労働組合のデジタル化とは?組合がデジタル化を進めるメリットや具体例を紹介

目次

労働組合のデジタル化とは

労働組合のデジタル化は、従来のアナログな業務プロセスをデジタル技術を用いて変革することを指します。具体的には、以下のような取り組みが含まれます。

  • ペーパーレス化: 紙の書類をデジタル化し、物理的な保管や管理の必要性を減少させます。
  • 電子署名: 印鑑による署名押印をデジタルの電子署名に置き換え、文書の承認プロセスを迅速化します。
  • オンライン会議: 従来の面談や会議をオンラインプラットフォームで実施し、場所にとらわれない柔軟なコミュニケーションを実現します。
  • スマホアプリの活用: スマートフォンアプリを通じて組合員間のコミュニケーションを促進し、情報共有や活動参加を容易にします。

2020年に新型コロナウイルス感染症が流行して以降、多くの社会活動がオンライン化し、労働組合活動もその例外ではありません。デジタル化により、労働組合は組合員とのコミュニケーションを強化し、活動の効率化と活性化を図ることが可能になります。

デジタル化の進展とその労働組合活動への影響を理解するために、以下の2つのレポートが参考になります。

労働組合の「内」と「外」のデジタル化』(連合総研 主幹研究員 中村天江氏、2023年8月発行)のレポートでは、オンラインコミュニケーションの普及とデジタル化による組合活性化の可能性に焦点を当てています。

新型コロナウイルス感染症の流行以降、多くの労働組合がオンラインを活用した活動強化に重点を置いており、オンラインツールの活用によるメリットとして「時間の有効活用」や「参加困難な組合員の参加促進」が挙げられています。

組合員のスキマを狙え!デジタルを活用した組合活動』(茅ヶ崎市職員労働組合 書記次長 佐藤慈大氏、2023年8月発行)のレポートでは、デジタルを活用した組合活動の具体例として、茅ヶ崎市職員労働組合の事例が紹介されています。

同組合は組合員とのコミュニケーション強化と業務効率化のためにアプリを導入し、組合活動に変革をもたらしました。また、ソーシャルメディアを活用した労働運動と伝統的な組合活動の差異や協業についても言及されています。

これらのレポートは、労働組合がデジタル化を進める上での有効な戦略や取り組み、そしてそれに伴う課題や可能性についての貴重な洞察を提供しています。

労働組合がデジタル化を進めるメリット

労働組合がデジタル化を進めることでどんなメリットがあるのかについて説明します。

ペーパーレスによるコスト削減・効率化

組合活動では定期的に機関紙を発行し、それを印刷・配布している組合が多いと思います。しかし、これには大量の用紙、インク、そして配布に要する労力が必要とされます。

ペーパーレス化により、これらのコストと労力を大幅に削減することができます。例えば、デジタルフォーマットで情報を提供することで、印刷コストや配布作業にかかる時間を節約できます。

また、機関紙のデジタル化により、編集や配信のプロセスも迅速化され、組合活動の効率が向上します。

さらに、環境への負荷も軽減されます。紙の使用量が減少すれば、森林の伐採や廃棄物の処理に関連する環境問題にも積極的に貢献することができます。このようなペーパーレス化の取り組みは、組合の持続可能性にもプラスの影響を与えます。

組合の情報発信にアクセスしやすくなる

デジタル化の進展は、労働組合の情報共有とアクセス性にも大きな変化をもたらしています。現代の生活スタイルでは、組合員が機関紙やウェブサイトをじっくりと読む時間が以前に比べて減少しています。しかし、デジタル化により、パソコンやスマートフォンを通じて、いつでもどこでも組合関連の情報にアクセスできるようになりました。

特にスマートフォンの普及は、休憩時間や移動中など、短い時間でも情報を手軽に確認できる環境を提供しています。さらに、プッシュ通知機能を活用することで、組合からの重要なお知らせや急な変更事項をリアルタイムで受け取ることが可能になり、組合員が情報を得るプロセスが格段にスムーズになります。

最新の情報を届けられる

デジタル機関紙の導入は、情報の即時更新を可能にし、組合員が常に最新の情報にアクセスできる利点をもたらします。これにより、情報の鮮度と信頼性が保たれ、組合活動への参加意欲を高める効果が期待されます。

組合活動に参加しやすくなる

デジタル化により情報の発信や共有が円滑に行われるため、組合員が情報を見落とすことが少なくなります。

また、電子化された申請システムにより、手続きが簡素化され、組合員は煩雑な手続きに時間を費やす必要がありません。これにより、組合員はより簡単に組合活動に参加することができ、組合の活性化が促進されます。

組合執行部も、組合員の参加意欲が高まることで、より多くのメンバーが活動に参加し、組合の目標達成に向けて協力することができるでしょう。

組合活動におけるデジタル化の例

組合活動におけるデジタル化の具体的な事例を紹介します。

活動情報発信

労働組合はインターネットを使って、さまざまな情報を簡単に共有できます。

例えば、組合のウェブサイトやスマートフォンのアプリを使って、イベントの告知や活動の最新情報をすぐにチェックできるようになります。

また、SNS(ソーシャルメディア)やメールなどを使って、組合員同士でコミュニケーションを取り合うこともできます。これにより、組合員が組合活動に参加しやすくなります。

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各種申請・手続き関連

組合員はパソコンやスマートフォンを使って、さまざまな手続きをオンラインで簡単に行うことができます。

たとえば、福利厚生の申請や会費の支払いなどをウェブサイト上で行うことができます。また、申請書類をスキャンして送るだけで、手続きが完了する場合もあります。

これにより、組合員の負担が軽減され、手続きがスムーズになります。

アンケート・投票・出欠確認

組合はアンケート調査や投票、出欠確認などを簡単に行うことができます。インターネットを使って、組合員に質問や意見を集めたり、イベントへの参加を確認したりすることができます。

結果もすぐに集計できるため、意思決定が迅速に行われます。

また、電話や郵送での手続きよりも、手間がかからず、誰でも簡単に参加できるため、組合活動に参加しやすくなります。

まとめ

この記事では、労働組合がデジタル化を進めることの重要性と、その具体的なメリットや活用例について詳しく解説しました。

現代社会において、デジタル技術をどのように活用するかが組織の効率性や影響力を大きく左右します。

デジタル化によるペーパーレス化はコスト削減と業務の効率化を実現し、組合の情報発信がよりアクセスしやすくなります。これにより、組合員は最新の情報を迅速に入手でき、組合活動への参加も容易になります。

活動情報の発信、各種申請や手続き、アンケートや投票、出欠確認など、デジタルツールの活用は組合運営のあらゆる面で効果を発揮します。

このように、労働組合がデジタル化を進めることは、組合員とのコミュニケーションを強化し、組織全体の活動を活性化させるための鍵となります。

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この記事を書いた人

筑波大学国際総合学類卒業。2023年にスタメンに入社し、人事労務・情報セキュリティに関するデジタルマーケティングを担当。 現在は「for UNION」の立ち上げメンバーとしてメディア企画に従事。

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