労働組合が弁護士に依頼するメリットは?費用や注意点も解説

労働組合が企業との間で労使問題の解決を図る際、独自に協議を重ねるのが一般的ですが、交渉を弁護士に依頼するケースも少なくありません。よりスムーズに問題を解決できる可能性があるので、弁護士に依頼するメリットや、注意点を知っておきましょう。

目次

労働組合の交渉に弁護士は必要?

一般的に労働組合は労働争議や団体交渉を通じて、独自に企業と協議を重ねることで、労働条件の改善を目指します。しかし、労働環境の複雑化や法的規制の厳格化などに伴い、労働組合においても、法的専門家の役割が重要になってきました。 

そこで、企業との交渉を弁護士に依頼する労働組合も増えています。弁護士への依頼は必須ではありませんが、組合員の権利を守り、問題解決に向けた活動を効果的に進めるための、重要な選択肢の一つです。

弁護士に交渉を依頼するメリット

弁護士に企業との交渉を依頼することで、以下のように法的な裏付けを持った主張が可能になるほか、最新の法律知識を交渉に反映できます。さらに、一般的な法律相談にも対応してもらえる点も、メリットといえるでしょう。それぞれ詳しく解説します。

法的根拠を伴った主張が可能になる

企業に対する労働組合の団体交渉の場においては、労働基準法や労働組合法をはじめとした、法的根拠が重要な役割を果たします。

労働組合の組合員は、一般社員よりも労働関連の法律に詳しい傾向にあります。しかし、法解釈のあり方や複数の法令が関わる複雑な問題に対して、うまく対応できないケースもあるでしょう。

そこで、法の専門家である弁護士が関与することで、法的根拠に基づいた説得力のある交渉ができるようになります。組合員のみで交渉を進めるよりも、有利な条件を引き出せる可能性が高いでしょう。

最新の法律知識で交渉できる

最新の法律知識を用いて、交渉を進められるのも弁護士に依頼するメリットです。労働関連の法律は、時代の流れや労働環境の変化に応じて、頻繁に改正される傾向があります。例えば、働き方改革関連法やテレワークに関する規定など、近年注目される法律は、労働組合の交渉にも大きく影響します。

弁護士は最新の知識をアップデートしており、こうした法改正にも柔軟に対応が可能です。組合員だけでは頻繁な法改正や、新たな法解釈に対応できないこともあるため、弁護士の専門的な知識や経験が必要なケースは多いでしょう。

一般的な法律相談にも対応してもらえる

労働組合が直面する課題は、企業との交渉以外にも多岐にわたります。労働契約書の内容の確認や、組合規約の整備などに関しても弁護士に相談できるようになるため、より円滑に組織を運用できるようになるでしょう。

また、労働者個人の権利保護に関しても、専門家としてアドバイスを受けられます。組合員の労働環境や待遇に関する問題も、早期に解決しやすくなり、労働組合としての信頼性を高められます。

労働組合が弁護士に依頼する際の注意点

弁護士に依頼する際には、いくつか注意すべき点があります。以下のように相応の費用がかかるのはもちろん、相性の良い弁護士を選ばなければ、問題解決に役立つアドバイスを受けられない可能性もあるので注意しましょう。

相談・交渉内容によって相応の費用がかかる

弁護士への依頼には、当然ながら費用が発生します。初回相談料や着手金に加えて、成功報酬など複数の費用を考慮しなければいけません。特に、複雑な事案や長期にわたる交渉案件では、費用が高額になる可能性があるため注意が必要です。

事前に料金体系を確認し、組合の財政状況と照らし合わせて、本当に依頼すべきか慎重に判断しましょう。予算をオーバーしてしまう場合には、特定の交渉や業務のみ依頼するなど、無理のない範囲で利用することが大事です。

組合と相性の良い弁護士を選ぶ必要がある

依頼できる弁護士には、大手の事務所から個人事業主まで、さまざまな選択肢があります。経験や専門性だけでなく、組合との相性も重要なポイントです。たとえ労働問題に詳しい弁護士であっても、コミュニケーションを取りにくい相手ならば、意見の擦れ違いが生じる可能性があります。

事前に面談やヒアリングを通じて、弁護士の姿勢や考え方が組合の方針と合致しているか、きちんと確認するようにしましょう。弁護士の過去の実績や評判も調べておく必要があります。

団体交渉に強い弁護士に依頼する

労働組合が企業との交渉を通じて、労使問題の解決を図る際には、弁護士の法的知識と交渉力が役立ちます。団体交渉の際、弁護士への依頼は必須ではありませんが、最新の法令や法解釈に基づいて、説得力のある主張ができるようになります。

ただし、相性の良い弁護士に依頼しなければ、期待通りの成果が得られない場合もあるので、注意が必要です。労働関連の法律知識や団体交渉の経験が豊富な点はもちろん、人柄や過去の実績なども考慮しましょう。スムーズに信頼関係を築ける弁護士を探すことが大事です。

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この記事を書いた人

筑波大学国際総合学類卒業。2023年にスタメンに入社し、人事労務・情報セキュリティに関するデジタルマーケティングを担当。 現在は「for UNION」の立ち上げメンバーとしてメディア企画に従事。

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