としては、やはり先ほど言った組織率がそこまで高くないことです。現在57%ぐらいですが、労働組合としては75%、80%以上無いと厳しいところはあるので、そこが今一番の課題かなとは思います。
完全に弊組はユニオンショップ協定なので、社員は全員組合員なんですけど、パートさんなど契約で20時間未満の方は組合員ではないんです。そこの部分をどう取り入れるかというところは、今、組合として話し合っている状況です。
あとは、いまだに現場から「組合は日頃何をしているんだ」という声はやはり上がってきます。これもTUNAGを入れる導入のきっかけにもなってはいるんですが、そこの部分の話も、非組合員の方々にも把握してもらう必要もあるのかなと思っています。またユニオンから組合のニュースを流すんですが、それをしっかり貼り出していただいて、非組合員の方も見ていただけるようにする。今後、将来的にその方たちが組合員になってもらえるような状況を、今から作っておかないといけないと考えています。そこの規約の変更とかも含めて、そこは会社と話さなければいけない部分ですね。
課題に対して現在取り組まれている施策
野口:まさに今のところかなと思います。とにかく会社の協力が必要なので、会社との交渉と並行して、組合員への周知、活動の周知は、同時にしていかなきゃいけないと思っています。ニュースは定期的に流しているので、現状それぞれで動いています。会社とはまだ細かい部分は話していないんですけども、そろそろ考えないといけないなと、会社とは話している状況です。
組織としても、個人的にも、まず現場の声を聞くことが一番大事なことだと思っています。いろいろ不満や愚痴も含めて、現場からは聞こえてくるんです。そこはしっかり話をするというよりは、しっかり聞くことが、大切にしていることかなと思います。もちろん組合内でそれに対していろいろ議論はあるんですが、まずは現場の意見を聞くことを一番大事にしています。
また現場にいた頃、「なんでこれができないんだろう」ということが多かったんですよね。でも実際、組合に携わるようになって、会社ができない理由を知ることができたことが一番かなと思います。理由を知った上で、会社と交渉ができるんですが、現場にいたころは「できない理由」がわからないので、ただ単に疑問でしかなかったです。「なんでできないのかな」っていうのをずっと考えていたので。でも結局組合に携わって、会社側と色々な話をするようになって、できない理由がわかった上で「じゃあこうするのはどうですか」と逆に提案もできるようになりました。なのでその違いは大きいかなと思います。
例えば、店舗にたくさん販促物が送られてくるんですけど、結局管理しきれなくて、最終的に捨ててしまうことが多かったんです。なので、上司には「必要ないから送らないでくれ」と話をよくしていたんですけど、それでも結局送られてきていたんです。いざ組合に携わるようになると、商品管理の方や仕入れの方など、いろんな方とお話しするようになったので、その契約やお金などの現状をお聞きしました。結局、お互いが整理するべき話なので。送る方もお金がかかると思いますし「前段階からもうちょっとしっかり打ち合わせできないもんなんですかね」っていう話を、会社側にはできるようになって、整理ができました。ちょっとしたことなんですけど、そういう小さなことの積み重ねで環境は変わるのかなと思います。
販促物に関しては、どれくらいの量、どういう理由で送るのかは現場に伝えられるようになってはいるんですけれども、またちょっと最近杜撰になってきています。先日丁度会社側にはお伝えはしたんですけどね。
今後の理想の組織像
野口:正直あまりないというか、今までのうちの執行部は私で委員長が4代目なんですけれども、どちらかで言うと今までの委員長は、「自分が引っ張っていく」っていう形のリーダーでした。一方私はそういうリーダーではないので、ファシリテーターじゃないですけど、みんなの意見を聞きながら、その意見をまとめて方向性を示していくタイプのリーダーかなと自分で思いながらやっているので、理想の組織像としては、執行部の全員が、何の気兼ねもなくというか、普通に意見がバンバン出し合えるような組織を目指していきたいと考えています。
20代前半から半ばぐらいの執行委員も増えてきたので、よりその辺のメンバーも含めてみんな意見を出し合える組織になれば、どんどん会社もいい方向に進んでいくんではないかなと思っています。今の組織って私が誘った人間がほぼ半数近くで、そのメンバーっていうのは、やはり日頃から「なんでこれはこうなっているんだろう」という疑問を持ちながら仕事をしている人たちを集めたんです。
なので、組織全体としては、やっぱり、先ほど言ったものとプラスして、「なんでこれこうなっているんだろう」って、今の現状が正しいわけではなくて、常に疑問を持ちながらやる組織っていうのが理想ですし、何か困難なことが起きれば、諦めるのではなくて、なんとういうか「じゃあこうしてみようか」っていう、常に代替案を出せるような、常に考えている組織が理想かなと思います。
— 実際に意見が飛び交うような組織なのか
野口:結構、意見が飛び交うことありますよね?
福田:ありますね。
野口:先日、他の組織の委員長と副委員長が、うちの執行委員会を見に来てくれたんですけど、「みんなが話すのでびっくりした」って言ってましたね。意見が飛び交うし、福田なんかはうちの書記長とよく喧嘩してますから。
福田:私はそんなんじゃないです、穏やかな方ですから。
野口:若い執行委員たちが、それを見ると萎縮しちゃうようなこともあるんですけど、本当に喧嘩も起きるくらい議論してたりはしますね。お互いその考え方は違うっていう、それをまとめるのが私の仕事なんですが、自分の意見をしっかり言い合える組織かなと思います。
ー意見が飛び交う組織のまとめ方
野口:自分でも日頃どう考えているのか分かんないですけど、そういう事態が起きた時は完全にお客さんとして見てます。口出しせずに第三者としてそのやり取りを見て、「こっちが言ってる理由は分かる、そっちが言ってる理由も分かる」それをまとめて、そこで説明するっていうような感じでやってるかなと思います。なので、マイナスなところを言うよりは、それぞれがどういう理由でその意見を主張しているのかをまとめて、そこで最終的に発言をして、一旦まとめる感じですかね。
終わった後にお互いの話を聞いて、説得するってわけじゃないですけど、「まあさ」っていう話をする。執行委員会の中でまとまってるのかな、もしかしたら答えは出てないのかもしれないんですけど、最終的にはお互い納得はしてくれるので、ふわっとした話なんですけど。とにかく第三者というか、お客さん的な感じで盛り上がってるときは見てます。お互いのプラスの部分しか見ないように。
ー福田様が野口様に感じている印象
福田:僕らも人それぞれみんな意見するんですけど、僕らと委員長とだと持ってる知識も情報量も違うなっていう部分を感じる部分があります。そういったもっと広い視野で見ると、「そういう決断も、やむを得ないよな」とか、そういうふうに思います。
僕も含め非専従が多いので、見えてない部分が皆さんそれぞれあるから自分目線で意見がぶつかったりとかするんですけど、そこは最後に野口委員長がそういった、背景、状況、情報、そういったものを踏まえて総括していただけるので、そんな感じでいつも収束してます。
〜野口様、福田様、ありがとうございました!〜




