労働組合の役員手当はどのくらい?役員になる手当以外のメリットも

労働組合の役員になると、役員手当を毎月もらえるのが一般的です。他にもさまざまなメリットがあるため、「役員をやってくれないか」と打診を受けた際の参考にしましょう。労働組合の役員手当の相場や役員になるメリット・デメリットを解説します。

目次

労働組合の役員手当について

労働組合の役員の種類には、委員長・副委員長・書記長の三役をはじめ、分会長・執行委員・職場委員・会計・会計監査などがあります。まずは、役員になるとどのくらいの手当がつくのかを見ていきましょう。

相場は1万~2万円

労働組合の役員手当の金額は、一般的に役職が上がるほど高くなります。役員手当の相場の目安を役職ごとにまとめました。

  • 委員長:2万円
  • 副委員長:1万5,000円
  • 書記長:1万5,000円
  • 分会長:1万円
  • 執行委員:1万円
  • 職場委員:5,000円
  • 会計・会計監査:なし

上記の金額はあくまでも目安であり、労働組合によって金額は変わります。ご自身の組織の役員手当が気になる場合、現在の役員に聞いてみるとよいでしょう。

未加入者が増えると手当が減るケースも

役員手当は組合員から徴収する組合費から捻出されるものです。組合員が少ない労働組合では、組合費による収入も少なくなるため、役員手当の金額も減るでしょう。

前項で紹介した役員手当の目安では、会計と会計監査のみ手当なしとしていますが、三役以外の役員に手当が支給されないケースもあります。その場合、三役の役員手当の金額も低く抑えられるでしょう。

また、近年の物価上昇などを受け、組合員から組合費の減額を求められるケースも増えています。このような要望を受けて組合費の減額に踏み切った場合も、役員手当の金額が見直されるでしょう。

労働組合の役員になるメリット

労働組合の役員の目的や役割は役職ごとに違いますが、それぞれに共通するメリットがあります。役員になるメリットをチェックし、引き受けるかどうか迷う場合の参考にしましょう。

人脈が広がる

労働組合の役員は、組合活動を通じてさまざまな人と接するため、社内の人脈を広げられます。組合の役員になる人は会社でも出世する人が多く、人脈を広げておけば管理職になった後も力を貸してもらえるでしょう。

役員としての活動を通じて、社外の人との接点を増やせることもメリットです。自社で働いているだけでは得られないような情報や視点に触れられるため、自身のさらなる成長にもつながります。

出世に近づく

組合の役員を打診されるような人は、そもそも能力が高いため会社でも評価が上がりやすいですが、組合の役員を経験するとより出世に近づくでしょう。

大きなポイントの一つに、経営層に顔が売れることが挙げられます。組合の役員は会社の経営層と顔を合わせることが多く、そこで存在感を発揮できれば評価が高まるでしょう。

また、組合役員の経験はマネジメントスキルの向上にもつながります。チームや組織を動かす側で業務に取り組むことで、管理職への適性があると会社に判断されやすくなります。

組合員から頼りにされる

労働組合の役員は、多くの組合員から頼りにされる存在です。組合の規模が大きければ、数百~数千人の組合員を相手に仕事ができます。会社で部署の重要ポストに就いても、それほどの人数から頼られることはなかなかないでしょう。

多くの組合員の声に耳を傾け、要求を実現させて組合員に喜ばれれば、会社では味わえない達成感を得られます。人から頼られることにやりがいを感じられる人は、組合の役員に向いているでしょう。

労働組合の役員になるデメリット

労働組合の役員には、メリットだけでなくデメリットもあります。両方を理解した上でなるかどうかを検討することが大切です。

会社の業務との両立が大変

会社の業務と組合の仕事を兼務する非専従の役員になると、大きな負担がかかります。組合の活動は基本的に就業時間外に行うため、プライベートの時間を削らなければならないでしょう。

組合で会議や研修を実施したり、地域のボランティア活動に参加したりする場合は、休日にも業務対応が発生するケースがあります。一般の組合員より大幅に負担が増すことを覚悟しなければなりません。

ストレスを抱える恐れがある

多くの組合員は、労働組合に賃金アップや労働環境改善の実現を期待しています。しかし、会社への要求が必ずしも通るとは限りません。

交渉の結果が不十分であった場合、組合員が納得する説明を行う必要がありますが、不満を抱く組合員も一定数存在します。役員として頑張ってもなかなか結果につながらなければ、ストレスを抱えることもあるでしょう。

組合役員には手当以外にもメリットがある

組合役員になると手当を支給されるのが一般的です。通常は役職が上がるほど手当の金額も高くなりますが、組合によっては三役以外の役員に手当が支給されないケースもあります。

労働組合の役員には、手当以外にもさまざまなメリットがあるため、役員になることを打診されたら前向きに検討してみるとよいでしょう。

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この記事を書いた人

労働組合にて専従(中央執行書記長)を経て、現職。

<セミナー登壇歴>
◼︎日本経済新聞社
『労組をアップデートせよ 会社と並走し、 組合員に支持される労働組合の作り方』
『労働組合の未来戦略 労組の価値向上につながる 教育施策の打ち方』

<メディア掲載>
◼︎日本経済新聞社
『​​​​団体契約を活用して労組主導で社員の成長を支援 デジタルを駆使して新しい組合像を発信する』

◼︎NIKKEI Financial
『「知らない社員」減らす 労組のSNS術』

◼︎朝日新聞社
『歴史的賃上げ裏腹 悩む労組 アプリ活用』

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