【松屋フーズユニオン】究極、松屋フーズユニオンが組合員に必要とされなくなる状況にしたい。
牛めし等を販売している飲食店チェーン店事業を中心に、とんかつ事業、鮨事業、ラーメン事業、外販事業など、様々な事業を展開している松屋フーズユニオンの中央執行書記長の矢野様(写真左)と中央執行委員の渡邉様(写真右)のお二人に、労働組合の未来についてお話をお伺いしました!(以下、敬称略)
組織概要と自己紹介
組織概要
矢野:松屋フーズユニオンと申しまして、中央執行委員長が1名、中央執行副委員長が7名、私が中央執行書記長を務めております。牛めし等を販売している飲食店チェーン店で全国各地に店舗があります。
エリアごとに店舗をまとめて運営しているのですが、そのエリアを支部と称し、その各支部には支部長と呼ばれる人が必ず1名いて全部で100名おります。そして、その上に中央執行委員という方々41名が各地に散らばっていて、支部長のフォローだったり中央執行委員会への出席を通して組合の取り組みを知ってもらったり活動そのものに参加してもらったりというような役割で活動してもらっています。
また弊組は、エリアマネージャーまでが組合員という形になっています。海外赴任者については現時点で組合員ではなくなります。ユニオンとして海外でどんな活動ができるのかというところについて、今の段階では難しいのですが、今後海外の社員が多くなってくると、そこはそこで松屋フーズユニオン海外支部というようなものを立ち上げて色んな活動をしていくというのもあるのかなと思っています。
自己紹介
矢野:私は、中央執行書記長をしております。元々野球が大好きで、入社して一年目ぐらいに当時の店長から「野球好きなんだろ、うちの会社に野球部あるの知ってる?」と言われて私も行ってみたいですという形で話をしていました。1人で行くのは勇気が出なかったのですが、そのまま店長が大宮の遠いところまで連れて行ってくださいました。野球部には当時30人ぐらいいましたが、私は新入社員だったので、そんなに知り合いがいない状態でしたし一番年下でした。
そんな中で、出会う人は全員先輩でしたが、結構かわいがってもらっていましたね。今自分が先輩の立場で考えてみると、若い子が来てくれるのが純粋に嬉しかったんだと思います。当時は会社の部活だと思っていたので、いわゆる組合というものは全く分からず、ユニオンという存在自体もよく知らない状態で組合ということは特に意識せずにただ野球を楽しむために参加していました。それから店長になって部下を持つようになり、こんな企画をするよというような連絡をもらうと後輩や部下を連れて行って一緒に野球をしていました。その後エリアマネージャーになってからも誰かを連れていって活動に参加していました。
そして、15年ぐらい前に当時の組合の委員長が野球部の監督をしていたのですが、その方が本社に異動になり平日の組合活動なかなかできなくなるということで、「監督を譲り渡すからやってくれ」と声をかけていただきました。そこで、監督になるってことはユニオンの執行部に入るってことだよと言われたのが組合を意識した一番最初です(笑)
ここから、執行部の中央執行委員として委員会等にも出席していく中で営業の方や工場の方、本社の方など色々な部署の方と知り合いになることができました。渡邉さんもそうですが、組合活動の中で知り合ってお話をするようになった方が結構多くて本社で勤務している現在は、そういった繋がりがすごく生かされているなと思います。
こういった経験もあり、今現在組合では、知らない人同士を繋ぎ合わせるような活動を継続的にやっています。最初は、知らない人と話すために休日を使いたくないなと思う人も多いと思いますが、上司や先輩に誘われて参加してみると意外と良かったなと思えると思います。我々もしっかりと迎え入れますし、繋がりをもっと強めていけるようにしたいなと感じています。現在は、TUNAGを導入させていただき、情報発信等どのようにリリースしていくかというところや登録者数をどう増やしていくかというところに重点を置いて業務を行っています。
渡邉:私は、現在中央執行委員をやっております。2015年に入社しました。ユニオンに関わるきっかけというか出会いは、入社した年の夏のキャンプでした。松屋フーズユニオンは、夏のキャンプがメインイベントというイメージが元々あったのですが、たまたま休みだったので当時の上司から一緒に行こうと声をかけられました。正直なところ、せっかくの休みで自分の時間を大事にしたいと思っていたので行きたくなかったのですが、嫌々参加しました。(笑)ですが、実際参加してみると同期もいたので楽しかったですね。
全然期待していませんでしたが、どんどん人が集まって輪が広がっていき、こういうのも案外悪くないなと思ったのが最初のきっかけでした。私は元々、メンバー入社というアルバイトからの入社だったので、その当時は一匹狼のように同期もいらないし一人でコツコツやっていこうという思いでしたが、キャンプでの出会いをきっかけに多くの人と一気に知り合うことができたのですごく大きな出来事だったと思っています。
