労働組合の組織化の重要性と現状。組織化を進めるためのポイントも

近年、労働組合の組織率は減少傾向にあります。しかし、働く人の権利を守り、職場環境を改善する上で、労働組合の存在は重要です。特に組合の三役として活動している方にとって、組織化の推進は喫緊の課題でしょう。本記事では、労働組合の組織化がなぜ必要なのか、現状はどうなっているのかを整理し、具体的な組織化の進め方についてお伝えします。

目次

労働組合の組織化について

労働組合の組織化とは、組合員数を増やし、組合活動を活性化させることです。ここでは、まず組織化の重要性と現状について詳しく見ていきましょう。

労働組合の組織化の重要性

労働組合の組織率が低下すると、労働者の発言力が弱くなります。組合員が少なければ、会社との交渉においても十分な影響力を発揮できません。

組織化が重要な理由は以下の通りです。

  • 交渉力の強化:組合員数が多いほど、会社との労働条件交渉で有利になります。
  • 労働者の権利保護:個人では対処しきれない問題も、組織の力で解決できます
  • 職場環境の改善:働きやすい環境づくりに組合が果たす役割は大きいものです
  • 社会的影響力の向上:政策提言や社会制度の改善にも貢献できます

組織化が進んでいない労働組合は、本来の力を発揮できません。労働者の利益を守るためにも、積極的な組織化が必要でしょう。

労働組合の組織化の現状

厚生労働省の調査(令和6年6月時点)によると、日本の労働組合数は22,513組合、組合員数は991万2千人と、前年から減少が続いています。

組織率(雇用者に占める労働組合員の割合)は16.1%で、前年より0.2ポイント下がりました。

長期的に見ても、労働組合の組織率は年々減少傾向にあります。

一方で、女性の組合員数は350万6千人と前年より増加し、女性の組織率は12.4%で横ばいでした。非正規雇用の拡大や働き方の多様化が進む中で、従来型の組織化手法が通用しにくくなっている現状が背景にあります。

参考:令和6年労働組合基礎調査の概況|厚生労働省

労働組合の組織化を進めるポイント

組織化を成功させるには、戦略的なアプローチが必要です。ここでは、具体的な3つのポイントをご紹介します。

組合員数を増やす

労働組合の組織力を高めるには、まず加入者を増やす取り組みが不可欠です。

そのためには、組合の価値や成果を明確に伝えましょう。この際、賃上げや労働環境の改善といった具体的な実績を、数字を交えて可視化することで、説得力が高まります。

また、若年層への訴求には、SNSやメールを活用した情報発信が効果的です。加えて、参加しやすいオンラインイベントや短時間の勉強会など、ライフスタイルに合わせた柔軟な活動も取り入れましょう。

加入のハードルを下げる工夫が組織化の第一歩です。

組合活動を活発化させる

組合活動の停滞を防ぐには、メンバー一人ひとりが役割を持ち、主体的に関われる仕組みづくりが重要です。

たとえば、働き方改革やハラスメント対策などのテーマ別委員会を立ち上げることで、関心を持ちやすい切り口から参加を促せます。

また、若手リーダーの育成に取り組むことで、将来的な活動の継続性も確保できます。活動内容や成果は定期的に共有し、組合員の達成感や参加意欲を高めることが重要です。

他組合との交流や外部研修の活用も、視野を広げる有効な手段です。

組合内部のコミュニケーションを活性化する

労働組合の結束力を高めるには、組合員間の円滑なコミュニケーションが不可欠です。情報が届かず、意見も反映されない状況では、組合活動への参加意欲が低下してしまいます。

そこでおすすめなのが「TUNAG for UNION」の導入です。組合活動に必要な情報や機能を一元化し、スマートフォンやパソコンから簡単にアクセスできる環境を提供します。

組合からのお知らせや活動報告、アンケート、申請手続きなどを一つのプラットフォームで管理できるため、情報の見逃しや手続きの煩雑さを解消できる点もポイントです。

また、組合員同士のチャット機能や出欠確認機能も備えており、双方向のコミュニケーションが促進されます。

「TUNAG for UNION」を活用して組合活動のデジタル化を進めることで、より強固な組織づくりが可能となるでしょう。

労働組合と組合員をつなぐアプリ「TUNAG for UNION」

労働組合の組織化を推進しよう

労働組合の組織化は、労働者の権利を守り、より良い職場環境を実現するために欠かせない取り組みです。組織率の低下が続く現状だからこそ、戦略的なアプローチが必要でしょう。

現在の労働環境は急速に変化しています。リモートワークの普及や働き方の多様化により、労働組合の役割もより重要になっています。

組織化の推進は決して容易ではありませんが、着実に取り組むことで必ず成果が現れます。労働者の代表として、より強固で影響力のある組織づくりを進めていきましょう。

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この記事を書いた人

労働組合にて専従(中央執行書記長)を経て、現職。

<セミナー登壇歴>
◼︎日本経済新聞社
『労組をアップデートせよ 会社と並走し、 組合員に支持される労働組合の作り方』
『労働組合の未来戦略 労組の価値向上につながる 教育施策の打ち方』

<メディア掲載>
◼︎日本経済新聞社
『​​​​団体契約を活用して労組主導で社員の成長を支援 デジタルを駆使して新しい組合像を発信する』

◼︎NIKKEI Financial
『「知らない社員」減らす 労組のSNS術』

◼︎朝日新聞社
『歴史的賃上げ裏腹 悩む労組 アプリ活用』

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