労働組合の役割や権利とは?組合活動に必要な知識を押さえよう

労働組合は労働者の権利を守り、働きやすい環境を実現することを目的とした組織です。労働組合が実現できることや、労働組合の有する権利について知っておくことが大事です。労働者として知っておくべきポイントを理解し、今後の活動に生かしましょう。

目次

労働組合の役割は?

労働組合は働く人々の生活を守るために、多くの役割を担っています。まずは、労働組合の活動の中でも、とりわけ重要な点を押さえておきましょう。

労働者の権利を守り雇用の安定を目指す

労働組合は、労働者が不当な解雇や不利益な待遇を受けることを防ぎ、安定した雇用環境を維持するために活動する組織です。解雇や雇止めのリスクに対抗するため、企業に労働契約の順守を働きかけたり、職場での不当な扱いの是正を求めたりする活動をしています。

また、賃金や労働条件の改善を通じて、働く人々の生活水準の向上を目指すのも、労働組合の活動目的です。団体として企業と対等に交渉することで労働者の権利を守り、長期的な雇用の安定を実現するための権利を有しています。

労働者が組合に加入するメリット

労働者が労働組合に加入することで、個人では解決が難しい問題に対して、団結して立ち向かう力を得られます。例えば、給与の引き上げ交渉や労働条件の改善において、組織として声を上げることで、企業との交渉力が高まるのがメリットです。

また、組合による法的支援や相談サービスを活用することで、職場でのトラブルを迅速に解決できるケースも珍しくありません。福利厚生の充実や組合員限定の教育プログラムを利用できるなど、直接的なメリットも得られます。

たとえ会社内に労働組合がない場合でも、その地域の労働者が結成している組合や、合同労組(ユニオン)に加入することで、さまざまなサポートを受けられるようになります。

労働組合が有している権利

労働者が働きやすい環境を得られるように、労働組合は法律で定められたさまざまな権利を有しています。労働組合の活動を保障している憲法や、いわゆる労働三権について、基本的なところを理解しておきましょう。

労働組合は憲法で保障されている

日本国憲法第28条では、「勤労者の団結する権利・団体交渉を行う権利・その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と明記されています。この条文は労働者が団結し、自らの権利や利益を守る活動をするための基盤とされています。

労働者は個人では企業と対等に交渉するのが難しい場合が多いため、組合を結成し団体として行動する権利が法的に守られているわけです。権利が明確に保障されているため、労働条件や賃金・労働環境の改善に向けた活動が可能です。

憲法に基づく労働者と労働組合の権利は、以下の労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)にもしっかりと反映されています。

※出典:日本国憲法 第二十八条|e-Gov法令検索

団結権

団結権とは労働者が自由に労働組合を結成し、加入できる権利です。労働者が雇用主との交渉力を持つために重要なもので、一人一人の労働者が会社(使用者)と直接交渉するのは困難ですが、団結することで大きな力を発揮できます。

後述する労働組合法の根拠ともいえる法律であり、労働者の自由意思に基づき、組合活動ができることを保障しています。また、使用者側の干渉や妨害を防ぐための法的保護も用意されており、安心して団結権が行使できる法体系になっています。

団体交渉権

団体交渉権は、労働組合が労働条件の改善や労働環境の向上を目的として、使用者と交渉できる権利です。同権利により組合は労働者を代表して、賃金や労働時間・福利厚生などに関する協議が可能で、労働者の声を使用者に届けられます。

団体交渉の場は、労使双方が互いの立場を理解し合い、合意形成を目指す重要な機会です。交渉を正当な理由なく拒否することは、労働組合法で禁止されており、使用者には誠実に対応する義務が課されています。

団体行動権

団体行動権は、労働者が団結して行動を起こす権利を指します。同権により、ストライキやボイコットなど、使用者に対して労働条件の改善を求める行動が可能です。上記は日本国憲法第28条によって保障されており、労働組合法に基づく手続きとして定められています。

団体行動は、使用者との交渉が難航した場合に行なわれる場合が多く、労働者の結束力を示す重要な手段です。使用者は正当な団体行動に対して、不利益な扱いをすることは禁止されています。

労働三権を保障する労働組合法

労働組合法は、労働者が団結権・団体交渉権・団体行動権を十分に行使できるように、制定された法律です。労働者が安心して労働組合を結成し、活動できる環境を守る役割を果たしています。

同法により、使用者が労働組合の活動を妨害する行為は、不当労働行為として禁止されています。例えば、労働組合への加入を理由とした解雇や、労働者にとって不利益な待遇をするのは法的に無効です。さらに、使用者が団体交渉の場において、不誠実な対応をするのも不当労働行為とみなされ、ペナルティが科される可能性があります。

労働組合法は、労働者の権利を守るための強力な法的枠組みであり、労使関係の公平性を確保する重要な役割を担っています。

労働組合が実現できることは?

上記の労働三権や労働組合法などにより、労働組合は労使問題の防止・解決や労働環境の改善要求、労働者の不当な扱いの撤回要求などが可能です。それぞれみていきましょう。

労働環境や待遇の改善

労働組合は、労働者が安心して働ける環境をつくり出すため、労働条件や各種待遇の向上に関して、使用者に働きかけが可能です。例えば、賃金の引き上げや、福利厚生の充実に向けた提案をすることで、労働条件や労働環境の改善を図ります。

さらに、働き方改革や職場の安全対策など、時代に即した課題にも積極的に取り組んでいます。こういった活動は労働者の待遇の向上のみならず、職場全体の生産性や従業員満足度の向上にもつながるでしょう。

労使問題の防止

労働組合は労働者と使用者の間で起こる問題を、未然に防ぐ役割も担います。組合の存在により、労使間の意思疎通が促進されるため、労働環境に関する問題がエスカレートする前に、無事解決に向かうことは珍しくありません。

また、定期的な交渉の場を設けることで労使双方が課題を共有し、建設的な解決策を打ち出す土台を整えられます。積極的な対話を通じて労働環境を改善し、無用な対立や紛争の発生を防ぐのも、労働組合が実現できる事柄の一つです。

不当な扱いの撤回要求

労働組合は、労働者が安心して働ける環境をつくり出すため、労働条件や各種待遇の向上に関して、使用者に働きかけが可能です。例えば、賃金の引き上げや、福利厚生の充実に向けた提案をすることで、労働条件や労働環境の改善を図ります。

さらに、働き方改革や職場の安全対策など、時代に即した課題にも積極的に取り組んでいます。こういった活動は労働者の待遇の向上のみならず、職場全体の生産性や従業員満足度の向上にもつながるでしょう。

労働組合の権利や活動内容を知っておこう

労働組合は団結権・団体交渉権・団体行動権をはじめとして、憲法で保障された権利により、労働者の賃金や労働条件の改善・不当な扱いの撤回など、幅広い活動を展開しています。労使問題の予防・解決や労働環境の向上を通じて、労働者だけでなく、企業全体の成長にも寄与する重要な役割を持っています。

労働組合の権利や活動内容を理解することは、労働者にとってはもちろん、使用者にとっても重要です。双方が互いの立場を理解し、信頼関係を築けるように努力することで、労働者が安心して働ける環境を生み出せるでしょう。

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この記事を書いた人

筑波大学国際総合学類卒業。2023年にスタメンに入社し、人事労務・情報セキュリティに関するデジタルマーケティングを担当。 現在は「for UNION」の立ち上げメンバーとしてメディア企画に従事。

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