そこから、矢野さんもおっしゃっていましたが野球部の活動に顔を出すようになりました。野球は全然やりませんが、キャンプで知り合った人がいるならという感じで参加し、またそこで繋がりが増えて、同期や先輩、エリアマネージャークラスの方とも知り合いました。そして、色んな交流を通して松屋って面白い人がいっぱいいるんだなと思い、そこから組合活動には積極的に参加するようになりました。
例えば、女性交流会という女性社員が集まって懇親会やイベントを行って交流を深めましょうというものがありますが、そこには皆勤賞に近い形で参加させていただいていました。今では、女性社員が少しずつ増えてきていますが、当時は本当に少なかったので、その中で女性の輪を広げられるのはすごく良いなと思いました。その後、松屋フーズユニオンの中央執行委員をやってみたいなと思い、自ら志願して、現在活動をさせていただいている状況です。
松屋フーズユニオンの現状や課題
矢野:私は書記長になってまだ8ヶ月ぐらいですが、当時私自身が思っていた課題としては、そもそも松屋フーズユニオンという存在が社員の方々に知られていないということでした。その直後に、アンケートを取ることになったので、設問の中に組合のことを10項目入れてもらうようにお願いをして組合についての調査を行いました。
そのうちの1項目「松屋フーズユニオンの活動に満足してますか」というのに対して、「満足してる」が35%「満足してません」が25%「何をしているのか知りません」が40%でした。これは良くないなということで、次にホームページの閲覧数を調べると、1日に2〜3件、多い時で1日30件でした。組合費をいただいている中で、活動内容が誰にも知られてないというのは問題だと思い、非常にもやもやしていました。
そこで一番最初に、どうやってホームページを全員にリリースしていこうかというのを考え、会社のイントラの掲示板等に載せてもらえないかとお願いしました。ですが、それはちょっとできないと言われてしまい、そうなると、松屋フーズユニオン専用のツールが欲しいと考え始め、TUNAGを導入しました。
組合活動の中で大事にされていること
矢野:私は、やはり繋がりたくない自由というのもあると思うんです。なので、一番心掛けているのは、とにかく強制しないことです。今までは、強制するもしないも知られていなかったので、知っている人だけがバーベキューやキャンプに参加して楽しい時間を過ごしてくれている一方で、それに参加したいなという人が陰に隠れてしまっていて、情報にアクセスできない状況でした。
お知らせした上で、休みの日は一人で家で過ごしたり部屋でゲームをしたりするのが好きな人も当然いると思うので、それも一つの自由として活動への参加を強制することはありません。みんなと繋がりたいとか知り合いになりたいとか友達を増やしていきたいというような思いを持っている方に参加してもらえれば良いなと思います。そのためには、やはりTUNAGというツールが非常に有効的だと感じています。
導入した当初は、これは何だとかここが不便であそこが良くないというように組合員の方々から色々と言われると思っていました。私は、とにかくツールに触ってみて何でもいいからたくさん意見をくださいという感じだったのですが、意外にも反対の意見等は全くなかったんですね。スタートしたばかりで、まだまだブラッシュアップできるし、これから中央執行委員の方々にもたくさん投稿してもらいたいなと思っていますが、すごく良いツールだと褒めてもらうことがほとんどです。TUNAGを見たことをきっかけに参加しなくていいと思って家にいる方達が参加してくれるようになったら良いなという思いやこの運用を成功させて次の代にも引き継いでいきたいという思いがあります。
渡邉:私は現在、教育研修グループに所属しており、インストラクターという業務をさせていただいています。そこで担当になった新入社員の方々や中途社員の方々、また店舗で出会う組合員の方々にユニオン活動を知ってもらいたいという思いがありますので、私の中央執行委員としての活動を皆さんにお伝えしつつ、輪をどんどん広げたいなと思っています。
川上委員長が、まずは知ってもらうことが大事だということをおっしゃっていましたが、やはり知らないまま交流がないまま終わってしまうのは寂しいなと思います。参加するしないの最終的な判断は組合員の方に委ねられますが、こちらとしてはいくらでもアピールはしていいのではないかとポジティブな気持ちでいるので、(笑)どんどん巻き込んでいってとにかく組合の存在を皆さんに知ってもらえたら良いなと思います。
松屋フーズユニオン様の未来
理想の組織像
