労働組合の非専従者とは?専従者との違いや活動の実態、抱える悩み

労働組合の非専従者として活動している人の中には、他の組合の非専従者がどのような状況なのか知りたいと思っている人もいるのではないでしょうか。本記事では非専従者の実態や悩みを紹介し、現状を良くするためのヒントについても解説します。
労働組合の非専従者とは?
労働組合の役員は、組合専従者と非専従者に大別できます。まずは、非専従者の意味や組合専従者との違いを見ていきましょう。
会社の業務と組合活動を両立させる役員
労働組合の非専従者とは、会社の業務と組合活動を両立させている役員のことです。組合活動に専念する組合専従者でない役員は、全て非専従者だといえます。
日本の労働組合は企業別組合が主流であり、自社の組合に加入するのが基本です。労働組合は会社とは別の組織であるため、組合員になっても会社員として引き続き働くことになります。
非専従者のメリットは職場の様子を把握しやすいことです。会社で働く組合員との距離が近く、組合員と本部の橋渡し的な役割を担っています。
組合専従者との違い
労働組合の活動に専念する役員が組合専従者です。自社の労働組合で組合専従者になる場合は、一般的にそれまでの職場から組合に身分を移すことになります。
組合専従者のメリットは、団体交渉での要求による労働条件の改善に直接関われることです。また、組織の中枢で活動に専念することで、組合運営に大きな影響力を持つこともできます。
一方、組合専従者は本業を離れるため、会社員時代より給与が減るのが基本です。組合により深く関わるようになることから、責任やプレッシャーも感じやすくなるでしょう。
労働組合の非専従者の現状
他の労働組合の非専従者は、どのような状況に置かれているのでしょうか。公的な資料から分かる非専従者の現状や、非専従者が抱きやすい悩みを紹介します。
非専従者の活動時間
「非専従の組合役員の活動時間と活動・充実感」によると、非専従者の活動時間の平均は週当たり約3.5時間です。ただし、週1時間程度しか活動できていない人が約4割と最も多く、活動時間を全く確保できていない人も約1割います。
非専従者の活動時間を役職別に見ると、活動時間を最も多く確保できているのは、委員長・副委員長・書記長の三役です。一方、職場委員や分会役員は活動時間が少なく、役職間で活動時間の差が大きいことが分かります。
非専従者の活動時間は年齢によっても差が出ます。年齢が上がるほど活動時間も長くなり、40歳以上が約6.1時間であるのに対し、29歳以下は約2.1時間です。
非専従者が抱える悩み
非専従者が抱える悩みで最も多いのが、自分の時間や家庭が犠牲になっていることです。活動時間が5時間以上になると、この悩みを抱える人の割合が5割を超えます。
他にも、「組合活動が忙しくて本業に支障をきたす」といった、長時間の活動時間が悩みの根源となっているケースが多いのが特徴です。
また、組織内での役職が上がるにつれて活動時間も長くなる傾向があることから、活動時間を気にして役員になりたがらない人が多いという課題もあります。
非専従者の活動時間の減少によるリスク
本業と組合活動を兼ねる非専従者の多くが、活動時間に関する悩みを持っていることを理解できたでしょう。しかし、単に活動時間を短縮すればよいという問題ではありません。非専従者の活動時間が減ると、以下に挙げるようなリスクが生じます。
活動領域が縮小する
非専従者の活動時間の減少によるリスクとしては、活動領域が減少することが挙げられます。組合役員はさまざまな領域で活動を行う必要がありますが、活動時間が短くなるとできることが限られてしまうのです。
ただし、組合によっては非専従者の活動時間が週1時間程度であっても、必要な量の活動を行えているケースもあります。組織構造の見直しや活動における工夫をすれば、長時間の活動によらない組合運営も不可能ではないといえるでしょう。
非専従者自身の充実感が低下する
役員自身の充実感が低下することも、非専従者の活動時間の減少が招くリスクの一つです。組合活動に対するモチベーションが高くても、自分が納得できるだけの活動時間を確保できなければ、次第に充実感が低下していく可能性があります。
「非専従の組合役員の活動時間と活動・充実感」を見ても、活動時間が長くなるほど組合活動での充実感が高まりやすいことが分かります。ただし、活動領域が縮小するリスクと同様に、充実感の低下のリスクも工夫次第で回避することが可能です。
TUNAG for UNIONで非専従者の悩みを解消
労働組合の非専従者として活動時間の長さに悩みを抱えているなら、組合活動に必要な情報を集約できるアプリ「TUNAG for UNION」を導入するのがおすすめです。
情報共有の促進により組合内のつながりを強化できるほか、業務工数がかかっていた部分を効率化できるため活動時間の削減も図れます。専門のトレーナーのサポートを受けることで、組合の課題や目指したい姿に合わせた取り組みを進めることが可能です。