矢野:私が書記長になった時に三役会というのがあり、委員長と副委員長がいる前で、究極、松屋フーズユニオンが組合員に必要とされなくなる状況にできたらいいということを宣言しました。今の段階は全く下の下です。まず知られていませんし知られていてもユニオンが何をやっているのか全く分かりませんという状況です。また、私は一部の人から「一部の人間だけが飲み食いしているだけだろ」と言われたこともあります。こういった誤解もありますし、そもそも正しく情報を伝えきれていないというこちら側の問題が大きいので、まずは情報をしっかりと伝えていきたいなと思っています。
また、ユニオンの存在価値として、職場協議会といういわゆる団体交渉があります。ユニオンとして会社に物申して要望できるというように、会社と労働組合が対等な関係で協議できるというのが憲法で決まっています。そうなると、言うべきことをしっかりと言っていかなければならないと思いますが、1人で言ってもそれはわがままになります。そこで、組合員がこう思っているんですとかこうして欲しいんですとか会社はこういう仕組みでこういう風に動いて欲しいんですというようにみんなの意見を総合して言うならば、しっかりと会社側に伝わります。そして、会社側も我々のことをしっかりと見てくれているので、制度が変わったり手当が変わったり賃金が上がったりなど、こういったところに繋がっていくと思っています。
本当に究極、ユニオンという組織があろうがなかろうが会社が従業員のことをしっかりと考えて、彼らのためになるような制度や仕組みを作ってくれればそれはそれでいいわけで、あとは組合員同士が能動的に色々な活動を行っていけば良いと思うんです。ただ、今は当然ながらそのレベルまで達していないですし、難しいことだとも思っていますので、究極ユニオンがなくても社員のみんなが明るくイキイキと働いてくれているというところを目指すべきだと思っています。そうすると、組合費が高いとか言われることもないですし、組合が何をやっているか分からないというようなことを言われることもないですよね。なので、究極はそこだという風に宣言をしました。
あとは、組合員にこの会社を好きになってもらいたいと思っています。好きになるというのが何かというと、私は人だと思います。よく、「会社が言うからさ」と言う社員の方もいますが、結局それは誰が言っているのかというと人間が言っているわけですよね。会社の建物自体が喋るわけではなく、その中身の人間が喋っているんです。なので、会社が好きということは、その中身の人間のことが好きということだと思います。そして、そのうちの一人一人が組合員なわけですから、自分が好かれないといけないし自分が誰かを好きにならないといけない。これが、全社員全組合員に全うされれば、この会社は未来永劫繋がっていくだろうと私は思っていますし、このような社員の集合体、組織が私の考える究極の理想の形です。
渡邉:先程矢野さんからアンケートを実施したという話がありましたが、そこで結果として出ていた「知らない」という4割の方々を0にしたいなと思っております。ですので、この会社に入社したら自動的に松屋フーズユニオンを知って、活動にも参加して、横のつながりも確保するというのが私自身が掲げる理想だと思っています。
やはり飲食業で24時間色々な時間帯に勤務しているので、仕事内容だけ言うときついことが多いんですよね。私自身も深夜の時間帯にずっと入っていたり、生活リズムが乱れて体調を崩してしまったり、というような経験もあります。仕事がしんどい時に一人だと、やはり孤立してしまって辞めてしまうこともありますが、それが一番もったいないなと私自身思っています。そういった中でも、組合活動を通じて知り合えた人達との繋がりがあれば、負担や苦しさが軽減されるんですよね。なので、できるだけ松屋フーズユニオンを知らないという方がいないように、もっともっと活動していきたいと思いますね。
組合への想い
矢野:書記長のポジションは、今まで結構な頻度で変わっていて、方針が一定にならないんですね。書記長は、半専従ということで業務の量が多いので。他の労組さんは、どちらかというと委員長が先頭に立ってグイグイ活動を進めていくことが多いと思いますが、弊組は、書記長の方が役割が多いです。委員長は、業務が9割以上で1割ぐらいは会議に参加してもらったりみんなに色々な話をしてもらったりというところです。
なので本当は、書記長がある程度方針を固めた上で一定期間活動するのがベストだと思っていますが、なかなか定着していきません。そこで、私はできるだけ長くやらせてもらって、足場固めというのをやりたいと思っています。そういった背景で弊組は、なるべく理想を掲げて、一歩でもいいからそこに近づいていこうよというように、未来に向かっていけるようなタイプの労働組合だと思っています。
〜矢野様、渡邉様、ありがとうございました!〜